第73話: 王都ベルディア到着
翌日の朝陽が美しく山並みを照らし、ミツルたちは新たな期待を胸に王都ベルディアへの最終の旅路に向かっていた。
道中では新たな魔物との戦闘や、不思議な蜜源植物との出会いを経て、彼らの冒険は無事にここまでたどり着いた。
「やっと王都が見えてきたね。」ミツルは旅の疲れを顔に残しつつも、目の前に広がるリハルトでも見た事の無い立派な建物を指さした。
「そうね、明るくて賑やかな感じがするわ。」エルザは遠くを見つめて、その景色を楽しんでいた。
「これがベルディアか。田舎の村出身の私は始めて見る規模の都市だわ。」アリーシャも、期待と緊張の入り混じった様子で呟く。
エリオット、ライアン、サラは、そんなミツルたちの姿を見守るようにその後に続く。「さあ、しっかり見ておくんだ。ここベルディアは、情報と人が交わる場所。この旅の主役は君たちだよ。」とエリオットは励ます。
「ありがとう、エリオット。これからが本番ってことですね。」ミツルは笑顔で応える。
都市に近づくにつれ、道には商人や旅人、冒険者たちが行き交うようになり、この地が持つ活気が伝わってくる。マーケットには様々な商品が並び、明るい声が飛び交っている。
王都へ入る前にしっかりと身分確認をして、衛兵達にバルドウィン卿からの手紙を見せて冒険者や商人ギルドへ行きたい!との旨を伝える。
無事問題ないと認められ王都の門を進んで行くと、彼らの目の前に広がるのは、想像を超えた賑やかな風景だった。
賑やかな市場を抜けると、冒険者や商人、旅人たちが集まる広場に広がり、情報の交差点として機能していた。
各地から集まった人々が言葉を交わし、蜜を探すミツルたちの目には、その多様な人々の様子が新鮮だった。
「何か美味しい物を売ってるかな?」とアリーシャはキラキラした目で屋台を眺めている。
「ここは物が揃ってるね。養蜂関係の道具も見つかるかも。」エルザは既に理屈的な興味を燃やしていた。
その時、少し進んだ広場の一角で、様々な蜂蜜関連の商品を展示している屋台が目に入る。
「おっ、この市場で商談を進められたら最高だね。」ミツルが期待を込めて声をあげると、エリオットは笑顔で頷いた。
「よし、この流れで色々と進めてみよう。君たちのこれまでの努力をどんどん見せていくんだ。」
ドラゴンテイルの仲間たちと共に、ミツルたちは早速王都での最初の商談に臨むことを決意し、商人の中心である商人ギルドを目指す。道中、彼らは少しずつ、街の生活に馴染んでいく。
「ここがベルディアだね。想像以上に賑やかだ。」ライアンは物珍しさに目を輝かせ、周囲を見回していた。
次のステップとして、彼らは王都のギルドを訪れ、ミツルたちの計画を進めるための重要な手続きを行うつもりだった。養蜂プロジェクトの新しい展開を実現するため、ギルドとの繋がりが鍵となる。
「さあ、いよいよギルドに行くところだね。協力が得られるかどうか、ドキドキするよ。」とサラはやる気をみなぎらせていた。
「大丈夫、君たちならきっとうまくやれるさ。」エリオットは力強く彼らを後押しする。
そうして、ミツルたちの王都ベルディアでの新たな挑戦が、静かに幕を開けた。
都市の大きな可能性を巡りながら、彼らの旅は今尚続き、より良い未来を築いて行く過程の中で繋がりを深め、様々な出会いを重ねていく。
一つの街道が繋ぐのは、自分たちの勇気と新たなる挑戦であり、それはこの先に続く未知の可能性へと導くものであることを、ミツルたちは強く感じ始めていた。
新たな土地での挑戦、出会う人々、そして広がる未来。彼らは歩みを止めることなく、確かな一歩を進めていく。




