第49話: 疑惑の芽生え
夜が更け、フローリア村の上に星々が輝く頃、村の周囲では不穏な動きが繰り広げられていた。
前回襲撃された養蜂場の近くには、リハルトから派遣されたはずの騎士たちが巡回を行っていたが、彼らの態度はどこか粗暴で、他の騎士たちとは異なる印象を与えていた。
ドラゴンテイルリーダーのエリオットは、騎士たちの様子を窺っていてその違和感を感じ取っていた。
彼はこれが何か悪質な陰謀の兆しであると直感し、養蜂場近くの人目のつかない場所で夜を過ごし、騎士たちの動向を監視することに決めた。
悠々とした夜風が彼の身を心地よく包みこむ中、その裏には緊張感が漂っていた。
時が経つに連れ、騎士の一団の中から、副団長であるトーマスの姿を確認した。
彼の傍らには、商人のように見える男—ウィリアムと名乗っていた人物—がいた。さらにそこには、決して騎士ではなく明らかに盗賊と推測される者たちも共にいた。
影から彼らの会話に耳を澄ませていたエリオットは、目の前で繰り広げられているやり取りに注意深く耳を傾けた。
「トーマス、先日の仕事は見事だった。報酬は約束どおりだ。しかし、次の計画も控えている。この蜂蜜街道の妨害が我々にとってどれほど重要か理解してくれているだろう?」ウィリアムが自信を持った口調で話しかけた。
「もちろん、ウィリアムさん。我々の利益を守るために必要なことを俺たちはやっているだけだ。次の手はどうする?」トーマスは力強く答え、彼の目には忠誠心と思える光が浮かんでいた。その目の先には利己的な野望の炎が揺れているようだ。
盗賊の一人が口を挟む。「心配いらない。我々はすぐに次の目標を見つけ出し、行動に移す。準備はできている。」
会話は続く中で、取り組むべき新たな計画について語られる。エリオットは息を呑みながらその全てを見守り、彼らが報酬と称する袋を受け渡す光景を目の当たりにする。
次々と交わされる言葉に耳を傾ける彼は、その場の緊張感と共に次の動きが誰にとっても危険な局面を迎えることを示唆していることを感じ取った。
急死に一生を得たエリオットは、その夜の出来事を慎重に記憶に留め、ライアンとサラにこの事実を伝えるべくその場を立ち去った。
その心には一つの新たな疑惑が芽生えていた。それは、敵は内に潜んでいるという確信だった。
その翌朝、ドラゴンテイルのメンバーとミツルたちは慎重に集まり、エリオットの得た情報を共有した。
「これはただの盗賊じゃないよ。この地域で起きていること、何かがある。」エリオットの声には緊張が走っていた。
「トーマスと言う騎士団副団長が暗躍してたのか。どう考えてもまともな騎士には見えない。」ミツルは言葉を選びながら応じた。
それに対して仲間たちも次々に意見を述べ、全員がエドワードに対する疑念を抱いていた。彼らはさらに一致団結し、今後どのように対処するべきかについて深く考えることになった。
「エドワードたちの企てについては、まず間違いなく我々だけでは解決できない。ミツル、状況を再度整理して、バルドウィン卿と面談の準備を整えてくれないか。」ドラゴンテイルのメンバーの一人が提案する。
ミツルは静かに頷き、事態の重要性を改めて胸に刻んだ。その後、彼は仲間たちと共に、具体的なプランを組み立てるために行動を開始した。
ミツルは、自分たちの持つ情報をもとに、バルドウィン卿とも話し合いの機会を設けることを決意した。
それにより、彼らの目指すべきキーが何であるかを見極め、ミツルたちは新たな一布を進む決意を新たにするのだった。




