第60話: 真実の開示
エドワードの捕縛作戦が成功裏に終わり、アシュフォード領は新たな朝を迎えた。
その日、領地内では住民たちが続々と集まり、空気はざわめきに包まれていた。エドワードの不正がこの日、遂に公にされることになる。
それは彼らにとって長い闇夜に終止符を打つための重要な節目だった。
城の広間には、バルドウィン卿をはじめとする幹部たちや、ミツルたちのチームが集まり、場内は重厚な緊張感に包まれていた。
ジョナサンが準備した証拠の山が中央のテーブルに積まれ、これから公開されるべきすべての証言や文書も整然と並べられている。
「さあ、始めよう。」バルドウィン卿は深い息をつき、落ち着いた声で会場に向けて言葉を放った。
そして、エドワードの悪行を時系列に従って暴いていくことにした。
「まず初めに、エドワードがこの領地でどのようにして権力を掌握しようとしていたか、その背景を説明しよう。」彼の言葉が始まると、ジョナサンが一歩前に出て、調査の過程で集めた資料をもとに語り始めた。
「エドワードは、貴族間で培ったネットワークを巧みに操り、贈賄や収賄を繰り返してきました。その結果、領地内外の交易と財政を不正に操作することに成功していたのです。」ジョナサンの説明に、集まった者たちは驚きと怒りを新たにし、その声に聞き入っていた。
証拠が開示されるに従い、エドワードらの不正が如何に領地を蝕んできたかが、次第に明らかになっていく。一つ一つの証言には、エドワードとその協力者たちが関与した具体的な取引の詳細が含まれており、これが明白な不正の証となっていた。
中でも、ミツルたちが重要視していた蜂蜜の利権については、エルザとアリーシャが立ち上がって説明を行う。
エルザは、薬草やハーブの花から得られる特効成分を含む蜂蜜が、如何に地域の経済に貢献しているかを伝えた。
「この蜂蜜の利権をエドワードは独占しようとしていました。それを阻止するために、私たちはミツルの導入した養蜂技術を最大限に活用しました。」エルザの宣言に会場の視線が集まり、その意義が改めて理解されていく。
さらにアリーシャは、自らが率いていた街道沿いの畑の管理について説明を続ける。「街道の重要性を再確認し、貿易を活性化させることがどれほどこの領地にとって重要だったか。エドワードの不正が露呈することで、これから改善の道が拓かれるでしょう。」
ミツルはそこに力強く続けた。「私たちの使命はエドワードを捕まえることだけではありません。領地を再生し、未来の世代に誇りを持って引き継げる場所にすることです。それができることを、これで証明してみせます。」すべての証拠が公の場で認識されたことで、集まった人々の間に一体感が生まれ、彼らの心に希望の光が灯った。
更にバルドウィン卿が締めくくる形で、一連の行動の総評を行った。「今回のことを踏まえ、我々は新たな体制の下で領地を運営していきます。皆が互いを信じ合い、協力することで明るい未来を掴みましょう。」
エドワードの悪行が明るみに出たことで、領民たちの不安は徐々に解消されていき、新たな時代への期待が膨らんでいった。
ミツルたちが活躍した今回の出来事は、彼らの地位を更に確かなものとし、領地全体の改革への大きな一歩となることを予感させた。
これからの領地運営には、新たなる期待と共に数多くの課題が残されている。だが、彼らの胸には確固たる信念が刻まれ、前に進む決意が再び確認されたのだった。
