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異世界養蜂革命  作者: 華蜂師
第8章「アースクローラーの影」
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135話:新たな試練、ワーウルフとの対峙

ゴブリンとの絆を深めたミツルとティグは次にワーウルフの檻へと向かった。ワーウルフはゴブリンよりも大きく凶暴な魔物として知られている。

「ワーウルフは満月の夜に凶暴化し人間を襲うこともある危険な魔物だ。ゴブリンよりも手強い相手になるだろう」ガレスは二人に警告する。

「大丈夫でしょうか…?」ティグは不安そうにガレスに尋ねる。

「大丈夫だ。お前たちはゴブリンとの訓練を通して、魔物と心を通わせるための基礎を学んだ。今度はその経験を活かしてワーウルフと向き合えば良い」ガレスは二人を励ます。

「はい!頑張ります!」ティグはガレスの言葉に勇気づけられ、ミツルと共にワーウルフの檻へと近づいていく。


ワーウルフは二人を見るなり鋭い牙を剥き出しにして唸り声をあげた。その姿はゴブリンよりもはるかに威圧的で二人は思わず身構える。

「落ち着け!俺たちは敵じゃない!」ティグはゴブリンの時と同じように両手を広げてワーウルフに語りかける。しかしワーウルフはティグの言葉に耳を貸さず檻の中で激しく暴れ回る。

「ダメだ…言葉が通じない…」ティグは落胆する。

「よしティグ。ここは俺がやる!ちょっと考えがあるんだ!」ミツルはティグを制しワーウルフの前に進み出る。ミツルはワーウルフの目を見据え静かに向き合う。


するとミツルは自分の鞄から自分の食糧である干し肉をワーウルフに差し出した。「ワーウルフが何を食べるか分からないけど、住環境と食糧事情の改善が一番かと思ったんだけど…俺が持ってる干し肉じゃあダメだったかな?」とミツルは自分の考えをティグに伝える。

それを見ていたティグも「さすがミツルさんですね!ゴブリンに武器を与えてゴブリンの願望を叶えたのと同じで、ワーウルフも語り掛けるだけじゃなくて生きて行く上で一番大切な食と言う切り口から攻めるなんて…自分すっかり忘れてました!」と自分の不甲斐無さを嘆いていた。


それを聞いたミツルも「ティグが言う程の事なんてしてないよ!ただテイマーの基本に立ち返った時初めて養蜂の為にハニィウィングをテイムした時の事を思い出したんだ。あの時はハニィウィングを屈服させてやろう!とか全く思って無くて、養蜂をして貰う為にどうしたらハニィウィングが巣を作りやすいかな?とか蜂蜜を集めやすいかな?って言う事だけを考えていて、それを必死にやってきた時ハニィウィングと心がつながる感覚があった!って思い出したんだよね。それを目の前のワーウルフに置き換えただけなんだよ(笑)」と話してくれた。


「そう言う点では俺よりも獣人であるティグの方が魔物の考えとかは分かったりするんじゃないのか?」とミツルはティグに問う。

「確かに…自分もロックホースをテイム出来る様特訓していた時毛づくろいとか水やったり、干し草とかエサをやったりしてました!あれは言われてやっていただけなので何も疑問抱きませんでしたが、ミツルさんの言う事聞いていたらそれこそが魔物と心を通わす!って言う事なんですね!なんだかちょっと分かってきました!」とティグは興奮気味に話してきた。

きっとミツルの考えに対して何か思う所があったのか、自分の疑問が晴れたのかティグは自然と笑顔になりハイテンションだった。


「そう言えばティグは犬の獣人なんだろ?犬って狼と近縁なんじゃないのか?むしろティグ以上にワーウルフと意思の疎通に適している人はいないんじゃないか?」とミツルは疑問をぶつける。

ティグはミツルの話を聞いて驚きつつも考える。「確かに…ミツルさんの言う通りですね。魔物と思っていましたが、言ってしまえば同族の魔物かどうかって言う違いだけですもんね!今迄当たり前過ぎて深く考えてませんでした!と言う事は…」


ティグは思い当たる事があるのかガレスの所に行き周辺の事を聞いている。そしてミツルの元に来ると「ミツルさん!干し肉あるだけ僕に託してくれませんか?後ゴブリンの時みたいにワーウルフと交戦して格付けしましょう!」と提案してきた!

「ティグも何か掴めて来たみたいだし、今はティグの意見に従うよ!」と持っている干し肉を全部出してくれた。

「じゃあまずはワーウルフ達と徹底抗戦ですね!格の違いを見せつけてやりましょう!」とティグが檻の中に入る!今迄と違ってかなりやる気満々だ。


ミツルとティグは何日にもわたりワーウルフ達と交戦し、打ち伏せては干し肉を与えると言う事を続けていた。合間を見つけては近くの森でガレスと共に魔物を狩り新鮮な魔物の肉を手に入れる事を忘れなかった。

そうする事数日…ティグはワーウルフと心を通わせる事に成功していた。「さすがティグ!何かコツを掴んだのか?」とまだ心を通わせられていないミツルが疑問を投げかける。

「コツと言うか…上手く言えませんがやはり犬の獣人と言うのがでかいんですかね?今なら一緒に狩りに行くのも出来そうですよ!」とティグが話す。

やはり同族と言うのがあるのだろうか心を通わせるのが上手いらしい。そんなティグと一緒にワーウルフと狩りに行くと言うのを繰り返しているとミツルも心を通わせられるようになった。


「よくやったなミツル、ティグ。ワーウルフの心を開くとは大したものだ!」ガレスは遠くから二人の様子を見守っていたが、心を通わせられる二人を見て褒める。

「ありがとうございますガレスさん!」二人はガレスに感謝の言葉を伝える。

「テイマーとしての大切な事を分かってきたみたいだな。見所がある!しかしこれはまだ序章に過ぎない。真の試練はこれからだ!」ガレスは二人に次の試練を予告する。


「次の試練…?」二人はガレスの言葉に不安を覚える。

「ああ。次の相手はオーガだ!」ガレスは檻の中で暴れるオーガを指差す。

「オーガ…!」二人はオーガの巨大な体躯を見て身震いする。

「オーガはワーウルフよりもはるかに強く凶暴な魔物だ。心してかかるように」ガレスは二人に警告する。

「はい!」二人はガレスの言葉に緊張感を高める。新たな試練、オーガとの対峙が始まろうとしていた。

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