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異世界養蜂革命  作者: 華蜂師
第8章「アースクローラーの影」
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128話:卵の発見、そして孵化

巨大なドーム状の構造物。それは古代文献に記されていたアースクローラーの巣に酷似していた。

「これが…アースクローラーの巣…」ミツルは息を呑んだ。目の前の光景は想像をはるかに超えるものだった。ドームの表面は硬い岩盤でできておりところどころに奇妙な文様が刻まれている。


「古代文字…?」エルザはドームに刻まれた文様に目を凝らす。それは図書館で見た古代文献のものと酷似していた。

「解読できるか?」ミツルが尋ねる。エルザは真剣な表情で文様を見つめしばらく考え込む。

「少し時間がかかるかもしれないけど…やってみるわ」エルザは懐から手帳とペンを取り出し古代文字の解読を始めた。

「それじゃあ、俺たちは周囲を警戒しよう」アッシュが他のメンバーに指示を出す。シルバーファングのメンバーはそれぞれ持ち場につき周囲を警戒し始めた。


「ミツルさん!こっちに来てください!」レンがドームの奥を指差しながらミツルを呼ぶ。レンが立っている場所にはドームの壁面に沿って巨大な穴が開いていた。

「これは…?」ミツルが恐る恐る穴に近づくと中から温かい風が吹き出してきた。そしてかすかに…土の匂いと共に生臭いようなそれでいてどこか甘いような不思議な香りが漂ってくる。

「この匂い…!」ティグが鼻をヒクヒクさせながら穴に近づいてくる。

ティグは獣人の中でも特に嗅覚に優れていた。「これは…間違いない…卵の匂いだ…」

「これは…アースクローラーの卵だ!」 レンが驚きの声を上げた。


洞窟の中央には無数の卵がまるで山のように積み上げられていたのだ 。「すごい数だな!これが一気に孵化したら大変なことになるぞ!」と アッシュが眉をひそめる。

「だが見てくれ!卵の周りの土はとても肥沃そうじゃ。」ロータスが感心したように呟いた。

「ロータスさんの言っていたことが本当だったんですね!」アリーシャが目を丸くする。

ミツルは卵の一つに手を伸ばした。すると卵が微かに震え始めたのだ 。

「まずい!孵化が始まっている!」カレンが身構える。

「落ち着いて下さい!危険な様子はないです!」 ミツルは冷静に告げた!そのとき卵の殻が割れ小さなアースクローラーの幼虫が姿を現した。


「これがアースクローラーの赤ちゃん…」 リィナが小さな声で呟く。

幼虫はうごめきながら土の中へと潜っていった。「幼虫の時点で土の中を移動できるのか…」オリバーが感心したように言う。

「土壌に潜る幼虫… きっと土を豊かにする役割があるんだわ!」エルザが確信を持って告げた。

「アースクローラーは俺達が思っていたよりもずっと重要な存在なのかもしれないな…」ミツルは感慨深く現状を見つつ深く頷いた。


「だがまだ多くの謎が残されているのう。さらなる調査が必要じゃ!」ロータスが思慮深げに呟く。

「そうですね。でも今日の発見は大きな一歩になったと思います!」ティグが満足そうに微笑んだ。

「アースクローラーについて知見を深めることができて良かったわ!特に卵の周りの土の状態は興味深い!」エルザが嬉しそうに言った。

「アースクローラーたちがいかに土壌と関わっているのかその仕組みを解明することが肝要だ。」カレンが真剣な眼差しで言った。

「そのためにもまずは孵化した幼虫たちの成長を見守る必要がありそうね。この孵化した幼虫持って帰って育ててみる?」セリーナの提案に一同が驚いた顔をしている。


「俺たちシルバーファングも全面的に協力するよ!」 アッシュがミツルの肩に手を置いて言った。

「ありがとうございますアッシュさん!心強いです!」 ミツルは感謝の言葉を述べた。

「俺たちドラゴンテイルも引き続き調査を手伝わせてもらうぜ!」 エリオットが力強く言った。

「助かるよエリオット。みんなの協力があれば必ずやアースクローラーとの共存の道が開けると信じてる!」ミツルの言葉に仲間たちも強く頷いた。


アースクローラーの孵化を目の当たりにしミツルたちの中に新たな希望が芽生えていた。しかしそれと同時に未知の生態系に対する畏れの念も抱かずにはいられなかった。

人と魔物が真に理解し合い共存するためにはまだまだ多くの試練が待ち受けているのだろう。

だがミツルたちには仲間がいる!

「ドラゴンテイル」や「シルバーファング」をはじめ蜂蜜街道に集うさまざまな人々の力を結集すれば きっと道は拓けるはずだ!

「さあ次は孵化した幼虫たちを観察だな」 ミツルが意欲的に言うと、調査チームの面々もそれぞれの役割を胸に燃えたぎらせるのだった。

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