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異世界養蜂革命  作者: 華蜂師
第6章:変革への門出
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96話戦闘訓練の深化

リハルトの冒険者ギルドは朝から活気に満ちていた。天井から差し込むやわらかな朝日が、そこここで微笑む顔を照らし出している。

この日は、ミツルたち冒険者にとって特別な訓練の日であった。「蜂蜜街道」プロジェクトを推進しつつ、冒険者としての力量向上を目指す日々。

その中で、今日は特に、その成長を加速させるべく設定された重要な訓練が行われる。


会議室での準備を終え、ミツルは仲間たちを見渡した。エルザやアリーシャ、そしてティグも揃い、緊張と興奮が交錯している。

ただの作戦会議ではない。今日は新たなスキルを体得することを目的とした実地訓練が待っている。


「今日は少し厳しい訓練になるかもしれない。でも、この経験が君たちの糧になる。挑んでくれるか?」

ミツルがティグに声をかけると、ティグは渇いた喉を落ち着けるように一度唾を飲み込み、

「もちろんです、ミツルさん!俺も早く一人前になりたいから」と力強い眼差しで応える。


冒険者たちは手分けして準備を済ませ、森の未開拓地へ出発する。道すがら、ミツルはエルザとアリーシャと共に今回の訓練の目的を確認し合った。

「今日は、モンスターの生息するエリアの調査と、そこに生まれる可能性のある自然資源を特定するのが目的ね」とエルザが確認する。

「うん、そうだね。そして今回はスキルアップも忘れずに。特に戦闘面での対応力を重視したい」とミツルが指示する。


彼らが目指す森は、地図上にはすでに記されているが、詳細は誰も知らない。

生息する生物や新たな蜂の魔物の存在が確認されており、できるだけ多くの情報を持ち帰ることが求められた。

しばらく歩くと、木々が密集したエリアに入る。陽光が遮られ、森の中はひんやりとして静かだった。

足元には苔が広がり、ところどころに野生の花々が顔をのぞかせている。

ミツルたちは無駄な音を立てないよう慎重に進み、視界の利かない森の奥へと足を運んだ。


「静かだね、でも油断しないで。何が出てくるかわからないからね」とミツルが声を抑えて仲間に注意を促す。

しばらく進んだ所で、予想通り、モンスターが姿を現した。「シャドウビートル」だ。暗い森の中でもその硬い甲殻がわずかに光を反射し、不気味な存在感を放っている。

「来たぞ!みんな、各自の持ち場を確認だ!」ミツルの指示に全員が迅速に反応し、陣形を整える。

エルザは後方から魔法でサポートし、アリーシャは斜め左に回り込み、虚を突くように動く。

ティグは一歩前に出て、防御を固めながら隙を伺う。

「防御を忘れないで、反撃のタイミングを計ろう」とミツルが全体を見渡しつつ指示を飛ばす。


ティグは仲間の動きを見ながら、自分に与えられた役割に集中する。

モンスターの攻撃をかわし、防御を整える。その一連の動きは次第に洗練されてくる。

自分の一挙一動が仲間の命を守る、その重みを感じながら、彼は平時では得られなかったであろう行動力を引き出していた。

エルザが魔法を唱えると、冷たい風が猛然と吹き荒れ、「シャドウビートル」の動きを止める。

アリーシャはその隙を逃さず、前進して斬撃を加える。「やった、効いてる!」と見るや、ティグも力強く斬り込む。


手強い敵ではあるが、チームの連携により少しずつ押し込むことができている。

「その調子だ、ティグ!」ミツルは自然体の声でティグの背中を押した。

ティグも元気を受け取り、渾身の力を込めて再び攻撃を繰り出す。

モンスターの防御は次第にほころび、最終的にチームの総力戦で勝利することができた。

「やったな、全員無事か?」ミツルは仲間を見渡しながら、安心した様子で声をかける。

「うん、大丈夫。みんなのおかげで助かったよ」とアリーシャが汗を拭いながら応じ、他の者たちも無事を報告する。


その後、一息ついたミツルたちは次の調査地点に向かう。

これが終われば村に戻り、訓練の成果を確認できる。今日の収穫は大きかった。

ティグにとっては特に、自分の力を再確認する良い機会となり、意識と実力の両面で成長を遂げた。

未経験の地での調査と戦闘を繰り返し、街道整備に必要となる安全確保の重要性、そしてこれから進行すべき道筋も見えてくる。

ミツルたちは、日々の活動の中で大小さまざまな課題を乗り越えながら、自分たちの真価を試され、鍛えていくのだ。


帰路につきながら、ミツルは感謝の意を胸に秘めつつ言った。

「今日は本当にみんなの成長が見えて、これからも一緒に進んでいけそうだ。」その言葉に仲間はうなずき、明日への意欲を新たにするのだった。これからの挑戦も、共に支え合いながら乗り越えていく決意を、全員が再確認した一日だった。

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