表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界養蜂革命  作者: 華蜂師
第6章:変革への門出
110/145

109話 緑と希望、そして未来へ

リハルトでは、街道整備部隊のメンバーに向けて、フィンバルとグリンデルによる新型運搬装置の説明会が行われていた。

「みんな、今日は集まってくれてありがとう! 今日紹介するのは、今後の街道整備をより安全かつ効率的に進めるための、とっておきの装置だ!」フィンバルは自信満々に新型運搬装置を披露する。

それは、一見すると従来の工具と大差ないように見えたが、よく見ると複雑な歯車や滑車、そして魔力の流れを制御するための魔石が精巧に組み込まれている。


「おおっ! これはなんだ?」「見たことない装置だな…」隊員たちから興味津々の声が上がる。目の前の装置から感じられる、只ならぬ雰囲気に期待が高まっているようだ。

「この装置は“魔力式運搬装置”といってな、少ない力で重いものを動かすことができるように設計されているんだ。使い方は至って簡単でね…」フィンバルは、実演を交えながら、装置の仕組みと使い方を丁寧に説明していく。


目の前で巨大な石材が、まるで羽が生えたかのように軽々と持ち上がり、滑らかに移動していく様子に、隊員たちは驚きと感嘆の声を漏らした。

「なるほど…、つまり、魔力の力で石材を動かすってことか!」「こりゃすごい! これがあれば、あんな重労働ともおさらばだな!」隊員たちは、フィンバルの説明に熱心に耳を傾け、新たな装置への期待を膨らませる。

重労働からの解放は、彼らにとって長年の悲願でもあったのだ。


「安全性も、もちろん考慮済みだ。万が一、装置が故障して、石材が落下するようなことがあっても、この安全装置が作動して、衝撃を吸収する仕組みになっている」グリンデルが、フィンバルの説明に補足する。

安全性の確保は、彼らの開発において最優先事項であった。


「さすが、フィンバルとグリンデルだな! 細かく対策を考えてくれてるんだな!」「これなら、安心して作業に集中できるってもんだ!」隊員たちは、フィンバルとグリンデルの心遣いに感心し、彼らへの信頼をさらに深めた。

危険と隣り合わせの作業だからこそ、安全への配慮は、彼らの士気を高めるのに十分だった。


「この装置は、特に、これから開拓していく、より険しい道の整備で威力を発揮するだろう。急な斜面や、足場の悪い場所でも、安全に、そして効率的に作業を進めることができるはずだ」フィンバルは、未来に広がる街道の姿を思い描きながら、力強く語る。

それは、彼らの技術力と情熱が、この世界に新たな道を切り開いていく未来への宣言でもあった。

「よし、じゃあ、早速、この新型運搬装置を使って、次の現場に出発だ!」ティルダが、気合十分に声を上げた。待ちに待った新型運搬装置の導入に、彼女の表情にも興奮の色が隠せない。


ベリル村の収穫祭は、村全体が喜びと活気に満ち溢れていた。色とりどりの屋台が所狭しと並び、美味しそうな匂いが風に乗って運ばれてくる。

中央広場では、陽気な音楽と共に、村人たちが輪になって楽しそうに踊っていた。

ミツルたちも、その輪に加わり、歌に合わせて体を揺らす。久しぶりの故郷の祭りということもあり、自然と笑みがこぼれる。


「ミツル、こっちこっち! 美味しそうなミードがあるよ!」エルザが、ミツルの手を引いて、近くの屋台へと向かう。エルザは、新しいミードを見つける度に、目を輝かせていた。

「お、本当だ! エルザ、今日は飲みすぎんなよ?」「もう、人のこと言えないでしょ!」エルザは、ミツルの言葉に笑いながら、屋台の店主にミードを二つ注文した。


ミツルがエルザと楽しそうに話していると、広場に入ってきたばかりのティグ、レン、リィナの姿を見つけた。「おーい! ティグ! こっちこっち!」ミツルが手を振ると、ティグたちも笑顔で駆け寄ってくる。

「ミツルたち、遅いですよ! もう美味しいもの、いっぱい食べちゃったんで!」レンが、少し得意げにそう言った。どうやら、ミツルたちを待たずに、屋台巡りを満喫していたようだ。

「レンったら、相変わらず食いしん坊なんだから」エルザが、レンの頭を軽く叩きながら、クスクスと笑う。


「ところで、ティグ、街道整備の方は、順調なのか?」ミツルは、収穫祭の賑わいとは裏腹に、過酷な環境での作業が続く、ティグたちのことが気になっていた。

「はい!おかげさまで!フィンバルさんとグリンデルさんが、すごい装置を開発してくれたんです」ティグがそう言うと、レンがすかさず、クルクルと巻かれた人参を片手に説明を始める。

「それが本当にすごいんだ! “魔力式運搬装置”って呼ばれてるんだけど…」レンの説明によると、その装置は魔力を動力源として、重い石材などを軽々と持ち上げたり、移動させたりすることができるらしい。しかも、安全装置も完備されていて、操作も簡単とのことだった。


「へぇー、それはすごいな! フィンバルとグリンデル、さすがだな!」ミツルは、二人の技術力の高さに改めて感心した。

「そうですね!おかげで、作業効率が格段に向上しました。それに、危険な作業も減ったから、怪我人も出なくなりましたね!」ティグは、安堵した表情でそう言った。

「それはよかった! これからの街道整備が、さらに安全かつスピーディーに進むといいな」ミツルは、心からそう願った。


「必ず成功させてみせます! そして、この世界に、もっともっと、笑顔と活気を広げていくんだ!」ティグは、力強くそう宣言した。その言葉に、ミツルも、エルザも、アリーシャも、そしてレンとリィナも、皆、笑顔で頷き合った。

ベリル村の収穫祭の夜は、まだ始まったばかりだった。満天の星空の下、ミツルたちは、未来への希望を胸に、楽しい宴を仲間たちと分かち合った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ