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異世界養蜂革命  作者: 華蜂師
第1章:異世界での再出発
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第15話 試練と出会い、新たな冒険へ

待ちに待った行商の日がやって来た。アリーシャは、村の女性たちとともに、フローリア村を出発する。

村の風景を楽しみながら、彼女は蜂蜜の未来について思いを馳せていた。

「無事に商品を売ることができるだろうか?」「お客さんは喜んでくれるだろうか?」そんな不安と期待が入り混じる。


アリーシャたちは、エルザとミツルを加えて、ハニィウィングの蜂蜜とスティンガービーの蜂蜜、それらを使った菓子やジャムを携え、隣村のベリル村を目指していた。


その道中、一行は思いもよらぬ出会いをすることになる。

途中の深い森で、3人組の冒険者と出会うのだ。その中心は、負傷して朦朧とする若い冒険者、エリオット。

後々聞くとこのチームは「ドラゴンテイル」と言う今勢いのあるパーティとして、エリオットをはじめ、戦士ライアン、そして魔法が得意なサラがいると言う事らしい。


エリオットは深い傷を負っていて血を流しているし、うめき声をあげている。

聞いてみると負傷の原因は獣の急襲だったらしい。


彼を支えるライアンとサラは、困惑した様子で、エルザたちに助力を求める。「すまないが…彼を助けてくれないか?回復薬でも何でもいい!」と必死にお願いするライアンの表情は、切迫感に満ちている。サラも「持っていた薬草を持って行かれてしまって…何か助けになるものがあれば…」と神妙な顔つきをしていた。


エルザはすぐに応急処置を始める。「任せて、これを彼に塗るわ」といって、ハニィウィングの蜂蜜を取り出す。「これは花から採れるものなの。これには特別な力があるの」と言いながら、優しくエリオットの傷に蜂蜜を塗る。


「こんなにすぐ効くなんて…」と、エリオットも仲間たちも目を見張る。ライアンが驚いてエルザを見つめる。「この素晴らしい液体はなんだ?」


「これはフローリア村でしか手に入らない特別な蜂蜜と言うものよ」とエルザ。

「私たちが作ってるもので、毒がないから使いやすいの。体への効果もすごくて、冒険者なら一つ持っておくといいかもしれないわね。」と説明する。


エリオットは深く息をつき、「ありがとう。こんなにも回復が早いなんてすごい。他にもこの蜂蜜を使えると思う。」と感謝を言葉に表す。

彼は「俺たちが帰ったら、拠点であるリハルトの街に広めるよ。きっと冒険者ギルドや商人ギルドでもこの蜂蜜のことは興味を持たれるだろう。」と語った。


こうして、アリーシャたちはリハルトの街の冒険者ギルドを通じて、蜂蜜を知る者が増える可能性を秘めた。

エリオットたちは「ドラゴンテイル」として、リハルト中にフローリア村の名を広めてくれる手助けを約束してくれた。

その頼もしさに、アリーシャたちは胸を熱くし、この出会いに感謝する。


さて、一行は予定通りにベリル村に到着。そこはフローリア村よりも賑やかで活気がある村だ。

市場の一角に自分たちのスペースを確保し、アリーシャたちは心を込めて商品を並べ始める。


蜂蜜そのものや、蜂蜜を使ったパンやジャムなど、特産品が所狭しと並べられる。

だが、商売の現実は甘くないことを知る。

多くの商人が興味を示す一方で、安く買い叩こうとする者も現れる。

「こんな見たことのない商品がこんなに高いのか?」と価格に驚き、交渉を持ちかけてくる。

「ちょっと味見させろ」と言わんばかりに、試食を要求する商人たちに対して、アリーシャたちは丁寧に対応し、商品価値を伝え続ける。

「この蜂蜜は特別な薬草を使って作っていて、普通の蜂蜜とは違います。健康にも良い効果があるんですよ。」アリーシャは自信を持って話すが、中には詐欺まがいの行為をする者もいた。


試食した後、代金を払わずに立ち去ろうとする商人に対して、アリーシャは慌ててその後を追う。が、追いつける状況ではなかった。

「みんな、気をつけないと!」と、アリーシャは村の女性たちに注意を促すのだった。


疲れが見え始めたところに、一人の老人商人がアリーシャたちの元を訪れる。「あんたたちの商品、とても香りがいいね」と話しかけてきたその老人の名はベック。

彼はアリーシャの作った蜂蜜を一口舐め、目を細めて満足そうにうなずく。「どこで作った食べ物なんだね?」

アリーシャは、ベックにフローリア村のことを話し、蜂蜜の由来を伝える。

ベックはその話を興味深く聞き、「私はこの村の近くに住んでいる商人でね。あんたたちの蜂蜜は、きっと私の店でも売れるだろう」と言ってくれる。


彼の優しい態度と誠実な言葉に勇気づけられ、ベックはアリーシャたちを自分の店に招く。

後日、アリーシャたちは、ベックの店を訪れることに決めた。温かく迎えられ、彼の協力のもと、商品は店に並べられることに。


「これからも頑張ってほしい」と、ベックは励ましの言葉をアリーシャたちに贈る。誠実さと努力が報われたこの経験は、彼らに多くのことを教えた。

商売の難しさと、誠実に取り組むことで得られる成果。そして大切なのは、人との出会いが成長をもたらすこと。


アリーシャたちは、この経験を胸に、フローリア村の特産品をさらなる場所で広めたいと決意する。

蜂蜜が人気になり、知名度が広がれば、フローリア村もベリル村も経済が活性化し、新たな発展を遂げられる。

そして、ミツルは感謝の想いを込めて、フローリア村のみんなに恩返しをしたいと意を新たにする。


村全体が新しい方向に向かって進んでいて、たくさんの人々がこの美味しさを共有できるなんて、なんとも素敵なことだ。

この影響が地元だけでなく、やがて冒険者ギルドや他の村々にも伝わり、更なる広がりを見せるかもしれない。フローリア村の未来には、再び明るい展望が広がっていく。

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