第54話: 証拠の収集
ジョナサンは、エドワードに対抗するために必要なピースを全て集めるべく、息を吐きながら思索に耽っていた。
前回の調査で取得した情報は貴重だが、証拠として扱えるものはまだ不足している。
彼の目の前には、その情報を活用し、いかにエドワードの計画を暴いていくかの課題が山積していた。
その朝、ミツルやエルザ、アリーシャとともに、村の中心にある広場に集まった。彼ら全員がこの会議の重要性を理解し、すでに顔つきが引き締まっている。
エルザが口火を切った。「ジョナサン、今の状況をもう一度整理してくれる？」
ジョナサンは頷き、折りたたんでいたメモを広げた。「エドワードが行っている不正は、税金の不当な徴収や違法な取引を含んでいることが分かりました。領地内での彼の影響力を削ぎ落とすために、これらの活動の証拠をきちんと集める必要があります。」
ミツルが腕を組み状態を考察する。「具体的にはどう動くんだ？証拠を集めるって、一筋縄じゃいかないだろ？」
「その通りだ。」ジョナサンは肯定すると同時に、その目に鋭い光を宿した。「アーネストを含むエドワードの協力者たちの動きをもっと詳しく追う必要がある。彼らがどのようにして利益を上げ、どんな方法でそれを隠蔽しているのか、それが肝心だ。」
アリーシャが不安そうに問いかける。「でも、そんなのどうやって掴むの？文書とか、証言とか、そういう具体的なものが必要なんじゃないの？」
ジョナサンは微笑み、「確かにその通りだよ、アリーシャ。でも動くのは俺だけじゃない。協力者たちに接触し、内部の情報を引き出すルートを作らなきゃ。」
そこでミツルが前に進み、「じゃあ、俺たちも手伝うよ。できるだけ密かに進めるためには、皆の力が必要だ。」彼の決意は固く、仲間たちもその背を押すように頷いた。
その後、ジョナサンは彼の情報網を利用し、貴族たちの不正な帳簿が隠されている場所を突き止める作戦を練り始めた。
彼らは一つのチームとして、証拠を確保するための計画を細かく詰め、着々と準備を進めていく。
町に潜む日々が始まった。バルドウィン卿の協力のもと、領地内の協力者たちへの接触を試みることで、役人あるいは商人との取引の実態を掴む。
彼らは夜陰に紛れて、密かにエドワードの周囲を動く人物たちと接触を図り、少しずつ証拠を掻き集めていった。
ある夜、ジョナサンは夜遅くまで続けられる闇取引の現場に到達し、そこで命を賭けて重要な帳簿を手に入れることに成功する。
帳簿には、偽装された入出勤記録の証拠と、エドワードがどのようにして賄賂を使い領地内を操っているかが詳細に記されていた。
彼はその証拠を含め、今回の調査の成果をミツルたちに説明していく。彼らは全ての情報を基に計画を練り直し、ついにエドワードを追い詰めるための最終準備へと突入する。
「ここからが本番だ。」ジョナサンの声に力強くこたえるミツルの仲間たち。バルドウィン卿もまた、彼らの急所を突くためのリーダーシップを発揮し、エドワードが計画していた全ての悪事をあぶり出すことを約束する。
彼らは、ついに得られた証拠を持ち寄り、エドワード周囲の包囲網をさらに狭めていく。
影のように暗躍する不正の行いが、ようやく光の元に晒されようとしていた。
領地を守るための戦いが、いよいよ佳境に入るのを感じながら、ジョナサンたちは決して諦めずにその日に向けて歩を進めていった。
