第61話: 連鎖の始まり
エドワード逮捕のニュースが領地全体を駆け巡り、ようやく悪事が明るみに出たことで、アシュフォード領には希望の光が差し込んだ。
この日、バルドウィン卿は領地の住民たちを前にし、さらなる改革の決意を表明する準備をしていた。
領民たちは、領主の言葉を待ち望んで集まり、その中にはミツルやドラゴンテイルのメンバー、さらにリハルトの冒険者ギルドのギルドマスターバルドック、商人ギルドのギルドマスターオルガなどの重要な人物たちが顔を揃えていた。
バルドウィン卿は壇上に立ち、深い息を吸い込み、次に発する言葉を慎重に考えた。
この瞬間は領地の未来を切り開くための第一歩であり、領民たちの心に希望を灯す時間であることを理解していた。
「皆さん、まずは私自身の力不足により、長らく皆さんに不遇な状況を招いてしまったことをお詫び申し上げます。」彼は静かに語り始め、深々と頭を下げた。住民たちの間にささやかなざわめきが起こるが、すぐに静かになった。
「私はこれまで、貴族たちの悪業を見過ごし、皆を守るべき立場にありながら、結果的にこれを許してしまいました。皆が受けた不当な扱いやそれに伴う苦労を思うと、心から痛みを感じます。ですが、この度の事件を契機に、一からの改革に努める所存です。」
会場に集まった人々は、バルドウィン卿の謝罪を重く受け止めつつも、その誠意ある姿勢に注意を向けていった。
彼は更に続ける。「これから私たちは、領民全員が平等に恩恵を受け、確かな未来を築くために、様々な変革と変更を行っていきます。市民皆さん、村々に住む皆さん、そして商人や冒険者など、すべての関係者の協力をお願いしたいのです。」
ミツルが一歩前に出て、バルドウィン卿を支持する立場を明確に示した。「僕たちはこの領地を愛しています。そして、卿が描こうとしている未来に共に歩むことを決意しています。やれることなら何でも手伝いますよ。」
それに続いて、ドラゴンテイルのリーダー、エリオットも頷き、賛同の意を表明する。「私たちも同感です。新しい時代を共に作りましょう。」
また、冒険者ギルドのバルドックと商人ギルドのオルガも、一致して支持を申し出た。「我々も冒険者や商人の交易を活性化させ、この土地がさらに発展する手伝いをしたいと思います。そして各支部、冒険者や商人との連携を取り現地の情報収集や状況を伝え改善する事で協力したいと思います！」
蜂蜜街道に関与するフローリア村の村長アーノルドも、心からの賛同を述べる。「蜂蜜産業が再び輝きを取り戻すために、新しい政策と改革を支持します。これが私たちの村は勿論、関係する村々や周辺地域にも大きな希望をもたらしますと信じております。」これらの意見が次々と述べられ、会場全体がバルドウィン卿のビジョンに向けて一体感を増していく。
卿は、彼らの協力と信頼に感謝し、力強い声で宣言を続ける。「エドワードの不正行為が告発されたことを起点に、我々は大きな進歩を遂げます。それは、ただ貴族の特権を渡すだけではなく、すべての人々がカードを共有し、共に働く未来を構築することです。」その言葉が響き渡る中で、人々は新たな希望の光を感じるようになっていった。
この状況は、アシュフォード領全体に波及し、貴族たちの悪業が次々と明るみに出るきっかけともなった。エドワード逮捕を契機に、他の不正を行っていた者たちも影響を受け、すべての問題を公にすることが不可欠となっていく。
一方で、この変革により領地の改革が始まり、住民たちはバルドウィン卿の呼びかけに応じて協力し合うようになった。彼らの心に宿った団結とその結果としての改革は、新たな時代に向かう確かな道しるべとなる。
それは、これまでの過ちを悔い改め、新たな秩序を築くための一歩であり、それぞれが未来への一翼を担うという責任と誇りを感じる瞬間だった。
これから待ち受ける変革の波に対し、全ての人々が前向きな姿勢で準備を整えていた。未来への希望が、彼らの心に大きく広がっていく。
このようにして、アシュフォード領はさらなる発展に向けて動き出し、多くの課題を克服しながら、そこに暮らすすべての人々がより良い生活を求めて力を合わせて進んでいくのであった。
