100話:教育プログラムの導入
リハルトの街の中心にある冒険者ギルドホールの一室。そこでは、新たに計画された教育プログラムの導入に向けた準備が進められていた。
ミツルたちは、孤児や元奴隷たちの成長を支えるための基盤作りに張り切っている。
「子どもたちの未来のために何ができるか、しっかりと考えていかないとね」とミツルは仲間たちに語りかける。
彼の隣にはエルザとアリーシャも座り、真剣な眼差しで資料を見つめている。
「そうだね、まずは知識とスキルをバランス良く教えることが大事だと思う。特に、養蜂や農業に興味を持ってくれる子たちには、ミツルの経験を活かしてほしいわ」とエルザが続ける。
アリーシャは頷き、「そういえば、村の人たちと協力して、実際に作物を育てるところから教えてみようと思うの」と提案する。
「それはいいアイデアだね。手を動かしながら学ぶことで、より役に立つ技術が身につくと思うよ」、ミツルが微笑みながら応じた。
彼らの計画では、教育プログラムは大きく分けていくつかの部門に分けられることになっている。
子供たちに基本的な知識や技術を教える「教育部門」、冒険者の訓練を目的とした「戦闘訓練部門」、そして物流や街道整備を支える「街道部門」だ。ある程度成長してきたら養蜂部隊(養蜂と採蜜、ミード製作等)を結成したいと思っている。
特に教育部門においては、木登りに長けた者や高所作業に適した者を求めていた。
彼らの技能を活かせる場を作り、クイーンティラワスプのような蜜源を活用する新たな試みを進めるつもりだ。
冒険者としてすでに活動しているレンやリィナたちも、物流部門や護衛部隊としてのスキルを磨くため、日々訓練を重ねている。
ドラゴンテイルやシルバーファングのメンバーも指導教官として貢献している現場は、熱気に満ちている。
また、街道整備部門では、ボリス、ティルダ、フィンバル、グリンデル、レオルフ、ミリアム、ガロー、そしてエドガーといった経験豊かなメンバーが、若い世代を指導する姿が次第に増えてきた。
彼らは、それぞれの特技や知識を基に、地域の発展に向けて協力し合っている。
ある日、ミリアムは教育部門の子供たちに向けて声をかけた。「今日は、基礎的な工具の使い方と、それをどう街道整備に活かすかを考えていくわよ」と彼女が説明すると、子供たちは興味津々で集まってきた。
一方で、街道整備部門のエドガーは、道の整備作業を指導している。「道の基礎をしっかり固めることで、長く使えるし安全にもなるんだ。注意深くやることが大事だよ」と彼は若者たちに言い聞かせ、実演を交えて熱心に教えていた。
ティグと共に物流を担う候補として選ばれた若い者達は、ティグのアドバイスのもと、ロックホースを駆使した新たな物流ルートの確立に向けても奮闘している。「レインが得意な工作知識も活かせると思うぞ」、ティグは彼らを励まし、連携を深めていく。
ミツルたちは進捗を確認するため、彼らの訓練や作業が進行している様子を見回りに行った。「みんな、良くやってるね!これからも連携を大事にしながら進めていこう」と、ミツルは若者たちに声をかけ、彼らの成長を励ます。
また、リハルトの住民たちも教育プログラムに大いに賛同し、地域全体での協力体制が整っていった。
「このプロジェクトを通して、みんなの生活がもっと良くなればいいな」という声が街中から湧き上がり、さらなる発展への期待が高まっている。
教育プログラムが本格化してしばらく経ったある日、共有の場としてのギルドでは、各部門の実績や成果が報告された。
「これで基盤はしっかりと固まった。次はいよいよ具体的なステップを考えていこう」とバルドウィン卿が宣言し、次なる目標に向かった新しい章が始まる予感が漂っていた。
彼らの手で未来を切り開くその姿は、一つのコミュニティとして繋がり、成長していく象徴となりつつある。
新しい価値観と情報を共有し合いながら、ミツルたちのプロジェクトは着実に深化していくのだった。




