126話:土属性魔力との関係、共存への可能性
「古代の人々は…アースクローラーを大地の守り人と…」エルザたちがロータスから得た情報に、ミツルも大きな希望を見出していた。
「アースクローラーが土属性魔力を操れるということは土壌改良に役立つ可能性があるんですね」
ミツルの言葉にロータスは深くうなずいた。 「うむ。もしアースクローラーの力を上手く利用できればきっと農業の発展に大きく貢献できるだろう」 ロータスの言葉を聞いて、アリーシャの瞳が輝いた。
「古代文献にはアースクローラーが土属性魔力を操り土壌を豊かにするとある。だが長い年月の中でその知識は失われ人々の恐怖だけが肥大化していった」ロータスは、杖をつきながら書架の間をゆっくりと歩く。
「わしも若い頃森の奥深くで巨大なアースクローラーを目撃したことがある。恐ろしい魔物だと身構えたがそのアースクローラーは襲い掛かってくることなくただ静かに地面に潜っていったんじゃ」ロータスは懐かしそうに目を細める。
「後になって周囲を調べてみるとアースクローラーが通った後には不思議なことに草木が青々と茂っていた。あれは偶然ではなかったのかもしれん…」
「土属性魔力…土壌改良…もしかしてアースクローラーは土中の魔力を利用して土壌を活性化させているのかも!」エルザの言葉にロータスは深く頷く。
「その可能性は高い。土属性魔力には植物の成長を促し土壌を浄化する力がある。アースクローラーは本能的に土属性魔力を操り自分たちの住処を豊かに保っているのかもしれん」
エルザは興奮を抑えきれずに古代文献を胸に抱きしめる。「だとしたら…ミツルの言う通りアースクローラーと共存できる可能性は十分にある!いやむしろアースクローラーは蜂蜜街道にとってなくてはならない存在になるかもしれない!」エルザの目は希望に満ち溢れていた。
もしアースクローラーの力を借りることができれば蜂蜜街道の建設は飛躍的に進むだろう。それはミツルの夢である人と魔物が共存する豊かな社会の実現に大きく近づくことを意味する。
しかしロータスは興奮するエルザを前に厳しい表情で首を振る。
「喜ぶのはまだ早い。古代文献にもあるようにアースクローラーは気性が荒く、容易に人に懐くことはない。それにもしアースクローラーが土属性魔力を自在に操れるとしたらその力は計り知れない。制御できなければ逆に大きな災害を引き起こす可能性もある」
「私たちずっと豊かな土地を求めてきました。アースクローラーの力があればその夢がかなうかもしれません」 興奮気味に語るアリーシャに、ミツルも力強く頷いた。
「アースクローラーとの共存は私たちの未来を大きく変える可能性を秘めているんだ。だからこそもっと彼らのことを知る必要があるんだよ」 ミツルの言葉に仲間たちも強い決意を覚えた。
一方、ティグはアースクローラーとの心の交流に関心を寄せていた。 「オレはアースクローラーと心を通わせることができるかもしれない。そうすれば共存への道が見えてくるはずだ」 ティグの提案にロータスは興味深げな表情を浮かべた。
「ほう獣人族のお前ならばその可能性は十分にあるだろう。私も協力しよう」 ロータスの申し出に、ティグは感謝の言葉を述べた。 「ロータスさんありがとうございます。必ずアースクローラーとの絆を築いてみせます」 その言葉には、強い決意が込められていた。
エルザはアースクローラー研究チームのメンバーを集め新たな方針を伝えた。 「私たちはアースクローラーの生態を詳しく調べ、彼らとの共存の道を模索します。土壌との関係、そして彼らが持つ土属性魔力の秘密を解き明かすことが私たちの使命です」 メンバーたちはエルザの言葉に力強く頷いた。
「わかりました。私たちも全力で取り組みます」 カミラとマリアの言葉にエルザは心強さを感じていた。
ミード製作隊のリオナとタリックはアースクローラーの生態に関心を寄せていた。 「土の中で何を食べているんだろうね。それがわかれば共存のヒントが見えてくるかもしれない」 タリックの言葉にリオナも同意した。
「そうね。土壌との関係を知ることはとても大切だわ」 二人はアースクローラーの生態解明に向けて意欲を燃やしていた。
アースクローラー研究チームとミード製作隊、そしてティグとロータス。 彼らの協力によってアースクローラーとの共存への道筋が見え始めていた。
ミツルは仲間たちの努力を見守りながら心の中で誓った。 「私たちは必ずアースクローラーとの共存を実現する。そして蜂蜜街道の未来を切り拓いていくんだ」
その想いは仲間たちの心にも深く響いていた。 アースクローラーとの出会いはミツルたちに新たな試練をもたらした。
しかし同時にそれは大きな可能性も秘めていた。 土属性魔力の謎を解き明かし、アースクローラーとの絆を深めていくこと。 そこに共存への道が見えてくるはずだった。
ミツルたちの挑戦は新たなステージへと進んでいく。 アースクローラーの真実に迫り蜂蜜街道の未来を切り拓くために。 彼らの冒険はさらなる高みを目指していくのだった。




