表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
底から  作者: ぼんさい
77/98

魔界編 ススカ 68 ~セリカ編 18~

東門へ向かうヒヒの馬車その中で、相変わらずラーナは手で魔力の練習をしている。


中々上手くいかないみたいだ。


「ラーナはそれ上手くいかないのかね?」


「セリカおねぇちゃん、そうなのです。 ラーナ才能無いのですか?」


「才能無い奴は全くで出ないよ。 出てるんだ、練習すれば出ると思うんだけどねぇ。」


「ルルおねぇちゃんにも言われたのです。」


「そうだねぇ、もう一回やってみてくれるかねぇ?」


ラーナが手から電気を出す。


確かに出ているその電気。 でもやっぱり魔力がプツプツとしか出ない。


存在は、それなにあるラーナ、さっきからずっとやっているなら普通の魔人は切れているはずだ。


量はあるんだと思う。 でも、なんでか出ない。


「どうなのです?」


「そうだねぇ、私には正直どうしようもないねぇ。 主に見てもらうのさ。」


「メランおねぇさんですか? そうするのです!」


「ムーは全然使えないのニャ、ラーナちゃんは凄いニャ!」


ムーもあると思うんだけど、あえて言っているのか。


今言う事じゃないのはわかるぞ!



高炉は段々積み上がってきている。 もう半分ぐらい行ってるんじゃないか?


黒い木がどんどん小さく見えてくる。


相変わらずラーナの魔力は出ない。 ムーがずっと少し心配そうに見ている。


私も何か助けられればいいんだけどねぇ。




結局ラーナは進展がないまま東門に付いてしまった。


少し残念だ。


東門、あの勇者が来た門、でも壊れていないな。


周りの群衆が集まって見に来ている。


さっさとやってしまおう。


私だけ馬車を降りる。


二人には待っててもらう。 すぐ終わるしねぇ。


これぐらいなら爪で出来るんじゃないかと思う。


私は龍だ、その利点も取り入れていかないと、ルルに負けてしまう。


人差し指の爪を伸ばした。


毒は通さない。 門が溶けてしまう。


その爪を、東門に魔力を乗せて、切りつける。


左から、上に、横に下に、横に。 □の形。


簡単に切れてしまった。 余り練習に成らない。


少し残念に思いながらそれを浮かせる。



「私は門を持って行くから、3人は後で付いてきてほしいのさ。」


「セリカおねえちゃん。わかったのです!」


「わかったニャ!」


ヒヒは頷いている。 何をそんな驚いた顔してるんだい。 今更だろ?



「お前ら東門どこ持って行くんだよ。」


緑髪の男、ダンが声を掛けて来た。


何処持って行くって、新しい所さね。


「新しい所? いいや、馬車乗せてくれよ。」


馬車に乗りたいらしい、ヒヒに任せて、私は門を運ぶ。


少し先に言って、遠くを見ていた。


一応危ない奴が来るかもしれないからだ。


でも人も馬車も通らない。


一時多くの人が居ると聞いたのだが。 こんな物なのかもしれない。


草原に突然現れる石壁はさっき主と作った物だ。


今は周りに何も無いが、そのうちここまで街が来るんだろうか。


どんな店が増えるんだろう。 少し楽しみだ。


そんな事を考えていると、馬車が追い付いてきてしまった。


さっさと門を降ろしてしまう。



そのまま馬車で待つことにする。


ラーナが、今までとは違う事をやっている。


体に手を当てて、何か込めている。



ラーナに魔法が出来たか声を掛けてみた。


「ダンに、強化魔法教えてもらってたです。」


強化魔法なんてあるんだねぇ、教えてあげるなんてダンは良い奴だ。


「いや、結局あんまり上手くいかなかったけどな。」


やっぱり上手くいっていないのか。 私が見ていてもやはり断続的な魔力。


どうしてもつながらない。


それからダンは門が気になったのかどうするのか聞いて来る。


木で覆うのさ。 見ないと解らないと思うねぇ。



喋っている内に主がやってきた。


カレンと、ルルも一緒だ。


内壁と新しい門は終わったようだ。


ここが最後だ。



「皆、お待たせしたかな。」


今さっきついて、門を降ろした所だねぇ。


「セリカおねえちゃん凄いんだよ、爪でだぁぁぁて。」


ラーナが話してくれる。 ちゃんと見ててくれてたんだねうれしいよ。


「ムー、ラーナちゃん、ちょっと手伝ってほしいの。」


主に呼ばれて、二人は行ってしまった。


馬車を降りて主と二人のやることを見守る。


ルルがラーナの手を繋いでいる。 何か手伝うようだ。


ダンも馬車を降りて見るようだ。


カレンがまた私の顔を見ている。 頷いてあげる。


カレンが挨拶して、今からやる事を説明している。


見ないとわからないねぇ。




4人が門の中に入って行った。


主が種を植える。


太刀でなにやらやっている様子。


太刀で魔力を何かしているのか。 私にはわからない。


ルルが一番真剣な顔でラーナの手を握っている。


ラーナずっと悩んでたもんねぇ。



地面からツタが現れる。 1本が2本に、4本にドンドン分かれて、門の天井を覆うように広がっていく。


高速で伸び続けるツタ。 そのまま別れて門を呑み込んでしまう。


入口を作るように絡まっていく蔦。 急に上に伸び始めるとドンドン伸びる。


上でわかれて葉を付けた。 黄色い葉っぱ。


蔦が溶けるように幹に変わる。


真っ白な幹。 見たことない幹の色。


あれは、ムーの魔力なのか。 でも総量が絶対に足りない。


主が増やしたのだろうか。 相変わらず滅茶苦茶な事をする主。



終わったようだ、主が太刀を閉まっている。


これで壁と門は完成だ。



カレンのさっきの鎌が気になる、ちゃんと見てみたい。


「カレン、ちょっと鎌見せてくれるかねぇ?」


「セリカ様、構いませんよ。」


背中から取り出すカレン。 布を取ってくれる。 青い鎌が現れる。


綺麗な少し白い青。


「セリカ様、少し武器の使い方を教えていただけませんか。 初めてな物で。」


「使い方かねぇ。」


そのまま持っている体制で腕をつかんで動かしてみる。


狩る動作の鎌、他とは少し違う気がする。


刃が内にある分、こんな動作をするのかと、新鮮な気持ちに成る。


基本は鎌先で刺す事にあるんだろうか。


カレンと話しながら、色々と試してみる。


上薙ぎ、下薙ぎ、振り下ろし。 少し大きな動作に成るがそれは大剣も同じだ。


鎌は冷気を纏っているのか周辺が冷たく成ってくる。



「ルルちゃん! 下!」


主が何か叫んでいる。


ルル? ルルの方を見ると景色が黒一色に成っていた。





何かが、起こったのは解る。 突然風景が飛んだ。


何が起こったかはわからない。


カレンの手を持って居たからか、カレンは一緒に居る。


それ以外の存在は何も感じない。 誰も居ない、久しぶりの感覚。


カレンを離したらどこかに行きそうで、ずっと持って居た。


カレンは何も話さない。 私もよくわからない状況に少し混乱していた。


ずっとただ暗い空間、上も下もよくわからないが、何か足だけは着いている。


先に明るい所がある。 それがどんどん広がっていく。


目の前が真っ白に成った。



高い石の天井。


何かの台座だろうか、沢山の魔法陣の書かれた床。


人が10人は乗れそうなその床に、私とカレンで立っている。


そして目の前に、3重の鉄の柵。


ぐるりと囲う鉄柵で、あまり外が見えない。


隙間から人が見える。 聖職者のような恰好をした人が数人。


横には沢山の魔法陣が書かれた紙の山、文字はよくわからない。


「当たりか?」


「デーモンが2匹です。 何か大きな鎌を持って居ます!」


私達の事だろうか。 当たり?なんだろうか。


「目が動いてるぞ! 弱らせろ!」


床から上がった電撃が目の前を真っ白に染め上げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ