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底から  作者: ぼんさい
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魔界編 ススカ 37

西、南、北と門の補強を終えた私。


北門を手伝って貰ったカレンと一緒に皆が居るであろう東門を目指す。



「メランさん~!」


「ルルちゃん、もう終わったの?」


「はい、10分でちゃんとやりましたよ!」


「ルルさんは凄いですね。 私だと1時間以上は掛かりますよ。」


「カレンもその鎌に慣れたら出来るって。」


「そうですか。 鍛錬します。」


「メランさん、今度落ち着いたらあの場所行きましょうよ。」


「そうね。 皆の戦い方見てみたいわ。」


「主様、是非お願いします。」


ルルちゃんの新しい戦い方を聞きながら東へ向かう。


2本持つんだって、カッコいいよね。




今の東門は切り取られていた。


途中多くの衛兵が、東を向いて歩いている。


街に向かう人々は噂の難民だろうか。


早く農地開拓をしないと。



ヒヒが止まっている前に、門が置いてある。


結構開いてしまっている隙間。 セリカらしい。


馬車の後ろに降りる。


「皆、お待たせしたかな。」


「主、今着いた所なのさ。」


「セリカおねえちゃん凄いんだよ、爪でだぁぁぁて。」


セリカは爪でやったようだ。 それであんなに荒いのか。


「お邪魔してるぜ、メラン。」


何故かダンが乗っている。 何か用事だろうか。


「ダン、何サボってるのよ。」


「サボってねぇよ。 お迎えに来てるんだよ。」


お迎え? 家族かなにかだろうか。


ダンは門が移動したとかなんとか文句を言っている。


長くなりそうなので、とりあえずやってしまおう。


「ムー、ラーナちゃん、ちょっと手伝ってほしいの。」


「ハーイ!」


「ニャ? ムーかニャ?」


「ちょっとだけ魔力頂戴。 ちょっとで良いから。」


「魔力…… 」


「ムーの魔力かニャ、ほんとにちょっとニャ。」


ラーナちゃんは、魔力と聞いて、押し黙ってしまった。


ルルが言っていた、魔力の練習が上手くいかないので、落ち込んでいるんだろう。


ムーは一応承諾してくれた。


「ラーナちゃん、一回やってみましょう。 何か変わるかもよ。」


「う、うん。 メランおねぇちゃん。」


ラーナの手を取って、ムーは胸元に入れる。


「ニャニャ、ムーはここなのかニャ。」


「両手使っちゃうからちょっと我慢してね。」


「わかったニャ。」


「メランおねぇちゃんの手、サラサラだね。」


ラーナちゃんには笑顔で返す。


その様子にルルちゃんも心配そうな顔をしている。


「ルルちゃん、ラーナちゃんの魔力押すの手伝ってあげて。」


「わかりました! メランさん。」


ルルちゃんはラーナちゃんの事がやっぱり心配だったようだ。


ルルちゃんはラーナちゃんの逆側の左手を握って、ラーナちゃんを励ましてあげている。


出にくい魔力どういう事だろう。


ダンは馬車から降りて、カレンと挨拶をしていた。


セリカは、こちらを見て優しい顔で見つめている。


ムーを撫でてあげる。 ゴロゴロ言うムー。


一度やってみたかったんだこれ。



門の下に行って、草が少し生える地面に最後の実を埋める。


今回は太刀を使う、この子で魔力を増幅させるのだ。


「ラーナちゃんこれ握ってみて。」


「いいんですか。 きれいな太刀です。」


「ありがとう、この子も喜んでると思うよ。」


太刀を握った小さな手、その手に私の手を被せる。


少し太刀から鼓動を感じる、この子も喜んでいるんだろうか。


「ラーナちゃんも、ムーちゃんも辛く成ったら言ってね。」


「はいです。」


「はいなのニャ」


まずは、ムーの魔力を少し貰う。


体が接している面が大きい分、ムーの魔力は取り出しやすい。


私の中で膨らますムーの魔力。 凄く優しい魔力が生まれる。


これを何回も何回も混ぜて増幅させる。 ずっとムーの魔力の方が大きい感じで。


ムーは見ている限り大丈夫そうだ。 何か感じているのか目を閉じている。



ムーの魔力を増幅させながら、ラーナちゃんの魔力を探る。


途切れ途切れに流れる魔力。


何かが詰まっているのだろうか、空いたり閉じたりしているイメージ。


その蓋を私の魔力で切って、太刀に吸わせる。


細い元気な魔力が流れ出した。


「メランおねぇちゃん、何かしたのです?」


「ちょっとだけ、蓋を取ったわ。」


「魔力が素直に流れていきます。 こんな感覚初めてです。」


「太刀の白い部分が黄色に変わってきた。」


「ルルちゃん、ちょっとだけ押してあげて。」


「はい!」


「ラーナちゃんの細かった魔力が、少し太くなる。


太刀の中で、ラーナちゃんの魔力を何回も膨らます。


鼓動し始める太刀。 もうちょっとだから耐えてね。


「わわ、太刀が黄色く成ってます。」


「ラーナちゃんの魔力ですよ、それ。」


「そうなのです?」


集中している私に変わって、ルルちゃんが説明してくれている。


勝手に魔力の線が太く成ってくる。


結構ラーナちゃんも持って居るのかもしれない。


結構膨らんだ魔力。 ムーの魔力を太刀に入れる。


その魔力で、ラーナちゃんの魔力を押し出して、剣先から実に魔力を行かせる。


その間もどんどん魔力を膨らます。


鼓動が激しく成る太刀。


ラーナちゃんの魔力が出きった所で、ムーの魔力を剣先から出す。


収まる鼓動。 すこしづつだが、ラーナちゃんの魔力も入って行く。


剣先から出る魔力が地面からあふれ出した。


「ありがとう、3人とも終わりよ。」


「ニャニャ、凄く気持ちよかったのニャ。」


「なんか不思議な感じでした。 ありがとうメランおねぇちゃん。」


「ラーナちゃん、あの練習やってみて。」


手を上に向けるラーナちゃん。


そこから電気が出てくる。 徐々に手に溜まる電気。


黄色い、小さい丸い玉が出来た。


「ルルおねぇちゃん、出来ました!」


「やっぱり、メランさんは凄いです!」


あの蓋が邪魔をしていたようだ、良かったねラーナちゃん。


門を出て、実の下をくぐる、


この木の幹は白い。


ムーの白だ。


外に出て皆で確かめる。


大きさは同じだ、100mぐらいの巨木。


セリカが適当に切った門と壁の間も塞いでいる。


特徴的な白い幹、黄色い葉っぱの巨木がそこにはあった。


「なぁヒヒだっけか。 俺は何を見てるんだ。」


「諦めるんだぜ、ダンテにも言ったんだぜ。」


ダンが一連のそれを見て、何か言っている。


これで4本揃った。 今日はおしまいだ。


ルルちゃんとラーナちゃんは、魔法の練習をしている。


さっきより大きく成った雷玉、ルルちゃんが押してくれているんだろう。


左手を繋いだままだ。


一方では、セリカが鎌を持ったカレンに色々レクチャーしている。


「なぁあの鎌、やばく無いか。」


「ヤバイって何なのよ、綺麗な青い鎌じゃない。」


「いやそうなんだけどよ。 お来たか。」


ダンが待っている人が来たようだ。


私達はメルサのご飯を食べに戻るんだ。


赤い丸が昇ってきている。 少し早いけど大丈夫だろう。


「<<蒼穹>>の3人か? 遅かったな。」


「いや、あれが噂のか?」


「そうだ、うちのボスだぜ。」


ダンが待っていた人と話している。


女じゃないんだ。


噂のボスってなんなのよ、ちゃんといいなさいよ。


そんな事を思いながら、ルルちゃんに声を掛けようとすると、ルルちゃんの下に魔法陣が浮かび上がる。


あの聖女が使っていた神の力みたいな魔力。


あれはあまりよくない。


「ルルちゃん! 下!」



ルルちゃんとラーナちゃんが、消えてしまった。



「神力召喚だ、消えてしまえ!」




なんだ、何が起きているんだ。




セリカも、カレンも居ない。


ラーナちゃんもルルちゃんと一緒に消えてしまった。



召喚? ムーが少し浮かび上がる。


必死で手で押さえる。



目の前の風景が変わっていた。







ススカから、西に行った古城。


相変わらずクチャクチャと咀嚼音を立てているベルゼブブ。


その空間にケンタウロスが引いた馬車が駆け込んでくる。


「どうしたリリス、動いたか?」


「そうだっぴ、スカアハがススカに向かってるっぴ。」


「ほぉ、まずは味見って所か、まあいい。 出るぞ。」


「追加の話があるっピ。 何か人間の賢者が飛ばすとか言って、ルシファー軍に協力してるみたいっピ。」


「飛ばす? なんだそれ。」


「わからないっピ。 でも攻めてくるみたいっピ。」


「まぁ良いわ、アスタロト叩き起こせ。 ルシファーの部下を殺すチャンスだ。」


「わかったっピ、すぐに行くっピ。」



ベルゼブブは、出征を決める。


門を守っているサイクロプスから、テントに居るサイクロプスまで、リリスだけを残し、ススカへ向かう。


ベルゼブブは、ニヤニヤが止まらなかった。

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