第75話: 蜂蜜の品評会
ミツルたちが王都ベルディアで蜂蜜の品評会を開催する日は、まさに快晴だった。
これまでの準備の成果を発揮するため、彼らは朝早くから忙しく動き回っていた。
会場に指定された広場には、すでに多くの人々が集まっており、賑やかな声が響いている。
ミツルたちは、蜂蜜の品評会が成功するための一手一手を心に刻みつけていた。
「よし、みんな！準備はいいか？」ミツルが声を上げると、エルザとアリーシャ、そしてドラゴンテイルのメンバーたちがそれぞれ頷き、笑顔を見せた。
「もちろんだよ、ミツル。今日は最高の蜂蜜を見せつけてやろう！」エリオットが力強く応え、ライアンとサラも次々に相槌を打った。
会場には、ミツルたちの養蜂プロジェクトで得られた様々な蜂蜜と、それぞれの効能を説明するポスターが並べられていた。
また、ミードや巣蜜、ロイヤルゼリーといった商品も展示され、興味を持った人々が絶えず集まっていた。
「この蜂蜜、香りがとてもよいですね！何の花から取れるのですか？」と聞いてきたのは、ベルディアで有名な料理人の一人、マルコだった。ミツルは彼に笑顔で答えた。
「これは私達の村の近くに群生している花から集めた蜂蜜なんです。見た目にも香りにも特別な特徴がありますね。」ミツルが説明する間に、エルザがさらに詳しい効能について補足した。
「この花の成分と蜂の魔物の生成する蜜が体調を整えるのに役立つんです。お料理にもぴったりですよ。」
他方では、アリーシャが出迎えた農家の人々と話しながら、蜜源植物の栽培方法について意見交換をしていた。
「この植物はあまり世話が必要なく、とても育てやすいのが特徴です」と、手に持ったサンプルを見せながら話すアリーシャ。その周りには、興味深く聞き入る参加者たちが集まっていた。
一方、ドラゴンテイルのメンバーたちは、訪れた若い冒険者たちにミードを勧めながら、その元気を高める効能について語っていた。
「これは俺たちの疲れた体を癒してくれるんだ。新しい冒険に出る前にちょうどいいぞ」とライアンが自らの経験を交えて話すと、サラも「ミードを飲むときは、ゆっくりと時間をかけて味わうといいわ」とアドバイスする。
時間が経つにつれ、広場にはさらに多くの人々が集まり始め、蜂蜜の香りと人々の熱気で盛り上がりは最高潮に達した。
ミツルたちは様々な参加者からの反応に自信を深め、品評会の成功を確信していた。
午後になり、商人ギルドのエドマンドと副ギルドマスターのフランクが現れた。
彼らは品評会の評判を聞きつけ、自らその場を訪れていたのだ。
「これはまた素晴らしい集まりだね。君たちの蜂蜜、さっそく試させてもらったよ！」エドマンドは満足そうに言い、フランクも「これなら市場への進出もすんなりいくはずだ」と感心していた。
ミツルは彼らに感謝を伝え、今後の協力について話し合う時間を設けることを決めた。
商人たちとの連携が取れることで、蜂蜜産業の発展はさらに加速するはずだ。
そして夕方が迫る頃、品評会は無事終了。
数多くの好評を得たことに、ミツルたちは満たされていた。品評会の片付けを終え、皆が集まるとミツルは満面の笑みを浮かべた。
「みんな、本当にお疲れ様！今日は大成功だったね。これからも頑張っていこう！」
仲間たちは拍手を送り合いながら、その瞬間を称えた。未来への希望を胸に、ミツルたちは次なるステップに向かってゆっくりと歩みを進め始めた。
