第47話: エドワードの野望
朝の光がフローリア村を明るく照らし、いつも通り賑わっているように見えた。しかし、その背後では陰謀が静かに進行していた。
村の影で糸を引くのは、野心家のエドワード・ブラックウェルだ。彼の視線には鋭い光が宿り、自身の影響力や利権が薄れることを恐れていた。特に、蜂蜜街道の成功が彼の支配下にある利益を脅かすと認識していた。
エドワードは権力を失いたくないという焦燥感から、長い間温めてきた計画を遂行しようとしていた。彼はかつて、バルドウィン卿の名の下で、様々な事業や取引を率いてきた。
バルドウィン卿やアンドリューの目を盗み騎士団長と言う役職や地位を使い自分の思い通りになる人間を組織したり、犯罪に手を染めた盗賊団や小悪党達を見逃す事で裏での権力を着々と拡大していった。
全ては実家であるブラックウェル家を大きくする為と三男と言う立ち位置の為当主として認められず、騎士団に送られその中で着々と実績を積み、家柄を利用して上り詰めっていきやっと団長のポジション迄行き着いた。
エドワードはもっと上を目指し、親たちを見返したかった。その中で築き上げた利権は、幾百もの取引を経て、自らの力を示すものとなっていた。
そのため、蜂蜜街道の開通によって、それらの利権が無に帰すことを危惧していたのだ。
一方、エドワードが信頼を寄せる悪徳商人ウィリアム・ホワイトは、彼の隠れ家に足を運ぶ。
ウィリアムは金を愛し、利権のためにどんな手段にも躊躇しない男だった。長年にわたり、彼はエドワードと共に村の発展を阻む計画を立て続けていた。
「ウィリアム、いよいよ行動を起こす時が来た。蜂蜜街道は、我々にとって大きな脅威だ。私達でやっている検問所での通行料や賄賂での見逃し、違法な商品等の密輸、密売等この街道が出来ると維持するのが難しくなるし、もしかするとこれが表沙汰になってしまう可能性もある。何とかしないとな。」エドワードはその言葉に含みを持たせる。
ウィリアムは静かな笑みを浮かべ、エドワードの懸念に答えた。「確かに、貴方の提案は理に適っている。利権を守るためには動かねばならん。盗賊団を活用するというのは良い手だ。最近勢力を伸ばしてきている盗賊団を使って治安の悪化や街道整備を邪魔したり、作った建物を破壊すれば中止に出来るかもしれないし、最悪は完成を遅らせられて、その間に悪評を拡散する事も出来るはず。そうすれば仮に開通しても利用者は減ると思います。」
彼らはこれまでにも影響力を駆使し、様々な汚職や不正行為を繰り返してきた。
例えば、エドワードは密かに税収の一部を操作し、村の発展を妨げる一方で、自身の懐を潤してきた。ウィリアムもまた、偽の商取引を通じて利益を得ながら、必要以上に価格を釣り上げることで村の経済をコントロールしてきた。
さらに、彼らは利害関係のある盗賊団とも親しい関係を築いてきた。この盗賊団は、隙を見つけては村や周辺の商業街から品物を盗み出し、その一部をエドワードとウィリアムに渡してきた。彼らにとって、この犯罪行為は資金調達の一環に過ぎなかった。
「我々の目標は、ただの襲撃ではない。フローリア村を混乱に陥れ、我々の権力を安定させることだ。」エドワードの声には、野心が色濃く反映されていた。「あのミツルと彼の仲間たちを追い詰める時が来た。」
ウィリアムは頷き、盗賊団の準備が整い次第、行動を開始する旨を伝えた。「了解した。僕の接点を最大限に活用し、行動に移ることにしよう。」
こうして、エドワードとウィリアムによる非道な計画が進行していく。
村の未来はこの悪しき陰謀の影に脅かされかねない状況だったが、彼らはあくまで自分たちの利益を最大化すべく動いていた。
エドワードとその部下たちがフローリア村に及ぼす影響は計り知れず、彼らの策謀によって闇に包まれる可能性が浮上していた。
村の平和を守るミツルたちがこの状況をどう乗り越えるのか、その運命が大きく揺れていた。




