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異世界養蜂革命  作者: 華蜂師
第2章:蜂蜜の発展と旅立ち。
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第18話: 蜂蜜が繋ぐ縁

エリオットたちからの提案を受け、アリーシャたちは早速新たな計画に取り掛かることにした。

特にミツルは、蜂蜜からお酒を作るというアイデアに魅了され、「ミード」という蜂蜜酒の制作に奔走する決意を固める。

彼は日本での記憶の片隅に残っていた「ミード」の作り方を思い出し、その製法をフローリア村で実現しようと張り切っていた。


ミツルはまず、村にある様々な蜂蜜を選別する作業に入った。

「ミードを作るとなると、どの蜂蜜を使うかが大事だね。」彼はハニィウィングやスティンガービーの巣箱を注意深く点検し、最適な蜂蜜を選ぶことに専念した。

特に癖のない、滑らかな甘味を持つ蜂蜜が「ミード」作りに適していると考え、慎重に品質を確かめながら選んでいく。


同時に、エルザも新たな挑戦に取り掛かる。彼女はこれまでに収集した薬効のあるハーブや薬草の花について、どの蜜がどのような効果を持つかを調査していた。

「健康に良い成分が含まれている蜂蜜を作れば、さらに人々の生活を豊かにできるはず」とエルザは意気込む。

彼女は研究ノートを開き、フローリア村の自然が持つポテンシャルを最大限に引き出す方法を練っていた。


アリーシャは、その間に村の女性たちと協力し、エルザが収集した花の種を育てるための園芸活動に取り組んでいた。

「この花を上手に育てれば、蜜の収量も増えるわ」と彼女は微笑む。

村の女性たちも進んでその手助けをすることで、フローリア村全体が一つとなり、新しいプロジェクトの成功を後押ししていた。


ミツルはあらかた必要な蜂蜜を確保できたことから、次のステップであるミード作りに着手する。彼は蜂蜜と水を適切な割合で混ぜ合わせ、煮沸する工程に移った。

「糖度の調整が肝心だ。煮沸によって不純物を取り除きながら、香りを引き立たせることができるかどうかがポイントだ」と自分に言い聞かせる。


煮沸の間、彼は注意深く火加減を調整し、香りが立つタイミングを見逃さないようにしていた。

沸騰する鍋から立ちのぼる甘い香りが、彼の集中力をさらに高めた。「これがうまくいけば、次は酵母を使って発酵だな…」と彼は心の中で次の手順を描いていた。


一方で、エルザはミード作りには参加しないものの、ミツルの近くで観察を続け、彼の作業にアドバイスを与える。

「その香りなら上手くいっている証拠だわ。発酵の段階では温度管理が特に重要になるわね」とアドバイスをしながら、彼女はどのようにして蜂蜜の風味を引き出せるかを考えていた。


煮沸が終わり、ミツルは酵母を投入する準備に取り掛かった。

「酵母が良い仕事をしてくれれば、数ヶ月後にはなかなかのミードが出来上がるだろう」と期待に胸を膨らませる。彼はエルザからアドバイスを受けた通り、発酵に適した温度を保つよう細心の注意を払った。


その後、ミツルたちは発酵が無事に進むことを見守ることになった。彼らは村の中でのそれぞれの役割と、共に作り上げる製品の出来上がりを楽しみにしながら、フローリア村の日常へと戻っていく。

それでも、ミードが完成する日を心待ちにし、新たな味と香りが村に広がることを想像していた。


村の人々も、ミツルたちのプロジェクトが成功に向かって進んでいることに期待を寄せ、「ミード」が完成した暁には、彼らと一緒に新たな冒険に出かけることを心待ちにしていた。

リハルトの冒険者ギルドや商人ギルドにこの「ミード」をどう紹介していくか、彼らの想像力が次々と膨らんでいく。

こうして「ミード」作りはひとまず一区切りつき、ミツルたちは他のプロジェクトに力を注ぎながらも、発酵の進行を陰で注意深く観察し続けた。

フローリア村で生まれる新たな特産品である「ミード」は、エリオットたちと共に広げるべく、次なるステップへの第一歩を刻んでいた。


クロスした縁や協力がもたらしてくれる成果は、彼らの手の中に具体的な形を成し始めている。「ミード」はただの商品ではなく、彼らの想いと努力に基づく結晶であり、未来への希望を象徴するものとなるだろう。

アリーシャたちの心は、村を超えてこの特別な品を多くの人々に届けるという夢で一杯だった。

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