第34話: 商業ギルドとの交渉
リハルトでの冒険者ギルドでの納品を終え、ミツルたちは次なる目的地である商業ギルドに訪れた。
興奮の中で冒険者たちとの成功を胸に、商業ギルドでの取引をサポートしてくれたバルドックにも感謝の意を表し、友人として別れを告げる。
商業ギルドのギルドマスター、オルガのオフィスに通されると、内部は洗練された装飾と品物で溢れており、交渉の場としての重厚感が漂っていた。
オルガは肝の据わった人物で、長年にわたりリハルトの商業発展に寄与してきたベテランだ。
「やあ、ミツル。今回はどんな商品を持ってきてくれたのかな?」オルガの声は興味と期待に満ちている。やはり冒険者ギルドでの評判が早速彼の耳に届いているようだった。
ミツルは用意してきた蜂蜜とミードをオルガに見せながら、その詳細を説明する。
「これは、前回お持ちした蜂蜜以外に新たな薬草から採取した蜂蜜です。そしてミードも熟成期間別に幾つか持ってきました!冒険者ギルドでは好評でしたよ!」と商品の説明をし始める。
オルガはそれを試飲し、「確かに品質は申し分ない。とても良いものを持ってきたね。以前君達に伝えた条件は満たせそうなのかね?」とかなり商売に関してシビアな目を向けつつも、その意味を理解しようと努めていた。
ベリル村との共同運営で新たな養蜂場やミード製作所の計画の話や冒険者ギルドにお願いした依頼内容を伝え条件を満たし、今後の取引をするにつれオルガの懸念事項は払しょくできるだろう!と言う旨をミツルが話した。
「実際のところ、貴族からも問い合わせがあるんだ。ミツルが持ってきてくれた蜂蜜を求める声が日々増えている。この品々が貴族たちの間でも評判になることは間違いないね」と、オルガは商機を嗅ぎ取っている。
「それならば、需要の高い蜂蜜の他に、ロイヤルゼリーやプロポリス、蜜蠟や巣蜜といった高級志向の商品も少量ながら用意できるかもしれません。これらは普通の蜂蜜よりもさらに高い価値を持っているので、貴族向けには最適かと」とミツルは新たな提案をする。
オルガは興味を深め、ミツルの提案に対して前向きな姿勢を見せた。
彼との今後の提携をさらに強固にするため、詳細な計画や出荷ルート、協力体制を話し合い、まずは試験的に少数を貴族向けに提供してみる事となった。
「君たちの提案は実に魅力的だ。これを機に、共にビジネスを拡充していこう」とオルガは決意を新たにした様子で、二人は固く握手を交わす。
交渉が無事にまとまり、ミツルたちはリハルトでの大きな成功を心に刻みつつ、今後の計画に期待感を高めていた。
フローリア村とベリル村の努力が、更なる飛躍のステップとなり、彼らの名声はより遠くまで広がっていくだろうという確信に満ちている。
この成功を足掛かりに、ミツルと仲間たちはより一層力を合わせて新たな冒険を進め、彼らの持つ情熱と知識で、未来を切り拓いていく決意を固めるのであった。




