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底から  作者: ぼんさい
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魔界編 ススカ 65 ~セリカ編 16~

主が魔獣達に石を集めさせておけば良いんじゃないかと言っている。


主は魔獣の使い方も知っているんだ、やっぱり主はすごい。


その後、魔獣達に言うと石を集めだした。


壁作るんだったな。 ちゃんと聞いてたぞ!



ダンテが馬車に乗り込んでくる。


「おい、美人さん増えてるじゃないか。」


ルルがいつもいる場所に座ったダンテは、カレンに気付いたようだ。


カレンが私を見てくるので、黙って頷いておく。


カレンがダンテに挨拶をしていた。


頷かなかったら無視するんだろうか。



「あれか、カレンも家持ち上げたり出来んのか。」


「カレン、出来るわよね?」


「主様、おそらく出来ると思います。」


何かすぐに成ってしまったが龍だ。 大抵の事は出来る。


存在もルルに次いで大きい存在に成ってしまったカレン。


それでもルルよりだいぶ小さいけど、カレンにも周りの景色が変わって見えるのだろうか。



そのまま進むと、ルルとラーナが門に居た。


此方を見て嬉しそうに手を振っている。 カレンに気付いたルルが私達に聞いていた。


「おかえりなさい、メランさん、セリカ。 新しい人ですか?」


「ルルちゃん、カレンよ。 セリカと同じ種族だったの。」


主が紹介してくれた。 今度は確認なしに挨拶するカレン。


カレンも存在を感じ取っているのだろうか。


ダンテは門で馬車を降りる様だ。 ここの守備隊長だもんな。



ルルとラーナが馬車に乗って来る。


少しモジモジしたラーナ。 何か不安な事でもあるんだろうか。


「カレンだって、ラーナちゃん。」


「カレンおねぇさんです。 セリカおねぇさんみたいに大きいのです。」


「ラーナさん、カレンです。 よろしくお願いします。」


ルルに言われて、いつもの様に元気に成ったラーナ。


知らない人が居るとどうしたら良いのか分からなくなるのかな。


カレンも挨拶していた。 皆に受け入れられて嬉しいぞ!



馬車の中で、ラーナが手から電気を出している。


小さな魔力、それが断続的だ。


長く続かない魔力だけど、その内流れるように成るんだろう。


真剣な顔のラーナ。


主が声を掛けていた。


ルルはコテツに刀を預けている様だ。


あいつちゃんと寝てるのか。 少し心配に成る。


主がそれを聞いて、私の剣はどうだったか聞いてきた。


いい仕事をするよコテツは。



「カレンも何かあそこで見つけれると良いね。 明日でもルルちゃんとコテツの所、行ってこれば良いんじゃない?」


主がカレンも何か買ってこれば良いんじゃないかと言っている。


大きいのが良いぞカレン!


ルルと行くのか? 私は?




高炉に着く。 どうやらムジの所に向かっていたようだ。


馬車を皆で降りて、主に付いていく。


4か所何かを取り囲むようにレンガが積み上げられている。


真ん中に何かできるのかね。


その真ん中にムジとミドラが居た。


それぞれ主に挨拶している。


「ちゃんと話してきたわよ、セリカが、サイクロプスの脚切っちゃったけど。」


「お前ら本当に話し合いしてきたのか?」


主がちゃんと話してきたぞ! 私はそこまでエスコートしただけだ。


ベルゼブブも別に何もしてこなかった。 大した奴じゃなかったけどねぇ。


「主様とセリカ様です。 当然です。」


カレンも同意見のようだ。 解ってるなカレン。


「見ねぇ顔のねえちゃん増えてるじゃねぇか。」


また、私を見てくるカレン、黙って頷いておいた。


それから二人と挨拶をしているカレン。 知合いが増えて嬉しいぞ!


主が結果をムジとミドラに伝えている。


チラチラとミドラが私を見てくるのは何なんだろうか。



「後、西門の前にヘルキングボアと、ファットコカトリスっての居るから、皆に言っておいてよ。」


「ねぇちゃん、なに持って帰ってきてるんだよ。 木の実じゃなかったのかよ。」


魔獣も皆に言っておかないとまたパニックに成ってしまう。


主があの木の実を取り出した。


小さな木の実、それを地面に埋めた。



埋めた場所に魔力を送り始める主。


剣の時のように目に見える物ではない。


でも目を閉じて集中している。


芽を出して、急に成長し始める木、みるみる大きく成っていく。


主の目の前まで幹が達して、止まった。


普通のサイズの木、葉が黒い。 わずかに主の魔力を感じる。


主はここを森にしたいのかね。



「ねぇちゃん、やる前に言ってくれよ。 死ぬかと思ったぜ。」


急に逃げていたムジが、主に言っている。


あれぐらいでは死なないだろう。 多分。



話は終わった。


皆でヒヒの馬車に戻る。 メルサの所に行くのだ。


久しぶりの飯。 楽しみで仕方ない。


ラーナは相変わらず魔力を手に出そうと、ずっとやっている。


途中でカレンが氷を出して教えていた。


カレンは魔法制御上手だねぇ。




馬車に揺られ、メルサの店に着く。


周りでなにやら見慣れぬ家が建ち始めていた。


「今日はお肉のシチューにゃ。 美味しいのニャ!」


ムーからそんな言葉が聞こえてくる。 頭が肉で一杯に成る。


メルサが作る肉料理は旨いんだ! 早く食べようぞ!



皆で中に入ると、結構混んでいた。


テーブルにも何組か魔人が居る。 そいつらが肉のシチューとやらを食っているではないか。


旨そうな香りが店に漂ってる。


早く食べたいぞ!



「ママ、パパ、ただいま!」


ラーナが掛け出した。 両親が食べていたのか。 あんまり似てないなあの両親。


そのラーナの両親が座っているテーブルの横に私達は座る。


主は、ラーナの両親の席に行ってしまった。


ルルとカレンと私で座っている。



「ムーもご一緒して良いかニャ?」


食器とスプーンを起用に持ってきたムーにと一緒に食べる。


「ニャニャ? 新しい人かニャ?」


カレンを見てムーが言っている。 私を見てくるカレン。 頷いておいた。


「カレンと申します。 ムーさんよろしくおねがいします。」


丁寧にあいさつするカレン。 私と似て丁寧で良い子だな!


とりあえず食べようぞ!


茶色いシチューからは、たまらないスパイスの香りが鼻を刺激する。


空かないお腹が、腹が減ったと急に言い出している。


最近我慢していると食べれなかったりするんだ。 私は食うぞ!


スプーンで口に入れる。


広がるシチューの味。 旨味。 鼻に抜ける香り。


肉は口でとろける。 何か別の植物も入っている。 それがしつこさを抑えている。


夢中で食べ進める。 体が喜んでいるのを感じる。



「また、知合いが増えたのね! メルサよ、よろしくねぇん。」


目の前に皿が5枚増えた。


思わず、手を追って、メルサの顔を見る。


ウインクしているメルサ。 この男やはりできる。


「カレンと申します、よろしくお願いします。」


横でカレンが挨拶している。 すまんカレン、私は今シチューと戦っているんだ。


「セリカおねぇちゃんずっと食べてるの!」


「セリカ食いすぎだニャ。」


「あんまり食べると太っちゃいますよ。セリカ」


途中で周りが何か言ってくる。


すまない、私は戦っている最中なんだ、返事は出来ない。



良く食べた、飽きるまで食べようと思ったが飽きなかった。


知らない間にラーナは横のテーブルに行って、そのまま上に上がってしまった。


カレンも満足した様だ。 私が積んだ覚えのない皿が積み上がっている。


カレンも結構食べるんだ。 まぁ同種だもんな。


満足してくれて嬉しいぞ!



部屋に戻るとベッドが増えていた。 キチキチに横に4個のベッド。


私は主とカレンに挟まれて布団に入る。


布団のフカフカが久しぶりだ。 馬車ではあまり寝れなかった。



主がラーナについて話をしてくれた。


実の親じゃないのか。 魔人も色々あるんだな。


でも主の街に住んでいるんだ、もう大丈夫じゃないか。


明日は私と主以外コテツの所に行くようだ。


コテツ元気してるかね。 そんな事を思いながら眠りに着いた。




目が覚めた。


「セリカ様、おはようございます。」


「セリカねぇ、おはようなんだぜ。」


カレンとヒヒが挨拶してくれる。


既にベッドに座っているカレン。


初めて私より早くベッドの魔力に打ち勝ったカレンは凄いぞ。


ヒヒは相変わらず人参を食っている。 それ以外食ってるところ見たこと無いぞ。


挨拶を済ませ、カレンと下に降りる。


私の後ろをついて来るカレン。 廊下で会った魔人達と挨拶をすると、カレンも挨拶をしていた。


少し空いている店内。 ひとつ大きなテーブルが追加されている。 私達が昨日座っていた場所。


椅子が6個、そこにカレンと座る。



「おはようなのニャ!」


ムーがやってきた。 手に何かパンにはさんだのを持って居る。


それを目の前に出して、私達の前に置いてくれる。


「ムー、これは何ていうのさ。」


「サンドイッチなんだニャ。」


言いながらムーが食べた。


この黄色いのは卵か、あいつらのも使えるじゃないか!


皆食わないなら肉にしてしまう所だった。


私も食べる。 パンと絡むこの甘さが良い。


カレンを見ると、手に持ったサンドイッチとららを食べて固まっていた。


そうだ、美味しんだメルサの飯は。


小さく上品に食べては止まるカレンを見て楽しんでいた。



「おはようございます!」


「おはようなのです!」


ルルとラーナが一緒に降りてくる。


待ち合わせでもしているんだろうか。


「セリカまた食べてるんですか?」


「セリカがまだ食べてるです!」


「皆も食ってるのさぁ。 二人は要らないのかねぇ?」


ルルとラーナが昨日の続きのように揶揄ってくる。


少し意地悪に帰してやった。


結局ルルもラーナも食べている。


まだ私は3個目だぞ!


「実は、ムーはお願い事があるのニャ。」


私の左で食べ終わったムーが、言いにくそうに話している。


「なんなのさ。 そんな大変な事なのかね。」


「ムーは皆と一緒にお出かけしたいのニャ。 邪魔はしないニャ。」


「ムーちゃん、お買い物行く? コテツの所ですけど。」


「ニャニャ、コテツの店かニャ、行きたいニャ。」


ルルはコテツの所に行くと昨日言っていた。


ムーのお願いはそんな事なのか。 私に付いてきても良いんだぞ!


何するんだろう。



「おはよう、皆」


主が降りて来た。 知らない靴を履いている。


私も欲しいぞ。 今日の夜頼んでみよう。


皆と主に挨拶をする。


「メランちゃん、おはよぉぉ。 今日は、卵サンドよん!

あと、ムーちゃんよろしくねん。」


メルサが私のお代わりを持ってきてくれた。 ついでに主のも。


やっぱりこれは卵か。 旨いなうん。


主にムーをよろしくと言ったメルサは、そのままカウンターの奥に消えてしまった。


ムーはルルと行くようだ。


ラーナがヒヒの真似をしている。 上手いじゃないかラーナ。


私も用事終わったらコテツの所に行こう。



店から出ると、ムーが髪の袋を渡してくる。


お昼ご飯が入った袋だそうだ。 大事にしなくては、主の分も入ってるのこれ?



主と私以外は、ヒヒに乗って出かけて行った。


私はそうか、壁を作るって主が言ってたな。


どうするんだい? 壁なんか作った事無いぞ。


「まずは、一郎達を見に行きましょ。」


材料集めさせてたね。 ちゃんとやってるのかねあいつ等。



主の後ろを飛んでいく。


相変わらず門は混んでいる。 主の街だ人気があって良い事だ。


その奥に働いているあいつ等が見える。


ずっと動いてるのかあいつ等、なんかすごい量積み上げてるな。


「セリカ、それ使えるようになったのね。」

飛んでいる主に声を掛けられた。


飛んでるのかね? 主がやってたから出来たのさ。


石の山の前に、ムジとミドラが見えた。


その周辺に石を切っている魔人。 何か一杯いるなぁ。


ムジはもう作業してるんだねぇ。



「おお、ねぇちゃん。 壁作り直すって言ってたからな。

それよりあいつ等止めてくれねぇか。 どんだけデカイ壁作るんだよ。」


止まらないのか? 言う事聞かないのかね。


「あなた達、ありがとう! もう石は良いわよ。」


主は優しい。 魔獣達に言うと、そのまま座り込んだ。


まだ存在は、はっきりしてるんだね。 まだ働けるはずなのさ。


「彼等も疲れてるのよ、多分ずっとやってたんでしょ。」


主が言うなら…… ちゃんと主に感謝するのさ。


「白髪のねぇちゃんの事、ホントにいう事聞くんだなぁ。」


「あなた達のいう事は聞かないの?」


「もう良いって言ったんだけどなぁ、辞めないんだよ。」


やっぱり、言う事聞かないんだねぇ。 肉にされたいのかねぇ。


「セリカ、言ってなかったんだから良いじゃない。

今度からムジのいう事も聞いてあげてね。」


主は優しい、あいつ等は寝てしまった。



「こんだけ石あるんだ、壁なんだがよ。 こんなのでどうだ?」


ムジが地図を広げている。 街の地図か。 石壁をここに置けばいいんだな。


あんまり解らないけど今より広いんだろう。



主とムジがその地図を見てなにやら話している。


南には海があるのか、魚食いたいなぁ。


山を切るとか言っている。 ちょっと私もやりたいんだねぇ。


ぁ主がやるのか。 私は何をしようか。


主が行ってしまった。 手を振っておく。




「セリカ様、あの木ありがとうございます。」


「依頼通りなんだねぇ。 あんなの何に使うんのさ。」


「色々でございます。 申し訳ないのですが切って頂けないでしょうか。 のこぎりの歯が立たなくてですね。」


「切る? かまわないさね。」


ミドラが話しかけてきた、未開の森の木、あんなのをどうするんだろうか?


「どれぐらいに、切るのさ?」


「そうですねあの鉄板ぐらいの大きさで。」


「分かったのさ。 適当に積むのさ。」


私も剣を使えそうだ。 大剣の布を吸わせる。


100mぐらいある木、とりあえず端から刻めば良いか。


早くを意識して、木に飛びかかる。


イノシシより太い木、目の前が木の幹で一杯に成る。


それを大剣で切る。 地面のすれすれまで真上から。


スッと入る大剣。 それを何回も繰り返して輪切りにする。


鉄板の形、横の丸い所が邪魔だな。


斬撃を飛ばして、切り取ってしまう。 4面全部。


あとは横薙ぎにして、大きい奴は同じように縦から切れば良い。


片手で出来るじゃないか。


ミドラの所に戻る。


「これでいいのかね?」


「今、何をされましたか? いや、失礼、ありがとうございます。」


「ミドラが良いなら良いねぇ。」


「お支払いの件ですが、いかがいたしましょうか。」


「お金は主が帰って来てからなんだねぇ。」


「かしこまりました。 少し私は切って頂いたのを見てまいります。」


「わかったのさ、何かあったら言ってくれればいいのさ。」


頭を下げて、切った木を見てブツブツ言っているミドラ。


大きい木だ。 良いお金に成るといいな。


北の山の方からなにやら凄い音がしている。 主だろうか。


それから座って主を少し待った。

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