123話 アースクローラー研究チーム、始動
「アースクローラー研究チームか…面白そうね!」エルザはミツルから提案された新たなチームの話を聞き目を輝かせた。
蜂蜜街道事業の各部門が動き出した翌日ミツルはエルザを呼び出し、アースクローラー対策のための専門チームの結成を告げたのだ。
「エルザは蜂蜜や蜜源植物の研究だけじゃなく魔物に関する知識も豊富だし行動力もある。だからこのチームのリーダーを頼みたいんだ。」
「任せてよ!必ずアースクローラーの生態や謎を解明してみせるわ!」エルザはミツルの期待に応えるように力強く宣言する。
「このチームにはロータスさんも加わってくれることになった。それからアッシュさんにも協力を頼んでみたんだ。」
「アッシュさんも?心強いわね!対策が取れなくて、共存の道が無いとなったらその時は討伐って言う選択肢を取らないといけないし、遭遇した時の対処も確立しないといけないから、高ランクのシルバーファングの参戦は助かるわ!」エルザは経験豊富なアッシュがチームに加わることに安堵する。
「…ただアースクローラーは未知の部分が多い。ロータスさんの知識だけでは足りないかもしれない。そこで…。」ミツルはバルドウィン卿から預かった手紙を取り出した。
「バルドウィン卿が信頼できる魔物学者を紹介してくれることになったんだ。専門家の意見も聞きたいと思ってね。」
「それは心強いわね!どんな方なの?」エルザは興味津々といった様子でミツルに尋ねる。
「手紙によると名前はレオン・クロフォードという人らしい。若い頃にアースクローラーの研究をしていたことがあって、今は王都で魔物学の教授をしているそうだ。明日リハルトに到着する予定だからまずは彼に会って話を聞いてみよう。」ミツルの説明にエルザは期待に胸を膨らませる。
翌日レオンがリハルトに到着した。彼はミツルの予想よりもずっと若い30代半ばの男性だった。眼鏡の奥の鋭い眼光と理路整然とした話し方が印象的だ。
「初めましてレオン・クロフォードと申します。バルドウィン卿からアースクローラーの件で協力要請があったため参りました。」レオンはミツルとエルザに丁寧に挨拶する。
「レオン先生わざわざリハルトまで来ていただきありがとうございます。私はミツルと言います。蜂蜜街道事業の責任者をしています。」
「エルザです。蜂蜜や蜜源植物の研究をしています。アースクローラーのことで先生のお力をお借りしたいんです。」ミツルとエルザはそれぞれ自己紹介をする。
「早速ですが先生はアースクローラーについてどれほどの知識をお持ちなのでしょうか?」エルザは矢継ぎ早に質問する。
「私は若い頃各地を旅して珍しい魔物の研究をしていました。その過程でアースクローラーについてもある程度の知識を得ることができました。」レオンは落ち着いた様子で答える。
「…先生…アースクローラーと共存することは可能でしょうか?」ミツルはレオンに核心を突く質問をする。
レオンは少し考え込んだ後答える。「…可能性はゼロではないでしょう。しかしそのためには彼らの生態をもっと深く理解する必要があります。アースクローラーは非常に複雑な生態系を持っており安易な方法では共存は難しいでしょう。」レオンの言葉にミツルとエルザは改めて事態の深刻さを認識する。
「…先生具体的な対策については何かアイデアはありますか?」エルザが尋ねる。
「…ええ。いくつか考えられる対策はあります。しかしそれらを実際に実行に移すには更なる調査と研究が必要不可欠です。ミツルさんエルザさん!私と一緒に生態調査等に行きましょう!」レオンの言葉にミツルとエルザは希望の光を感じた。
レオンの知識と経験はアースクローラー問題を解決するための大きな力となるに違いない。
「…もちろんですレオン先生。力を貸してください!」ミツルはレオンに力強く握手を求める。
「…先生!一緒にアースクローラーと共存できる未来を作りましょう!」エルザもレオンに笑顔を向ける。
こうしてアースクローラー研究チームは、ミツル、エルザ、ロータス、アッシュ、そしてレオンという個性豊かなメンバーで本格的に始動することになった。




