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底から  作者: ぼんさい
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魔界編 ススカ 56 ~セリカ編 7~

その後、主とルルがへ飛んでくる。


「お前ら滅茶苦茶すぎないか。 街が持ち上がってたぞ。」


叫んでいるコテツ。


なんだコテツ元気じゃないか。



またムジがコテツに手を出して挨拶していた。


あの握手には不思議な力があるのかもしれない。


ダンとも挨拶したコテツ。



「コテツ何しに来たの?」


主がコテツに聞いている。 あの魔法の粉を使いに来たんだろ?


何に使うんだあれ。


ムジとコテツが話している。 なんかに混ぜるみたいだ。


「北の山だよ、俺の店の炉作るときに探したんだ。 なんかぶっ飛んでるけどな。」


北の山を見ている。


あれをやったのは主だ。


「セリカもやってるじゃない。」


私のは主が直してくれた。 ほら乗ってるじゃないか黒いの。


「あれを直したとは言わないだろ…


直してるじゃないか。 主が何も言わないんだ。 直してる。



何やら土を持ってきた。 その中にコテツが魔法の粉を入れる。


光ったりしないのかい?


「こいつを焼くんだが、ねぇさん方手伝ってくれねぇか。」


焼いたら光るのか。 私が試してやるかね。


どれくらいの力を入れたらいいんだ。 わからん。


「とにかく高温で、やってくれ。」

ムジが言う。 ほんとにやり過ぎると近くにいる魔人が焼けてしまう。


出来る範囲で、弱く。 弱く。


その火をコテツの魔法の粉が入った土に当てる。


溶けてしまった。 あんなに抑えたのに。



コテツ間違えたの持って来たんじゃないのか?


「お前の火力が馬鹿すぎるんだよ。 地面溶けてるじゃねぇか。」


そうなのか、でも細かい魔力調整は苦手だ。 すまなかったなコテツ。


「もうちょっと落とせないのか火力。」


調整はルルが上手だねぇ。 さっきやってた。


「いいですよ、セリカ」


今度は2個、片方に魔法の粉を入れるコテツ。


ほんとにそれなんだろうねぇ?


ルルが火の魔力を注ぐ。


徐々に強く成っていく魔力。 ルルは細かいのが本当に得意だ。


私も訓練しないと。 未開の森での戦いが忘れられない。



魔法の粉を入れてない方が崩れた。


その後、コテツの粉が入ったほうが崩れた。


ないだい、崩れてるじゃないか。



「おお! こりゃすげぇな。 まだ魔力かけてないんだぞ。」


ムジが声を張り上げて凄いと言っている。


コテツはすごいんだな!



その後コテツとムジは2人で話し込んでいる。


私はよくわからん。


主がルルの魔法制御がすごいと褒めていた。


私も主に褒められるように頑張ろう。


話すコテツを置いて、4人で歩いてメルサの店に向かう。


メルサの店の辺りは潰れている建物、ひっくり返っている建物が多い。


主はそれを喋りながら魔力で直している。 一番魔法制御が凄いのは主だ。


やり方も教わった。 中に魔力を入れて膨らますんだと。


練習にちょうどいいじゃないか。 私も手伝おう。




メルサの店に変えると、メルサが店の前に居た。


潰れてしまって居る店、それを叩いてなんとかしようとしていたメルサ。


急に起って、ピンと立つ。


ルルに向かって大声でハキハキと喋る。


「おかえりなさいませ! ルル殿!」


おかしなメルサ。 周りの奴も同じ事してるじゃいか。


なにしたんだねルル。



主が、当然のようにメルサの店を治した。


メルサが驚いてるの初めて見たなぁ。


私達の馬車の前に戻ったメルサの店。 こんなに動くなんて、何があったのか。





中に入る、荒れた店内。 家具が残っていない。


メルサはいつものメルサに戻ってカウンターに飛び込んで行った。


「ルルちゃん、メルサがおかしく成ってたわよ。」


主よく聞いてくれた、私も気になる。



そこからルルがした事を話してくれる。


ルルを怒らすなんて、勇者はやはり馬鹿だ。 ルルには、私も気を付けるのさ。


ムーが皿を持ってきてくれた。


白いのに何か一杯入っているぞ。 なんだ香りが凄い良いぞ。


髪が邪魔だ。 必死で匂いを嗅いでしまう。


食器とやらはまだなのか? ムー!



スプーンを、メルサが持ってきてくれた!

「今日はムクムク鳥のシチューよ。 ごめんね、食材が色々ダメに成っててこんなんしか出せなくて。」

シチューというのか、早く食べようぞ! メルサ!


「メルサさんの料理なら大丈夫です! おいしそうです!」

ルル旨そうだな! 早く食べようぞ!


「その代わり痛んでない食材一杯入れたから、沢山あるわよ。 一杯食べてね!」

一杯あるのか! 流石メルサわかっている。


主とルルは早く食べないのか? 先に食べるぞ。



何処見てるんだ皆。



中に入ってきた魔人達。 その方向を主とルルが見ている。


「あの、すいません。 ご飯出していただけないでしょうか。 家が無くなってしまって。」


家? 巣か、さっき一杯潰れてたもんな。 そうか飯が食えないのか


私達は娯楽で食べている。 でもこいつらは食えないと……


やはり感覚が変わっている。 なんだか彼等が飯が食えなくて苦しむのは違う気がする。


「いいわよぉ、でも沢山居るのね。 席が無いわ。」


あんたらが座ればいいさ。 私は床でいいよ。


「メルサさん、私床で良いですよ!」

「私も床でいいわよ。」


主とルルも同意見のようだ。


魔人達の中の一人がルルを指さして走って来る。


子供の女のデーモン。


ルルに助けられたようで、その話をずっとしている。


良かったな、ルルに助けてもらって。



それから他の魔人も店に入ってくる。


ルルの周りは人で一杯だ。


私は少し離れて食べるか。 ルルは結構慕われているんだな。



少し離れて床に座る。


ルルは楽しそうに他の魔人達とシチューを食べている。


私も食べよう。 主にも魔人が寄ってきている。


主も楽しそうに食事をしているんだな。



「赤い髪の方、西門から見ていました。 助けて頂き、ありがとうございました。」


デーモンに私も声を掛けられた。


腰を折る、男と女のデーモン。 真ん中に小さな男の子。


私が怖いのか、母親であろう女のデーモンに抱き着いている。


「一緒に食べるかね? 坊主。 シチュー旨いぞ。」


なんでそんな事を言ったのか、何も考えていない。


でも少し主とルルが羨ましかったんだ。 そう思う。



母親に抱き着いていた男の子が、こちらに初めて顔を向けた。


明るくなる顔、私を見て指さす。


「赤い髪の人だ! ねぇ大剣見せてよ! かっこいいぃ」


壁に掛けてある大剣、坊主には重いだろう。 私の足の上に載せて少しだけ布を取って見せてあげる。


キラキラした顔、それを両親は笑顔で見ていた。


シチュー冷めちまうな。


でも、何かそれより良い物を貰った気がしたんだ。


それから色々な魔人が集まって来る。


通りにあった店の店主、建て直したら是非来てくれという。


その娘が、子供たちの輪に入ってまた大剣を見て、なにやらはしゃいでいる。


大剣はいまだに私の足の上だ。 布はしっかり包んだ。


子供達がそれをみてああだこうだと言っている。


相変わらず感謝をされる。


こんな事に成るとは思わなかった。 なんだか良い所だここは。



「赤い髪の人! はい。」


最初に寄ってきた坊主。 そいつがコップをくれた。


皆コップを持って居る。 酒かこれは?



「ススカに乾杯。」


誰かがコップを空にあげる。


周りが皆同じように乾杯と言い空にコップを掲げている。


坊主が私にコップを掲げて来た。


そこに小さく私のコップを合わせたのだった。



一層賑やかになる店内。


大剣は、壁に立て掛けておいた。 挟まると危ないと思ったからだ。


すっかり冷めてしまったシチューが大剣を退けた事で姿を見せる。


でも子供たちは食べさせてくれなかった。


急に私の身体に昇り始める子供達。 周りの大人がやめさせようとするが、子供の勢いは止まらない。



「なにさ、やるのかねぇ」


嫌じゃなかった、何か笑って言葉が出た。


そこからキャッキャと騒ぐ子供達の猛攻に会う。 取っても取っても向かってくる子供達。


私の身体から離すときに大きな声で笑っている子供達。


私の身体から髪はボサボサに成ってしまう。 こんなに肌と触れ合うのはコテツ以来じゃないか。


アイツ元気にしてるのかね。



しばらくして電池が切れたように子供たちは寝てしまう。


それを抱えて頭を下げてくる両親。


皆に「良いのさ、よく休むのさ」と声を掛ける。



その後、主とルルに声を掛けられて、私達の部屋に戻った。


主もルルもさっきの魔人達との触れあいが楽しかったようだ。


私はあんな体験をした事が無いから、なんだか恥ずかしかった。


色々な話をしながら、意識が遠のいた。



この街を守って良かった。 最後にはそう思えたんだ。

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