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異世界養蜂革命  作者: 華蜂師
第8章「アースクローラーの影」
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127話:アースクローラーの巣の発見、新たな局面

ミツルを中心とした調査チームはアースクローラーの生態と土属性魔力の秘密を解き明かすべくその巣を探し求めていた。


「みんな、気をつけるんだぞ。アースクローラーの巣は危険に満ちているかもしれない」 ミツルは仲間たちに注意を促した。

「わかってますよ!ドラゴンテイルやシルバーファングの皆様と一緒ならアースクローラーだって怖くないですよ!」 ティグが自信に満ちた笑みを浮かべる。

「だけど油断は禁物よ。アースクローラーの力を甘く見てはいけないわ」 エルザが真剣な表情で言葉を重ねた。

「よし!じゃあ今日はこの辺で探索を切り上げてキャンプの準備をしよう」ミツルの声に探索隊のメンバーはそれぞれ安堵の息を吐いた。

広大な森の中をアースクローラーの痕跡を探して歩き回るのは、肉体的にも精神的にも疲労が溜まる作業だった。


「全く…こんな巨大な魔物の巣がそう簡単に見つかるわけないだろ」ライアンはぶつくさと文句を言いながら腰を下ろした。

「ライアン弱音を吐くのは早いよ。古代文献にもアースクローラーは人目につかない場所に巣を作るって書いてあったでしょう?」エルザはライアンに優しく微笑みかける。

古代文献を発見して以来、エルザはアースクローラーへの想いが強くなっているようだった。


「確かにこんなに広範囲をくまなく探すなんて気が遠くなる話ですよね…」ティグは額の汗を拭いながら苦笑いする。

今回の探索にはミツル、エルザ、アリーシャ、ロータスに加えティグ、レン、リィナ、「ドラゴンテイル」のエリオット、ライアン、サラ、そして「シルバーファング」のアッシュ、セリーナ、オリバー、カレン、イザベラも参加していた。


「アースクローラーは土属性魔力を操る。その魔力は我々では感知できないほど微弱だがロータスさんなら…」エルザは期待を込めてロータスの方を見る。

ロータスはゆっくりと目を開き地面に手を置いた。「ふむ…確かに微かな魔力の流れを感じる…だがかなり深い場所からのようだ」ロータスは目を閉じて魔力の流れに集中する。

一行は慎重に森を進んでいく。そのとき突然大地が震え始めた。


「な、何? これは…」 アリーシャが不安そうに周囲を見渡す。

「アースクローラーだ! 巣の近くまで来たようだな」 ロータスが杖を握りしめながら告げた。

調査チームは身構えながら震源地へと近づいていく。そこには巨大な穴が口を開けていた。

「これがアースクローラーの巣か…」 ミツルは息を飲んだ。

「中に入るぞ。みんな気をつけろ」 エリオットが剣を構えながら号令をかける。


一同は緊張感に包まれながら巣の中へと足を踏み入れた。 巣の内部はうねるような地下トンネルが複雑に入り組んでいた。

「ひゃあ! なんか気持ち悪いトンネルね」 セリーナが身震いしながら言う。

「でもここならアースクローラーの生態が詳しくわかるかもしれないわ」 エルザは好奇心に目を輝かせていた。

一行がトンネルを進んでいくとやがて広い空間に出た。そこには信じられない光景が広がっていた。


「さあ、みんな!気を引き締めていくぞ!アースクローラーの巣はすぐそこだ!」アッシュはメンバーを鼓舞するように声を張り上げる。ミツルたちは緊張しながらセリーナが開いた穴の中へと足を踏み入れた。

地下通路は予想以上に広くしっかりと整備されていた。まるで巨大な迷宮のようだ。


「これは…自然にできたものではないな。アースクローラーが自らの手で作り上げたものだろう」ロータスは壁面を指でなぞりながら呟く。壁面は滑らかで人工的に加工されたような跡が見られる。

「おいおいこんな大規模な地下構造物を作るなんて…アースクローラーって一体どれほどの力を持ってんだ…?」ライアンは驚きを隠せない様子で周囲を見回す。


「それだけじゃないわ。見て」エルザは通路脇に生えている植物を指差した。そこには地上では見たことのない珍しい植物が生い茂っていた。

「この植物…土壌の栄養価が非常に高い場所にしか生息しない、希少種よ…!」エルザは興奮した様子で植物を手に取る。

「やっぱり…アースクローラーは土壌を豊かにする力を持っていたんだ…!」エルザの言葉にミツルは静かに頷く。


古代文献の内容は真実だったのだ。アースクローラーは単なる破壊者ではなかった。彼らは大地の力と深く結びつき、独自の生態系を作り上げていたのだ。

「アースクローラーは私たちが思っていたよりもずっと重要な存在なのかもしれないな」 ミツルは深く頷いた。

「だがまだ多くの謎が残されている。さらなる調査が必要だ」 ロータスが思慮深げに呟く。

「そうですね。でも今回の発見は大きな一歩になったと思います!」 ティグが満足そうに微笑んだ。


そう話していると前方を歩いていたアッシュが静かに手を挙げた。「おいみんな!何かの気配がある!気をつけろ!」ミツルたちはアッシュの緊張感に呼応するように武器を構える。

通路の先には巨大な空間が広がっていた。そしてその空間の中央には…「これが…アースクローラーの…巣…?」アリーシャは息を呑んだ。

そこにあったのは巨大なドーム状の構造物だった。それはまるで巨大な卵のようにもあるいは何かの繭のようにも見えた。

ドームの表面は複雑な模様が刻まれておりかすかに土属性魔力を帯びているのが感じられる。


「間違いない…あれがアースクローラーの巣だ…」ロータスは緊張した面持ちでドームを見つめる。

「ついに…ここまで来たんだな…」ミツルは胸の高鳴りを抑えきれない様子でドームに歩み寄る。

古代文献の謎を解き明かしアースクローラーとの共存の道を探るための長く険しい道のりはまだ始まったばかりだった。

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