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異世界養蜂革命  作者: 華蜂師
第6章:変革への門出
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113話 未知なる足跡

「この辺りから先は、俺たちもまだ足を踏み入れたことがない地域だから、気を引き締めていくぞ」ティグは、周囲を警戒しながら、先頭を進む。

彼らの背後には、街道整備が完了した地点から続く、真新しい道が伸びていた。

フローリア村からベリル村、そしてリハルトへと続く街道が完成し、人々の生活は大きく変化しつつあった。

物資の輸送がスムーズになったことで、交易が活発になり、街には以前にも増して活気が溢れている。


しかし、ミツルたちの挑戦は、ここで終わるわけではない。リハルトから先へと続く、まだ見ぬ世界へ、新たな道を拓くという、更なる目標があった。

安全な街道を築くためには、魔物への対策は不可欠だ。そこで、ミツルは、ティグたちに、これから街道を整備していく予定の地域へと、魔物の調査に向かうよう依頼したのだ。


「ミツルさん、任せてください!レン、リィナと協力して、しっかり調査してきますよ!」ティグは、ミツルの依頼に、力強く答えた。

彼は、ミツルにモンスターテイマーとしての才能を見出され、物流部隊のリーダーを任されている。レンとリィナも、ティグと共に、モンスターテイマーとしてのスキルを磨いている最中だった。


「頼んだぞ! 無茶はするなよ」「分かってるって、ミツルさん。俺たちだってもう新米じゃねえし!」ティグは、少しだけ誇らしげに胸を張った。

とはいえ、彼らが本格的に魔物と対峙するようになったのは、ミツルと出会ってからだった。経験豊富な冒険者と比べると、まだまだ未熟な部分も多い。


「ティグ、気を付けてね。未知の魔物との遭遇は、何が起こるか分からないわ。無理はしないで、安全第一で行動して」エルザは、ティグたちに、心配そうに声をかけた。

「エルザさん、ありがとうございます!心配させない様に頑張りますね!」ティグは、エルザの言葉に、素直に感謝の気持ちを伝えた。

早朝、リハルトの門の前で、ティグは、レン、リィナ、そして、新たにチームに加わった若手冒険者たちに、最後の注意を促していた。


「よし、みんな、準備はいいか? 今回は、街道整備の下見とこの辺に生息する魔物の調査が目的だ。油断せず、慎重に行動するよう、心がけろ」

「了解です!」「気をつけます!」若手冒険者たちは、緊張した面持ちで、ティグの言葉に頷いた。

彼らにとって、未知の魔物との遭遇は、恐怖と同時に、冒険心をかき立てるものでもあった。


「今回の調査では、物流部隊として街道整備等の調査と、そこで遭遇した魔物の生態を調べて詳しく観察することが重要になる。攻撃は、あくまで最終手段だ。むやみに刺激せず、可能な限り、距離を保って行動するよう、心がけてくれよな」

「了解です、ティグさん!」「気をつけます、ティグさん!」ティグは、経験の浅い若手冒険者たちにも、なるべく分かりやすく説明しようとする。

しかし、彼自身も、まだ未知の魔物に対する調査は経験不足だった。


「えっと、魔物の痕跡を発見したら、すぐに報告すること。それから、単独行動は厳禁だからな! 常に、チームで行動し、互いにカバーし合うことを忘れるなよ。特に、森の中では、視界が悪くなるから、注意が必要だぞ。音を立てずに、慎重に進むんだ」ティグは、ミツルから教わったこと、そして、自分自身の経験から得た森の中での注意点を付け加える。

「了解です、ティグさん!」「気をつけます、ティグさん!」若手冒険者たちは、再び、ティグの言葉に頷いた。彼らは、ティグの言葉を真剣に受け止め、気を引き締めていた。


一行は、街道の整備が完了した地点から、さらに奥へと進んでいく。辺りには、見慣れない植物が生い茂り、奇妙な鳴き声の鳥が、空を舞っていた。

「この辺りからは、地図にも載ってるけど、どんな魔物がいるか分からねーからな。気を引き締めていくぞ」ティグは、周囲を警戒しながら、先頭を進む。緊張感が、一行を包み込む。


数時間後、レンが、森の中の異変に気付いた。「おい、ティグ!あれ見てみろよ!」レンが指差す先には、奇妙な形の足跡が残されていた。それは、今まで見たことのない、巨大な足跡だった。

「なんだよこれ…見たことがない足跡だな。大型の魔物の可能性が高い。警戒を強めるぞ!」ティグは、表情を引き締め、周囲に注意を払うように指示を出す。


「リィナ、お前は斥候を頼む。レン、お前は俺と一緒に、足跡を追う。他の皆は、後方支援だ。何かあったら、すぐに合図を送るんだ」ティグは、素早く指示を出し、チームを編成する。

「了解!」「了解です!」メンバーたちは、それぞれの役割を理解し、行動を開始する。緊張が走る中、一行は、未知の魔物との遭遇に備えて、慎重に森の奥へと進んでいった。


しばらく進むと、前方に、開けた場所に出た。そこは、巨大な樹木が生い茂る、薄暗い森だった。木々の間からは、不気味な音が聞こえてくる。

「この先に、何かいる…!」ティグは、鋭い勘で、そう感じた。彼の視線は、森の奥へと向けられていた。

「みんな、気をつけろ!何かいるぞ!音を立てずに、ゆっくりと近づくぞ」ティグは、仲間たちに、小声で指示を出す。

彼らは、息を潜め、慎重に森の中へと進んでいく。薄暗い森の中は、不気味な静けさに包まれていた。時折、木の枝が風に揺れ、カサカサと音を立てる。


「ティグ…おい、足跡が、さらにでかくなってるぞ…」レンが、ティグに伝える。

ティグは、レンの視線の先を追う。確かに、足跡は、さらに大きく、深く刻まれていた。

「大型の魔物であることは、間違いないだろう。だが、正体はまだ分からん。油断するな」ティグは、気を引き締めながら、さらに奥へと進んでいく。

しばらく進むと、森の中央付近に辿り着いた。そこには、巨大な岩山があった。


「ティグ、見て!」リィナが、岩山の方を指差す。ティグが見るとそこには、巨大な影が見えた。

「あれは…!」ティグは、息を呑んだ。巨大な影は、ゆっくりと動き始めた。

それは、今まで見たこともない、巨大な魔物だった。その体は、黒光りする硬い外皮で覆われ、巨大な顎からは、鋭い牙が覗いていた。

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