第88話: 貴族と商人の連携
リハルトの木漏れ日の射す会議室にて、ミツルは信頼する仲間たちと共に、一大プロジェクトの計画会議を開いていた。
この日は、貴族や商人たちの代表も招かれており、養蜂プロジェクト拡大に向けた意見交換が行われる重要な会合となっていた。
「今日は、我々の計画をさらに発展させるために、貴族や商人の皆様のご協力が必要です。」ミツルは深呼吸をしてから、穏やかな口調で話し始めた。
その言葉に耳を傾けるのは、各地から集まった有力者たち。貴族のレオンハルト領のレオンハルト侯爵はこの地域で長く続く名家の一員で、既に養蜂の恩恵を受けた農地の所有者でもある。
商人ギルドのリーダーであるマレックもまた、今後の事業拡大の助けとして蜜とミードの流通に大きな関心を寄せていた。
「確かに、我々の畑にモンスターの蜂たちが訪れるようになってから、収穫量が増えたのは事実だ。これは他の作物にも影響を及ぼすだろうから、協力には意義がある。」レオンハルト侯爵はそう語りながら、一同に彼の賛同を伝えた。
「それに市場での蜜の需要も伸びてきている。流通をしっかり支援すれば、各地へ供給することも可能になるはずだ。」マレックもまた、商人としての視点から計画に賛同した。
また、話し合いの中で、蜂蜜やミード製品の市場を広げるためのアイディアもいくつか提案されていく。
エルザは蜜源植物の効果についてさらなる研究を進め、その成果を新商品の開発に生かすことを誓った。
「質の高い蜜を得るためには、どの植物を蜜源として選ぶかが重要です。特に、高所にいる蜂の魔物が運ぶ蜜には特別な効能が見込まれるので、これをうまく利用したいと思っています。」彼女は、研究の方向性を具体的に示した。
そしてアリーシャも、栽培に工夫を凝らし、地域の特産品を生み出すことを続けると決意を表明した。「地域の特色を生かした農産物と、それに合う蜜との組み合わせで新たな特産品を作りたいです。」
各地域の貴族や商人たちもこの提案に興味を示し、協力することで地域経済が大きく発展する可能性を感じていた。ミツルは、彼らの期待を裏切らないよう、プロジェクトの細部にまで気を配った。
「我々が行うことは、ただの商品開発ではありません。地域全体を活性化し、すべての住民が恩恵を受ける仕組みを作ります。ただ自分に出来るのは些細な事なので是非とも皆様のお力を犯し下さい!」とミツルは力強く宣言した。
さらに、スロールハイムがある領地の領主フィリップ卿も、このプロジェクトの重要性を話した。「我々が開発した新しい街道を活用すれば、輸送の効率化につながります。ほかにも地域の連携を高める手がかりになるでしょう。」
貴族、商人、冒険者、そして一般市民。多様な立場からの協力が集まってくる中で、ミツルたちはそれぞれの意見と貢献の形を尊重しつつ、プロジェクトを進化させていく。
「そして一つ提案なんですが、バルドウィン卿の一件やレイモンド国王から聞いた内政や権力に根付く腐敗の解消にも貢献出来るかと思うのですが、巣蜜やロイヤルゼリー、プロポリスを蜂蜜街道に協力頂ける信頼出来る貴族の方にしか卸さない!と言うのを考えています。信頼関係が築けたレイモンド国王やバルドウィン卿が信頼する方なら信用出来ますし、領地やこの国の為にどうすればいいのか…と言う道を示してくれると思っています。」とミツルが神妙な顔で参加者の貴族達に頭を下げる。
「それはやりようによっては素晴らしい事だと思うが、上手くやらないと難しいかもしれないな。それも含めバルドウィン卿やレイモンド国王含めて色々な人の意見を聞き、懸念点を出し尽くすのが良いと思うぞ。それで行けると思ったらわしは全力で支援、協力しようと思っておる。」とレオンハルト侯爵が背中を押してくれた。
物語の中で、一度も見たことがなかったような協力関係が形成されていく様子は、未来への希望に満ちていた。
みんなが手を携え、一つの目標に向かっていることで、リハルトとその周辺地域は今や新しい時代を迎えようとしている。
新しい挑戦を前に、ミツルや仲間たちは、今後も続けて努力を惜しまず、多くの人々と力を合わせていくことを胸に誓った。
貴族と商人の連携によって、プロジェクトは着実に成長できるという確信を得た彼らは、さらなる展開を見据えて、次なるステッジへと進んでいった。




