121話 希望を託して、蜂蜜街道 各部門始動
「…ロータスさんの話では、アースクローラーは、土を耕し土壌を豊かにする力を持っているそうです。もしかしたら彼らとの共存は蜂蜜街道だけでなくこの地域全体の農業発展にも繋がるかもしれない…。」
ミツルの言葉に会議室は水を打ったように静まり返る。
だがその静けさは諦めや絶望ではなく新たな可能性に対する期待感と戸惑いが入り混じったものだった。
「…ミツルの言うことも分かるが…本当に共存なんてできるのか?奴らは蜂の魔物の巣を襲う危険な魔物だぞ?」アグニアの商人ギルドのギルドマスターフィリップが口を開く。
彼は蜂蜜の取引で大きな利益を得ておりアースクローラーの出現によってその利益が損なわれることを恐れていた。
「…確かにリスクはあります。しかしリスクを恐れて何もしなければ蜂蜜街道の未来はない。僕はアースクローラーとの共存の可能性を信じたい。」ミツルは真っ直ぐ前を見据え力強く宣言する。その言葉には迷いはなかった。
「…ミツルお前がそこまで言うなら俺たちは協力するぜ。だが共存を実現するためには綿密な計画と強力な体制が必要になる。覚悟はいいか?」アッシュがミツルの肩を叩きながら問いかける。
「…もちろんです!覚悟は決めてますし最大限頑張ります!なので皆さんの力を貸してください!」ミツルはアッシュの言葉に力強く頷く。
「…よし!それじゃあまずは蜂蜜街道事業全体の体制を見直す必要があるな。」バルドックが腕組みをしながら口を開く。
「…今の体制ではアースクローラーへの対応が後手に回ってしまう。より迅速かつ効率的に情報を共有し、対策を講じることができるように組織を再編する必要がある。」オルガもバルドックの意見に賛同する。
「…ミツル具体的な案はあるか?」バルドウィン卿がミツルに問いかける。
ミツルは事前に考えていた案を説明する。「…はい。蜂蜜街道事業を以下の7つの部門に分け、それぞれに専門のチームを配置することを提案します。」
ミツルは広間に設置された黒板に7つの部門名を書き出す。
1. 養蜂部門: 蜂の魔物の飼育、蜂蜜の採取、品質管理などを担当する。
2. 建築部門: 蜂蜜街道の建設、養蜂場の整備、関連施設の設計・施工などを担当する。
3. 街道部門: 蜂蜜街道の維持管理、安全確保、交通整理などを担当する。
4. 物流部門: 蜂蜜や関連商品の輸送、保管、在庫管理などを担当する。
5. 警備部門: 蜂蜜街道の安全確保、魔物対策、犯罪防止などを担当する。
6. 園芸部門: 蜜源植物の栽培、品種改良、土壌管理などを担当する。
7. 商業部門: 蜂蜜や関連商品の販売、市場調査、広報活動などを担当する。
そして今回の中心議題であるアースクローラーに関する総合対策チームです。
「…各部門にはリーダーを配置しそれぞれの責任と権限を明確にする。そして部門間で情報を共有し連携を密にすることでより効率的かつ効果的に事業を進めることができるはずです。」ミツルの説明に会議室のメンバーたちは真剣な表情で耳を傾けていた。
「…なるほど。それは良い案だな。各部門のリーダーは誰にするんだ?」エリオットが尋ねる。ミツルは各部門のリーダー候補を指名していく。
養蜂部門: カミラ、マリア、リオナ、タリック
建築部門: ボリス&ティルダ
街道部門: エドガー&補佐として各街の冒険者ギルドマスター
物流部門: ティグ&補佐として各街の冒険者・商人ギルドマスター
警備部門: レン&リィナ
園芸部門: アリーシャ&ノエル
商業部門: マリー&補佐として各街の商業ギルドマスター
それに加えアースクローラー対策チームとしてエリオット&アッシュ&ロータス
「…各部門のリーダーはそれぞれ自分たちのチームを編成し、具体的な活動計画を立ててください。そして定期的に全体会議を開き進捗状況や問題点などを共有していきましょう。」ミツルの指示に各部門のリーダーたちはそれぞれ決意を新たにする。
「…分かりました。必ず蜂蜜街道の未来を守ってみせます!」リオナが力強く宣言する。他のリーダーたちも力強く頷く。
「…よし!それじゃあ早速各部門で具体的な計画を練り上げてくれ!蜂蜜街道の未来は俺たちにかかっているんだ!」ミツルの言葉に会議室は熱気に包まれた。
人々はアースクローラーという新たな脅威に立ち向かうために、それぞれの持ち場で全力を尽くすことを誓い合った。




