132話:新たなる挑戦!
アースクローラーの幼虫の制御に関してみんなで話していた時ティグはハッとしたように顔を上げた。「あの…もしかしたらモンスターテイマーなら何かできるかもと思ったんですが…どうですかね?」
「ミツルさんはインセクトテイマーとして蜂の魔物との意思の疎通が出来ますよね?俺もモンスターテイマーとして限られた魔物だけどそういった意思疎通が出来ます。それなら両方のスキルを修得できれば可能性は上がると思うんだけど…」とティグは自分の考えをみんなの前で話した。
「アースクローラーと心を通わせる…か」ミツルは腕組みをして考え込む。ティグの言葉に何か可能性を感じたのだろう。
「思いつきで自分が言い出したことではあるんだけど…あのアースクローラーと心を通わせる…俺にできるかな…」ティグは不安そうに呟く。
「ティグならきっとできるわ!だって誰よりもこのプロジェクトに真剣に向き合ってきたんだもの!」アリーシャがティグを励ます。彼女の言葉にティグは少しだけ顔を上げた。
「そうだぞティグ!それにお前は養蜂に携わる時言っていたけど、蜂の魔物も好きだったよな。もしかしたらその虫への思いがアースクローラーにも通じるのかも!」レンが笑顔でティグの肩を叩く。
「確かに…獣人であるティグならアースクローラーと心を通わせることができるかもしれない」ミツルも真剣な表情でティグを見つめる。
「ティグ…もし君がやってみたいと思うなら精一杯応援するよ。それに…」ミツルは少し間を置いてから言葉を続ける。
「俺も一緒に頑張るから!」
「ミツルさんと一緒なら心強いですね!」
「アースクローラーと共存するためには彼らのことをもっと深く理解する必要がある。獣人であるティグの可能性に掛けたいって思うのもあるし俺も少しでも力になりたいからね」ミツルは静かにしかし力強く言った。彼の瞳にはアースクローラーとの未来を切り開く強い決意が宿っていた。
「そのティグの考えなんだけど…実は提案したいことがあるんだ」アッシュが口を開く。
「以前ある依頼で共闘したモンスターテイマーにこの話をしたんだ。そしたら自分がテイマーの基礎を教わった人物を紹介してくれると言っていたんだ」
「本当ですか?それは心強い!」ミツルの顔に希望の光が灯る。
「ああ。早速連絡を取ってみよう」アッシュはその場で紹介された人物に手紙を書くことにした。
数日後アッシュのもとに返事が届いた。そこには紹介された人物の居場所と訪問を歓迎するという旨が書かれていた。
「よし決まりだな!ティグ準備はいいか?」
「はい!もちろんです!」こうしてティグとミツルはアースクローラーと心を通わせる術を学ぶためそして蜂蜜街道の未来を切り開くため新たな挑戦へと旅立つことになった。
二人が紹介されたのは"獣王"の異名を持つベテランモンスターテイマーガレスだった。ガレスは王都から遠く離れた深い森の中に自身で開拓した広大な土地を所有しており様々な種類の魔物たちと共存しながら暮らしていた。
「ようこそ若者たち。君たちがアッシュから紹介されたミツルとティグかな」ガレスは鍛え抜かれた肉体を持つ屈強な男だった。年齢は50代後半くらいだろうか。しかしその動きには無駄がなく鋭い眼光からはベテランモンスターテイマーとしての威厳が感じられた。
「はい!お噂はかねがね…。俺はミツルです。そしてこちらがティグです。よろしくお願いします!」ミツルは緊張しながらも笑顔で挨拶する。
「よろしく…お願いします!」ティグもガレスの威圧感に圧倒されながらもなんとか挨拶の言葉を口にする。
「そうかそうか。君たちがアースクローラーと心を通わせたいと…。アッシュから話は聞いておるよ。だが強い魔物と心を通わせるのは簡単なことではないぞ。覚悟はいいか?」ガレスは二人を鋭い目つきで見据える。
「はい!必ずやアースクローラーと心を通わせ蜂蜜街道の建設に貢献してみせます!」ミツルはガレスの視線に臆することなく力強く宣言した。
「俺も…頑張ります!」ティグもミツルの言葉に励まされるように決意を新たにする。
「よしその意気だ!では早速だが私の訓練に耐えられるかどうか試させてもらうとしよう」こうしてミツルとティグの過酷なモンスターテイマーとしての修行が始まった。




