112話 共鳴する想い、未来への決意
リハルトのギルドでの祝宴は、夜遅くまで続いた。一部だが蜂蜜街道のきっかけとなる大切な街道の完成を祝う歌や笑い声は、街全体に響き渡り、人々の心を温かく包み込む。
宴もたけなわとなった頃、ミツルは、参加者たちに向けて、改めて感謝の言葉を述べた。
「みんな、今日は本当にありがとう! 仮街道の完成は、みんなのおかげだ! みんなの頑張りが、この世界を変える第一歩になったんだ!」ミツルの言葉に、参加者たちは、大きな拍手と歓声で応えた。
祝宴が一段落すると、各チームに分かれて、今回のプロジェクトの成果と課題を共有する場が設けられた。
「フィンバル、運搬装置の性能は、想像以上だった! あれがあったから、予定よりも早く作業を進めることができた。本当にありがとう!」ボリスは、フィンバルに握手を求めながら、感謝の言葉を述べた。
「いやぁ、ボリスにそこまで言われるとむず痒いが、役に立てたみたいで嬉しいよ。でも、まだまだ改良の余地はある。もっと使いやすく、もっと安全性の高い装置を開発を現場の声を参考にしていこうと思っている。例えば、魔力の出力調整機能を付ければ、もっと幅広い大きさの石材に対応できるようになるだろうし、安全装置の精度を上げれば、より安全に作業ができるようになるはずだ」フィンバルは、技術者としての探究心を燃やしながら、熱く語った。
別の場所では、エルザやアリーシャが中心となって、養蜂チームの振り返りを行っていた。「養蜂の指導、ありがとうございました! 蜂の魔物の生態や、蜂蜜の採取方法など、知らないことだらけで、最初は戸惑うことばかりだったけど、エルザさんやアリーシャさんのおかげで、今では、少しは、養蜂のことが分かるようになったよ」若い参加者の一人が、二人に笑顔で話しかけた。
「それは良かったわ。でも、油断は禁物よ。蜂の魔物は、時に、私たち人間の想像を超えた行動をとることがあるの。常に、注意深く観察し、安全に配慮しながら、作業を進めるように心がけてね。それに、養蜂は、ただ蜂蜜を採取すればいいってもんじゃないのよ。蜜源となる植物の育成、蜂の魔物の健康管理、そして、蜂蜜の品質管理など、やるべきことは山積みなの」アリーシャは、参加者たちに、改めて、安全の重要性と、養蜂の奥深さを説いた。
「でも、その分、やりがいもあるわ。美味しい蜂蜜が採れたときは、本当に嬉しいものよ。それに、蜂蜜は、栄養価が高く、保存もきくから、この世界の食糧事情を改善する可能性も秘めているの」エルザは、蜂蜜の入った瓶を、愛おしそうに眺めながら話した。
「ミツルさん、今回のプロジェクトを通して、多くの仲間と出会うことができて、本当に良かったです。それに、様々なスキルを身につけることもできた。これも、ミツルさんがこのプロジェクトを立ち上げてくれたおかげです。」ティグは、ミツルに、感謝の気持ちを伝えた。
「いや、ティグ達の協力なしに、このプロジェクトは、成功しなかった。本当に感謝しているよ。それに、今回のプロジェクトは、俺にとっても、大きな学びになった。特に、魔物との戦い方については、かなり自信がついたよ。ティグも教わった剣術やモンスターテイマーとしても、かなり上達したんじゃないかな?」ミツルは、今回のプロジェクトで得られた成果を噛みしめていた。
「俺もです! モンスターテイマーとしてのスキルも、かなり向上しました。それに、魔物に対する見方も変わりました。以前は、ただ倒すべき敵だと思っていたけど、今は、共に生きる仲間として、大切に思えるようになりました」レンも、自分の成長を嬉しそうに報告した。
「私もよ! モンスターテイマーとしてのスキルも、かなり向上したわ。それに、私も魔物に対する見方も変わったわ。今は、共に生きる仲間として、仲間の為、街の為、みんなの為に一緒に生きて行こう!って大切に思えるようになったの」リィナも、レンに続いて、笑顔を見せた。
「レンも、リィナも、本当に成長したな! これからの活躍が、ますます楽しみだよ」ミツルは、二人の成長を心から喜んだ。
「今回のプロジェクトで得た経験と絆を胸に、私たちは、これからも、新たな挑戦を続けていきます! そして、この世界を、より良い場所へと変えていくのです!」ミツルの力強い言葉に、参加者全員が、未来への希望に満ちた表情で、頷き合った。
それは、彼らの想いが一つになった瞬間だった。仮街道の完成は、新たな旅の始まりに過ぎない。
彼らは、これからも、様々な困難に立ち向かい、共に成長していくことだろう。
そして、彼らの挑戦は、きっと、この世界に、新たな光をもたらすに違いない。




