138話:ワーウルフの助太刀
ミツルとティグは何度もオーガに挑みかかるが、その強靭な肉体と凶暴性の前に苦戦を強いられる。
「くっ...オーガ強すぎる...!」ミツルが息を切らしながら言う。
「でも、諦めるわけにはいかない...!」ティグも力強く言い返す。
「こうなったらガレスさんに相談するしかないな」ミツルが提案する。
「はい。ガレスさんならオーガの習性について詳しく知っているはずです」ティグも同意する。 二人はガレスの元を訪れオーガとの接し方について尋ねた。
「オーガの習性か...」ガレスは考え込むように目を閉じる。「オーガは戦闘種族の中でも突出した力を持っている。弱肉強食の世界で生きてきた彼らは力による支配を是とする傾向がある」
「つまりオーガに認められるには力で勝たなければならないのでしょうか?」ティグが確認する。
「その通りだ。オーガに立ち向かい、打ち負かすことができれば初めて彼らは心を開くだろう」ガレスの言葉は重くしかし真実を突いていた。
ミツルとティグは顔を見合わせる。オーガに力で立ち向かうことはこれまでの試練とは次元の違う難しさがあることを二人は痛感していた。
「わかりました。僕たちでオーガに挑戦します。格の違いをわからせ僕たちを認めさせるんです」ミツルが力強く宣言する。
「そうですね。ミツルさんと一緒ならきっとできると思います」ティグも不安を押し殺し決意を語る。
ガレスは二人の覚悟を見て取ると静かに頷いた。 「よし!それでこそ我が弟子だ。だが油断は禁物だぞ。オーガの力は今まで対峙してきた魔物とは比べ物にならない」
「はい肝に銘じておきます!」二人は真剣な面持ちで答える。 こうしてミツルとティグはオーガとの真剣勝負に臨むことを決意した。それは彼らにとって魔物との絆を深めるための新たな試練の始まりだった。
ティグと対オーガの戦略を話し合っている時ミツルの脳裏にガレスの言葉が蘇る。「力による支配を是とする...か」 ミツルはハッとした表情でティグを見る。
「ティグ!オーガを力で屈服させるんじゃない。俺たちの力を認めさせるんだ」
「どういうことですか?」ティグが問う。
「オーガは力を尊重する。だから勝てなくても俺たちがオーガと対等に渡り合える力を見せつければきっと心を開いてくれるはずだ!」ティグはミツルの言葉の意味を理解すると力強く頷く。
「負かす訳では無くオーガと対等だと分からせる!と言う事ですか?わかりました。現状やれる事は全部やってみましょう!僕たちの全力をオーガにぶつけましょう」 二人は再びオーガに立ち向かおうと檻に向かう。
そんな時ティグはふと閃いた。「ねえミツルさん、ワーウルフと一緒にオーガに挑むのはどうですか?」
「ワーウルフと...?」
「そうです。僕はワーウルフとかなり深い絆を築けたと思うんです。彼らの力を借りればオーガにも対抗できるかもしれないと思ったんですが…」
ミツルはティグの提案に目を見張る。確かにティグはワーウルフとの意思疎通に長けている。それは犬の獣人としての彼の才能だ。
「ミツルさんの話を聞いて思ったんですが、対等だとやはりテイムする!と言うのでは難しいと思うんですが、ワーウルフ達とかなり強固な絆を築いている自分ならワーウルフの集団戦略を駆使すれば翻弄出来て圧倒出来るんじゃないでしょうか?」
「そのアイデアいいな!ワーウルフと共闘すればきっとオーガにも善戦出来る...かもな!」
こうしてミツルとティグはワーウルフを伴ってオーガに再び挑むことになった。
二人はワーウルフたちを呼び寄せ作戦を立てる。「ワーウルフ達はオーガの足を狙って攻撃を集中させましょう!足元にダメージを蓄積させて動きを鈍らせる作戦どうですか?そして僕とミツルさんがオーガの意識がワーウルフたちに向かないよう正面から攻撃を繰り出します。」 ワーウルフたちはティグの作戦に同意の遠吠えを上げる。
人とワーウルフが力を合わせオーガに立ち向かう。それこそ今回の修行で身につけたかった事であり、今ではそれが実現できる状況にある!そしてその決断をする事は彼らにとって新たな試練の始まりだった。




