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異世界養蜂革命  作者: 華蜂師
第8章「アースクローラーの影」
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142話:アースクローラーの生態調査再び

「よし。ではアースクローラーの生態調査に出発だ!」ミツルの掛け声と共に調査隊はリハルトを出発した。目的地の森までは馬車で半日ほどの道のりだ。

「しかし今回は心強い助っ人がいるな」エリオットがミツルたちの隣で歩くガレスに視線を向けながら言った。

「そうですね!ガレスさんの指導とワーウルフたちの力があればより詳しく調査ができると思います!」ミツルもガレスの存在に心強さを感じていた。

道中調査隊はアースクローラーに関する情報交換や調査方法の確認などを行った。


「前回発見したアースクローラーの巣はここからそう遠くない場所にあります!一度来たからと言って油断は禁物です!奴らは土中を自由自在に動き回ることができるのでその辺も気を付けましょう!」ティグが皆に注意を促す。

「ああ。油断せずに慎重に進もう」ミツルもティグの言葉に頷いた。数時間後調査隊は目的地の森に到着した。

「ここからは徒歩で進みます。足音を立てずに静かに進んでください」ティグの指示に従い調査隊は、一列になって森の中を進んでいく。


「なあミツル。あの時のアースクローラーはやたらと蜂蜜を狙っていたがあれは一体どういうわけだったんだ?」とアッシュがミツルに尋ねた。

「その話ですが会議の時オリバーやセリーナが言っていましたが、それがどうなのかを確かめるのが今回一番の目的です!その時立てた仮説ではアースクローラーが蜂の魔物の巣を襲うのは全ての個体ではなく、メスでかつ産卵前後の個体だけではないかと考えています。」ミツルは自分たちが立てた仮説について説明した。


「産卵前後のメスだけ…?」アッシュはミツルの言葉に首を傾げた。

「呆れた…私とオリバーが会議の時話していたの聞いてなかったの?もしかしてミツルとティグがモンスターテイマーとして成長したから焦ってるとか?(笑)」とセリーナがリーダーのアッシュをいじる。

「すまんすまん!色々考え事としていて聞いてなかった(笑)さすがにまだミツル達には負けないと思うが、オーガやワーウルフ達と連携されて攻められたらやばいかもしれないな(笑)今度訓練がてら一戦やろうぜ!」とアッシュが仲間からのいじりを受け流しつつ自慢げにミツルに問いかける。


「アッシュさんに俺とティグ、ワーウルフ達と連携取っても勝てる気がしませんよ(笑)でも特訓と言うのは是非ともお願いしたいですね!そして会議の時話していたのはアースクローラーは基本的には土中の有害物質を摂取して生きている。しかし産卵前後のメスは卵や幼虫の育成のために大量の魔力が必要になる。そこで魔力に満ちた蜂蜜を蜂の魔物の巣ごと食べる事で確保しているのではないかという仮説を立てたんです。」ミツルは自分たちの考えを詳しく説明した。


「なるほど。確かにあの時のアースクローラーはやたらと蜂蜜に執着していたな」アッシュは納得したように頷いた。

「もしその仮説が正しければ蜂蜜街道を襲うアースクローラーは、一部の個体だけに限られる可能性があるわね。そうなれば共存への道も開けてくるかもしれないわ!」エルザは期待を込めて言った。

「しかしあくまで仮説に過ぎん。確証を得るためにはさらなる調査が必要だ」ロータスは冷静に言った。

「分かっています。そのためにも今回はガレスさんとワーウルフたちの力を借りて前回よりもさらに詳しくアースクローラーの生態を調査するつもりです」ミツルは決意を込めて言った。


しばらく森の中を進むと前回発見したアースクローラーの巣の近くに辿り着いた。

「巣も近いですからここからはより一層の注意が必要です。ワーウルフたちには周辺の警戒を頼む!」ティグがワーウルフたちに指示を出す。

「ガウッ!」ワーウルフたちはそれぞれ散らばって、周辺の警戒に当たった。

「よし。俺たちはアースクローラーの巣を担当を分けて観察をしましょう!何か異変があればすぐに知らせますね!」ティグの言葉に調査隊は息を潜めてアースクローラーの巣を観察し始めた。


数日間調査隊はアースクローラーの巣を観察し続けた。その間巣穴から出入りするアースクローラーの姿を何度も目撃した。

「やはり産卵前後のメスだけが蜂の魔物の巣を襲っているようだな」ミツルは観察記録をまとめながら言った。

「そうね。この数日間で巣穴から出入りしたアースクローラーは全部で10匹。そのうち蜂の魔物の巣を襲ったのは2匹だけだったわ。」エルザもミツルの言葉に頷いた。

「しかもその2匹はどちらも腹が大きく膨らんでいた。産卵間近のメスだった可能性が高いわ」アリーシャも自分の観察記録と照らし合わせて言った。

「うむ。どうやら会議で建てた仮説は正しかったようじゃな。やはり実物がいると色々と解明できていなかった事がどんどん分かって来るな。」ロータスもミツルたちの観察記録に目を通した後納得したように頷いた。


「仮説の検証は大丈夫そうですかね?しかし油断は禁物です!まだ産卵期以外の時期にアースクローラーが何を食べているのか詳しいことは分かっていないですからね!幼虫は飼育観察してますが、成体の食生活は分かりませんからね!」ティグは皆に警告した。

「ティグの言うとおりだ。まだ調査は終わっていない。気を引き締めていくぞ」ミツルの言葉に調査隊は気を引き締め直した。


アースクローラーの生態にはまだ謎が多い。しかし今回の調査でミツルたちは共存への希望を見出すことができた。

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