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異世界養蜂革命  作者: 華蜂師
第3章:蜂蜜街道と領主の願望
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第43話: 協力と調和への道筋

フローリア村には夏の初めの晴れ渡る一日が訪れていたが、その澄み渡る青空とは裏腹に、村の中心では緊張感のある会議が続いていた。

ミツルは村の広場に隣接する集会室に入り、周囲の顔ぶれを見渡した。


彼の視線の先には、冒険者ギルドのギルドマスターであり、今回の議論の重要な役割を担うバルドックのほか、領主であるバルドウィン卿や建築担当のボリス、ベリル村とフローリア村の村長と側近が揃っていた。


バルドウィン卿が会議の進行を促し、集まった全員に向けて声をかけた。「皆さん、先日はお集まりいただき、ありがとうございます。今回の会議は、蜂蜜街道を進めるにあたって起こっている問題、特に魔物たちとの共存についての話し合いを更に深めるためのものです。いつも通り、率直な意見を待っています。」


ミツルは、エルザやアリーシャと目を合わせつつ、一歩前に出て意見を述べる。

「僕たちが共存を図るべき魔物の中で、特にアースベアが生活圏に影響を及ぼすということが分かっています。それを避けるために、彼らの嫌う植物を街道沿いに植えることで、日常的な衝突を避けつつ、自然に彼らが道路から距離を取るようにするのはどうでしょう。」


その提案に、村のミード製作隊メンバーの一人カミラが手を上げ、口調で意見を述べた。

「そうですね。アースベアの好む植物を森の中に定期的に植えるのもいいかもしれません。そうすれば、彼らの居場所が自然と奥へ移動するだろうし、これでアースベア等の危険な魔物の生活圏と人間の生活圏が分けられればむやみな殺生や私達の安全も確保出来るのでいいかと思います。」


アリーシャも前のめりになり、補足した。「確かに、アースベアにとって居心地のいい環境を作るのも必要ね。そうすることで、自然に街道から離れるように誘導できるかもしれない。」

エルザが研究内容を加味しつつ、この方向性を支持する。「私たちが特定した植物は、アースベアにとっては理想的な食物源ですし、これをうまく活用して植生を調整していくのが良さそうです。」


ここで、ドラゴンテイルのリーダーであるエリオットが、慎重に意見を述べた。

「ただ、これが他の魔物にどう影響を与えるのか、私たちにはまだ分からないことも多い。この計画には少しリスクもあると思うから、別の魔物の目撃例が出た時にどう対応するかも考えておきたいな。」


ベリル村の商人ベックからは「フローリア村周辺はそれでいいかもしれないが、ベリル村周辺やリハルト、そのほか周辺の森はどうするんだ?」と疑問を投げかける。


その質問に関してはリハルトの冒険者ギルドのギルドマスターバルドックから「その懸念はもっともだと思う。だが現状全てにおいて完璧な対応をする事は難しいので、冒険者から情報を募ったり、商人ギルドのオルガにも協力を願っている。リハルトで調査隊を立ち上げて定期的に周辺の状況や影響を確認する方向でとりあえずは考えている。」


その話を聞いたドラゴンテイルのリーダーであるエリオットが「その調査俺達が引き受けられないだろうか?そもそもミルツの蜂蜜やミードをリハルトで広げよう!と言ったのも俺達だし、みんな事もを知っている上、蜂蜜や蜂の魔物、それ以外の魔物にもある程度の知識があるから各村や各所への報告等もスムースになると思うんだよ!」と率先して協力する姿勢を見せた。


そんなリーダーのエリオットの発言を聞いたサラは「エリオットの気持ちは分かるし、私も同じ気持ちよ。それにこれが上手く行って美味しいミードが沢山飲めたらそれはそれで嬉しいしね。」とおどけて見せる。

そこで酒好きのボリスが「そりゃそうだ!わしからしたらそれが一番大事なことだわい!」と言うとみんなから笑顔がこぼれた。


会議では、計画の具体的な運用に関する意見交換が続いた。魔物との共存を図るための計画のもと、村の協力体制は一段と強化されていく。

参加者たちは、それぞれの知識を活かし、新しい挑戦に向けた意見を交わし合いながら、具体的な行動計画を練り上げた。


会議は終盤に差し掛かり、バルドウィン卿が締めの言葉を述べる。「共存の道は決して容易くはありませんが、私たちが一つとなり力を合わせれば、必ずや良い道筋を見つけ出せるはずです。何か困難が生じた時には、再度話し合いましょう。」


会議を終えたミツルは、外に出て爽やかな風を感じながら歩いていた。この一連の取り組みが地域にどれほど大きな影響を与えるのか、彼はその責任感を噛みしめつつ、それでも一歩一歩を進んでいく決意を新たにした。

ミツルたちの努力は、共存という新たな形に向けた希望の一歩となるはずだ。


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