第87話: 蜂の魔物の研究
リハルトのある朝、ミツルは勇ましい雰囲気の冒険者ギルドでバルドックからの急な呼び出しを受けていた。
ギルドマスターのバルドックは、アシュフォード領で奇妙な蜂の魔物と巣を発見したとの情報を得たという。
「ちょうど探していた情報だな、ミツル。お前にはぜひ来てほしかったんだ。」バルドックは、彼の肩に手を置き、期待を込めた目を向けてきた。
「その通りだ。いま話を聞いたけど、面白いことになりそうだな。」ミツルは興奮を抑えきれない様子で、ギルドの中を見渡した。
そこにはドラゴンテイルのメンバーたちも揃っていたが、それ以外にも、新たにバルドックが懇意にしているAランクの冒険者チームもいた。彼らがこの調査を案内してくれるとのことだ。
「おっと、紹介しないとな。このチームは『シルバーファング』。リーダーのアッシュ、攻撃魔法に長けたセリーナ、狙撃手のオリバー、剣士のカレン、そして回復役のイザベルだ。」バルドックは一人一人を指さしながら紹介してくれた。
アッシュは短く刈り込んだ髪と無精ひげ、見た目は少し冷たそうだが、人懐っこい笑みを浮かべる男だ。「よろしくな、ミツル。君の噂は聞いている。蜂の専門家なんだって?」
「専門家とまでは言えませんが、好きな事でもあるので色々な事に挑戦しています。力を貸してく出さりありがとうございます。」ミツルは軽く頭を下げながら応じた。
強力な攻撃魔法を操るセリーナは、赤毛のカールが美しい、気さくで元気な女性。
彼女は初対面にもかかわらず、自然体で接してくる。
「普段は炎とか雷の魔法を使うのが得意なんだ。何かあったら頼ってね!」「ありがとうございます。頼りにしてます。」
オリバーは長身で、静かな表情を浮かべながらも、話し、動きには無駄がない印象だ。
「俺の弓で細かいものを狙って捕らえるのは得意だから、見つけたら教えてくれ。」「ありがとう、オリバー。頼もしいね。」
剣士のカレンはクールに見えて、実は熱血な面を持っているようだ。「いつも精一杯やるから、よろしくね。」「こちらこそ、助けになるよ。」
最後に、イザベル。彼女は優しい微笑みをたたえながら、チームのバックボーンを担う役だ。
「回復は任せて。怪我には細心の注意を払っているから、無理しても平気よ。」
「イザベルがいれば本当に心強いよ。ありがとう。」リハルト周辺から周辺領地、そして王都と、重要な地点についてもアッシュが地図を広げて説明を始めた。
「まずは安全を確保するためのルートが大事だ。ドラゴンテイルの仲間たちと協力して、効率的に回るといい。最初はこのリストにある場所から始めるのがいい。」アッシュの言葉に、ミツルは頷きながら聞き入った。
調査を進める中で、ミツルたちはミツルのインセクトテイマーとしてのスキルを向上させるためにも注力した。
スキルレベルを上げるためには実践が必要だとアッシュはアドバイスした。
「まずは、目の前にいる魔物をしっかり見て、それから何をすればいいか考えるんだ。」アッシュの助言は肝心だ。
「自分が目指すべきことをきちんと理解することが大事ね。」セリーナも笑顔を浮かべてエルザとアリーシャに話しかけた。
「アリーシャ、植物についてある程度知っているつもりだったけど、こうして人にアドバイスされると新しい発見が多いね。」エルザもその楽しさを感じていたようだ。
アリーシャも率直な声で応じる。「ほんとだね、これからもっと詳しく学べると思うとワクワクする。」
調査を進め、少しずつ勉強を重ねながら、ミツルやエルザ、アリーシャのスキルも上達していった。
それは彼らが思っていた以上に効果的で、早くも地元の冒険者たちからも色んな質問を受けるほどだった。
新たに発見された蜂の魔物に関する正確な特徴や生態の情報を収集し始めた。
「この新種の蜂の魔物は、高所に巣を作る習性があるようだ。これまでになかった場所だから、もっとしっかり調べよう。」オリバーが遠方を見据えて言う。
「ここまで高い岩壁に巣があるとは。そりゃ、なかなか見つけられないはずだ。」カレンも驚きを隠せない。
これから、冒険者ギルドや地元の住民たちとともに、調査を進め、地域の特性を理解し、新たな商品開発につなげていく。彼らは揃って、地元の文化と生活を豊かにしようと誓い合っていた。




