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異世界養蜂革命  作者: 華蜂師
第8章「アースクローラーの影」
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119話 アースクローラー脅威の生態

アースクローラーは周囲を警戒するようにゆっくりと歩き回り、時折地面に顔を近づけ何かを嗅ぎ分けるような仕草を見せる。

「…ロータスさん。あれは…何をしているんでしょうか…?」エルザがロータスに尋ねる。

ロータスはアースクローラーの行動をじっと観察しながら答える。「…おそらく土の中にいる虫や植物の根を探しておるんじゃろう。文献には無いが実物の行動を見る限り視力による認識ではなく何かしらの機関やスキル等で周辺や餌等を感知しているのではなかろうか。アースクローラーは雑食性で土中の生物や植物を主な餌としていると古代文献には書いてある。だが…」ロータスは言葉を切り険しい表情を浮かべる。


「…奴らは魔力を感知する能力を持っており、好物である蜂の魔物の巣を探し出すこともできる。そして巣を見つけると蜂蜜や幼虫成虫までも全て食い尽くしてしまうのじゃ…。」ロータスの言葉に隊員たちは改めてアースクローラーの脅威を感じ表情を引き締めた。

「…やっぱり蜂蜜街道にとって、こいつは脅威だな…。」エリオットが呟く。

ミツルも、その深刻さを改めて認識する。「…ええ。このまま放置すれば、蜂蜜街道だけでなく、周辺地域全体に大きな被害をもたらす可能性があります…。」


「…しかし、むやみに攻撃するのは得策じゃないだろう。ロータス爺さんの話では、アースクローラーは古代の魔物で、その生態はほとんど解明されてないんだ。まずは、もっと詳しく調べる必要がある。」アッシュが冷静に意見を述べる。

ミツルも同意する。「…そうですね。まずはアースクローラーの行動パターンや習性、弱点などをもっと詳しく知る必要があります。」

「…よし!じゃあしばらくの間奴の行動を観察するぞ!何か気づいたことがあれば、すぐに報告するように!」エリオットが調査隊のメンバーに指示を出す。

隊員たちはそれぞれ注意深くアースクローラーを観察し始めた。


数時間後エルザがアースクローラーの行動にあるパターンがあることに気がついた。

「…ミツル見て。アースクローラーは一定の時間ごとに地面に潜ってしばらくすると別の場所から出てくるみたいよ。」エルザは地面に開いた複数の穴を指差す。

確かにアースクローラーはまるでモグラのように地面を掘って移動しているようだった。

「…なるほど…。それは重要な情報だな。おそらくアースクローラーは地中を移動することで広範囲にわたって餌を探しているんじゃないか?」ミツルはエルザの発見に感心する。


「…でも一体どれほどの距離を移動できるんだ…?それに地中でどうやって方向を定めているんだ…?」レンが疑問を投げかける。

「…それはまだ分からん。だがアースクローラーが土属性魔力を操るというロータスさんの言葉を考えると、地中や周辺の魔力を感じ取っている可能性もあるな。」ティグが推測を述べる。

「…もしそうだとしたらアースクローラーは我々が考えている以上に高度な知能を持っている可能性もあるわね…。」エルザが興味深そうに呟く。


「…しかし問題は奴らが蜂の魔物の巣を襲うことだ。どうやって巣の場所を特定しているんだ…?」ライアンが深刻な表情で言う。

「…おそらく蜂の魔物たちが持つ特有の魔力を感知しているのでしょう。蜂の魔物たちは蜂蜜を作るために花々から蜜を集めます。その過程で蜂の魔物たちは体に花の魔力を帯びる。アースクローラーはその魔力を感知して巣の場所を特定している可能性があります。」ロータスが自身の知識を基に説明する。


「…なるほど…。ということは奴らを蜂の魔物の巣から遠ざけるためには蜂の魔物たちが持つ魔力を何らかの方法で遮断する必要があるってことか…。」ミツルは真剣な表情で呟く。

「…でもそんなことできるのか…?」サラが不安そうに尋ねる。

「…まだ分かりません。ですが可能性はゼロではないと思います。まずは蜂の魔物たちが持つ魔力の性質をもっと詳しく調べる必要があります。」エルザは決意を込めて答える。


その後も調査隊は数日間、アースクローラーの行動を観察し様々なデータを収集した。その結果アースクローラーの食性、行動パターン、繁殖方法など、多くの情報を得ることができた。

「…よし今回の調査はここまでにしよう。得られた情報はリハルトに持ち帰り詳しく分析する必要がある。」ミツルは隊員たちに調査終了を告げる。


「…了解だ。」

「…分かりました。」

隊員たちは疲れた体を引きずりながらもミツルの指示に従いリハルトへと戻る準備を始めた。

彼らの表情には疲労感と共に未知なる脅威への不安が色濃く残っていた。

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