第33話: リハルトへの納品
ミツルたちがリハルトに到着すると、お祭りのような賑やかさで迎えられる。
彼らの蜂蜜とミードが冒険者ギルドに届けられるとの噂が既に広がっており、冒険者達は彼らの到着を心待ちにしていた。
「待っておったぞミツル!」冒険者ギルドのギルドマスター、バルドックが彼らを出迎える。
「いやぁ、蜂蜜とミードは無いのか!って連日問い合わせが殺到しててさぁ。特に酒好きの冒険者共からミードが飲みたい!と言われて辟易していたんだよ!」
「ありがとう、バルドックさん。今回もいろいろと持ってきたから、ぜひ試してほしい。」とミツルは笑顔で答え、荷物を開いて新たな商品を取り出す。
冒険者ギルドに卸したのは持ってきた蜂蜜とミードの三分の一。
冒険者たちの間で人気を博している体力回復や睡眠効果、さらには麻痺効果のある蜂蜜が次々に並べられる。それを目にしたバルドックは、再度その品質の高さに驚きを隠せない。
「これはやっぱり人気が出るよ。味ももちろんだけど、冒険者にとってはその効果が特に嬉しいんだよ。」とバルドックが蜂蜜を一口舐めながら言う。
さらに、ミードも注目の的だ。ドラゴンテイルのメンバーやミードを飲んだ事がある冒険者達が感想を語ると、他の冒険者たちからも試飲したいという声が響く。
試飲の後、その芳醇な香りとさっぱりとした飲み口に皆が感動の声を上げる。
「今回持ってきたミードは前回よりも熟成期間が長くなったから味わいはもちろん度数も高くなっているから美味しいと思うよ!かなりの自信作なんだ!」とミツルがみんなに伝える。
「ミードも大満足だよ。これならリハルトどころか、広く売り出せる商品になるぞ。」とバルドックが太鼓判を押す。
卸しを終えた後、ミツルはふと一つの提案を思いつき、バルドックに持ち掛ける。
「バルドックさん、お願いがあるんだけど…崖や岩壁、洞窟などの普通じゃ行けない場所にある蜂の魔物の巣を探してほしいんだ。新たなる蜂蜜を探しててね。」
「それは面白い提案だが…しかし、危険と隣り合わせだぞ?」
「わかってる。最悪、巣を見つけてくれるだけでもいいし、可能なら蜂の魔物を生きたまま確保してくれると嬉しい。協力してくれる冒険者にはそれなりの報酬も用意するよ。」
この提案にバルドックは興味を示し、「冒険者たちの訓練と、何より面白そうだからやってみる価値はあるな」と了承する。
冒険者たちもこの話を聞き一様に感心し、挑戦してみようと意気込みを見せた。
「報酬はお金で支払うのも良いが、蜂蜜やミードと言った現物での支払いも可能!と言うと冒険者達から歓声が上がる。」
この新たな活動の計画がまとまり、ミツルたちはリハルトにいる間、多くの冒険者と交流する。
彼らから得る情報は、新たな蜂蜜を求める旅路において非常に有益であり、新たな商品開発のヒントともなるだろう。
商談が終わった後、ミツルは一息つきながら、「思ったよりも忙しいけど、いろんな人たちが興味を持ってくれて嬉しいな」と呟き、ドラゴンテイルのメンバーもそれに同調し、「これからもどんどん広めていこうな」と決意を新たにする。
リハルトでの成果に胸を躍らせつつ、再び蜂蜜とミードの可能性を感じたミツルたちは、村々の未来に明るい展望を抱きつつ新たな道を進んでいくことを決意するのだった。




