第72話: 魅惑の道中
陽光が眩しく地を照らす中、ミツルたちはドラゴンテイルのメンバーであるエリオット、ライアン、サラと共にアシュフォード王国の王都ベルディアを目指して旅を続けていた。
道中、多くの貴族や協力者たちに巣蜜やロイヤルゼリーを届け、新たな取引関係を構築してきた彼らは、次の街を目指して街道を歩いていた。
「ここから王都までは、まだまだ距離があるから気を抜かずに行こう!」ミツルは地図を広げながら言った。
「そうだね。俺たちも気を引き締めていかないとな。」エリオットが横から覗き込み、仲間への注意を促した。
彼の言葉には仲間への信頼と共に、未知の領域に対する期待が込められていた。
「ねぇ、このあたりって何か面白い植物でもあるのかな?」エルザが興味津々に周囲を見渡す。
「植物探しなら、アリーシャも喜ばせてくれるよ。」ミツルがからかうように肩を叩くと、アリーシャが笑顔で手を振った。
「もう、いじわる。だけど、何か新しい蜜源植物が見つかれば嬉しいわ。」アリーシャは期待に満ちた眼差しを向けていた。
そんな中、道の脇から不思議な花が咲き乱れているのを発見する。
「この花、なんだろう?今まで見たことない種類だよ。」アリーシャは花に近寄り、その香りを嗅いでみる。
「おお、これは興味深いな。この花を研究すれば、新しい種類の蜂蜜が作れるかも。」エルザも確認しながら、心を躍らせた。
しかし、その瞬間、背後の草が大きく揺れ、不気味な音を立て始めた。「なんだ…!?」ライアンが剣を構え、エリオットとサラもすかさず戦闘体制に入る。
草むらから現れたのは、見たことのない異形の魔物たちだった。巨大な昆虫のような体に恐ろしい顎を持つその姿に、ミツルたちの背筋は一瞬だけ凍った。
「注意しろ!こいつら、今までのとは違う!」エリオットが警戒を促す声を挙げる。
ミツル、エルザ、アリーシャもドラゴンテイルとの訓練で培った戦闘技術を最大限に活かし、各自の武器を構える。「エルザ、アリーシャ、しっかり周りを見て!」ミツルが指示を飛ばす。
「了解、こいつらの動きは予測できないね。」エルザは弓を準備し、音のする方向を警戒する。サラは後ろから呪文を唱え、仲間たちに加護を与えた。
「何だか攻撃してきそうで心配だけど、こっちは信じられる仲間たちがいるから大丈夫!」アリーシャは自信を持って弓を引き絞る。
魔物たちはその間、猛烈な速さで近づいてきた。一頭がライアンに向かって襲いかかるが、ライアンは巧みに素早い動きでかわし、剣で一閃した。
「行け、ライアン!」エリオットが援護射撃を放ち、ライアンの背後を固めた。エリオット自身も前に出て、肩を並べつつ魔物に応戦する。
「うおっ、こいつ硬ぇな!」ライアンは驚愕する。
エルザとアリーシャは、ライアンの周りを飛び交う魔物たちに冷静な判断で矢を打ち込んでいく。「少し当たったけど、なかなかの防御力ね。」エルザがつぶやく。
ミツルはナイフを手に戦場を駆け回り、直接攻撃と共に魔物の動きを封じ込めるためのサポート技術を駆使し、エリオットたちの援護に努めた。「エリオットさん、こっち側は俺たちに任せて!」
サラの回復魔法が流れるように発動し、ライアンの体力を回復させた。「準備は整っているわ。次の攻撃に対応して!」サラが言葉で彼らを支える。
ドラゴンテイルとミツルたちの連携がうまく作用し、次第に魔物たちへの対処法も見えてきた。
時間をかけて彼ら全員の力を結集し、魔物たちは次々に力尽きていく。
「やったぁ、何とかなったみたい…」アリーシャが息をつきながら、ようやく平穏が戻った道を眺めて笑みを浮かべた。
「皆、無事か?」エリオットが仲間たちに顔を巡らせながら確認した。ミツルは頷きながら、「はい、全員無事です。」と安心した様子で答えた。
彼らは草むらから飛び出してきた魔物たちを見下ろしながら、安堵の表情を浮かべた。
その瞬間、一匹のハニィウィングが彼らに向かって微かな音を立てながら飛んでくる。
「このハニィウィング…もしかして、さっき見た植物の蜜を集めようとしていたのかもね。」ミツルの胸に新たな興味が芽生える。
「こうして出会った新しい植物や蜂、これからもっと調査が必要だね。」エルザが言葉を重ねる。
「じゃあ早速、やるべきことを確認して手を付けていこう。」アリーシャも次の行動に思いを巡らせた。
戦闘によって得た新たな発見、それに伴う期待を胸に彼らの心はさらに強固になり、旅を通じて彼らの結束はより強まった。
ミツルたちはこの経験を糧に、次の目的地に向けて旅を続けるのであった。




