表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
底から  作者: ぼんさい
38/98

魔界編 ススカ 28

勇者の襲撃を受けたススカ。


その街の復興を手伝うためにメランとセリカとルルは3方に分かれて町の人を手伝う。


高炉から北東の街を修理したメランは、炉の撤去まで一人でやってしまう。


そこで見つかった石碑には、所有者メランの文字があった。


それを見て、街会議を開く決断をしたジム。


高炉長のムジ、守備隊長のダンテ、冒険者ギルドのロレーヌ、木工ギルドのカガラ、商業ギルドのミドラ


それぞれ呼び寄せたこの街の責任者達。


復興し始めた高炉の跡地で、メランを含めた街会議が行われる。



紫空の下、赤い丸が昇ってきている。

屋根も無いこの場所で、ムジが会議を進める。


「最初に本題だが、この街の所有者がメランに成った。」


一斉に集まる視線。


商業ギルドのミドラだけは知っていたので、済ました顔のままだ。


「所有者って、ベルゼブブは死んじまったのかい?」


木工ギルドのカガラが言う。


「商業ギルドの情報では、死んではいません。 他の街は彼のままです。」


「その情報正しいんだろうね。」


「他に行かないと調べようがありません。」


「まぁ、いいけどさ。」


カガラとミドラがやり取りをしている。



「メラン、お前、魔王に成っちまったのか。」


「そうみたいね、実感無いけど。」


「メランさん、魔王ですか。 すごいです。」


ダンテが皮肉を込めた口調で言ってくる。

ルルちゃんはいつも通りだ。



「という事で、メランがこの街の所有者だ。 報告は以上だ。」


終わりなの? と思ったが、誰も何も言わない。


皆何かを考えている。



「ムジ、ここは高炉だったんだよねぇ。 もう新しいの作ってるじゃないか。」


「メランが全部やっちまったんだ、もう炉の作成に取り掛かってる。」


「なんだい、急に木枠を寄越せって言うわ、急に炉を作り出すだわ、あんまりだわね。」


「すまん、その木枠だがもう要らん。 余ってるぐれぇだ。」


「ほんと勝手だね、鉄が生産できなく成って、木工ギルドが忙しく成ると思ったのにさ。」


「カガラ、抑えてくれや。 街が早く復興するのは良い事だろ?」


「そうだけどさ。 全く。」


ムジとカガラが言い争いをしている。


私要らないんじゃないかな。



「それで、メラン様はどうなさるんです? 何か要望があったりするのでは?」


冒険者ギルドのロレーヌが言ってくる。

その牛骨頭の中にある青い目がこちらを見ている。


ダンは後ろでまた顔に手をあてて、丸くなっている。


それクセなのかな。


要望か、要望。 私の街。 何が足りないんだろう。


メルサさんの店で、木の家具があったのを思い出す。


「木が足りないと思うわ。 鉄ばっかりじゃない? この街。」


「良い事いうねぇ。 メラン。」


「鉄の街だからな、そういう風景だろ。」


カガラは賛成のようだ。

ダンテがそんなもんだろと言っている。


ムジは考え込んでしまった。


「魔王様がおっしゃられているのは、街の風景では? 確かにススカの街は鉄の街ですが、木が一本も生えていない町というのは他にありません。」


商業ギルドのミドラが言う。 他の街もこんな風じゃないんだ。

他の街も見てみたいな。


魔王は確定のようだ。 もう突っこんでも仕方ない。



「木か、ねぇちゃんそういう意味であってんのか?」


「そうね、別に建物だって木でも鉄でも良いんじゃない?」


「そうか、植林か。」


また黙り込むムジ。 そんなに難しいんだ。



「メランさん、あの未開の森の木植えたら良いんじゃないですか? 大きいですし。」


「ルルや、あれは切れないんだよ。 無理だね。」


「切れましたよ?」


固まるカガラ、ミドラが反応している。



「切れたのかい? でも、どうやってあそこまで成るんだい? 誰も知らないだろ。」


「あの木は木の実を落とすのさね、何回も見たのさ。」


「あんた、なんでそんな事知ってるんだい?」


「私は、あそこに住んでたのさ。」


「そ、そうかい、それで良いんじゃないか、ムジ」


諦めたのか、賛成してくれたカガラ。

あの木切れないんだ、あんなに脆いのに。



「植えるったって、どこに植えるんだよ。 そんな広場ねぇぞ。」


「ここにあるじゃない。 炉の位置ちょっと変えてみてよ。」


「位置は変えれるけどよ、飲み込まれちまうぞ炉が。」


「私がなんとか出来る気がするから、大丈夫よ。」


「メランだからなぁ。」

ダンテが支援してくれる。


「ねぇちゃんだもんな。」

ムジも納得してしまった。


「後空いてるところに適当に植えれば良いじゃない。 全部が全部ギチギチじゃないでしょ?」



「南の森の苗木は、私が取って来るさね。 未開の森は誰が行くんだい? あんなところ誰も入れないじゃないか。」


「カガラ、入れますよ?」


「ルル、入れるのかい?」


カガラはそれ以降聞くのを辞めてしまった。


あの森に実を取りに行かなくちゃ。


「とりあえず、決まりだな、炉の位置の相談は後でしようや、ねぇちゃん。」


「ええ良いわよ。 メルサさんの宿の周りにも木欲しいから頂戴ね、カガラ。」


「あの店かい、準備できたら、持っていくわね。」


「商業ギルドも協力いたします。 カガラさん、我々にも準備していただけますかな。 買い取りますよ。」


「冒険者ギルドもギルドの周りだけですけど、協力しますよ。」


「門にも植えとくか。」


概ね合意の様だ。 ススカ植林計画は決定したようだ。


「他にはねぇか、終わりで良いか?」


もう終わりなんだ、あっさりした会議だった。



ミドラが手を上げている。


「なんだ、ミドラ。」


「一つ大きな問題がございます。」


皆がミドラを見る、大きな問題? なんだろう。


「食料に御座います。 この街は食料を一切作っておりません。 他の街からの流入が途絶えると皆死んでしまいます。」


「他の街ってどこなの?」


「近くですと、ベルゼブブ領のザラナに御座います。 領外となった今、突然流入が無くなっても不思議ではありません。」


「ザラナ? そこに行って話してこればいいの?」


「冒険者ギルドは護衛のクエストを出しますよ。」


「護衛も良いですが、軍には敵わないでしょう。 ススカの名前を出すと中に入れるかさえ分かりません。


街道を止められる恐れもあります。」


「ミドラ、どうしたら良いのよ。」


「恐れ入りますが、魔王様には一度ベルゼブブと話をしていただきたいと。」


「ベルゼブブと話をするのかい? 殺されないかい?」


「あのクマから逃げ出す奴が、主は殺せないと思うのさ。」


「メランさんが負けるとか、無いと思います。」


「カガラ、その心配は大丈夫だ。」


カガラ以外皆頷いている。


なんで、外野まで頷いているんだ。


「そ、そうかね。」


カガラは黙ってしまう。



「私がベルゼブブに会いに行けばいいのね。 どこに居るの?」


「未開の森沿いに街道を進んで行けば居城がございます。」


ススカと逆側か、でも場所わからないなぁ。


「ヒヒ知ってる?」


「知ってるんだぜ、って俺行くのか?」


「なんでよ、一緒に行ってよ。」


「主、私も行くのさ。 念のためさね。」


「メランさん、私も行きます!」


昨日の勇者の事もある、誰かには居てほしい。



「ルルちゃん、お留守番できないかな。 また勇者来たらダメじゃない?」


「メランさんが言うなら、ラーナちゃんと遊んでます。」


ルルちゃんは気にしない様だ。 ルルちゃんもラーナちゃん好きなんだね。


「そしたら明日行くわ、ヒヒ、セリカよろしくね。」


「わかったぜ、今日はメルサの所泊まるぜ。」


「主、よろしくなのさ。」


ついでに木の実も取って来よう、ヒヒには待っててもらえば良いや。



「魔王様、行かれるのであれば、鉱山への街道も使えるように話を頂けますと幸いです。

鉱山自体はススカの物ですが、街道はベルゼブブに襲われる恐れがあります。」


鉱山、少しルルが反応してる。


そうだ私の街なんだ、あれはダメだ。


「わかったわ。 後私からもう一個。」


皆が私を向く。


「奴隷は禁止ね。 あと、訳の分からない種族差別も禁止よ。」


「主、それはもう大丈夫みたいなんだね。」

セリカが大丈夫と言っている。 どういう意味だろう。


「今日、プチデーモンと魔人が手伝って復興作業してたんだねぇ。 皆、意識が変わってるのさ。」


「冒険者ギルドでもプチデーモンの方々を雇い始めています。」


「商業ギルドでも同じです。 今までどうしてあんな事をしていたのか。」


「奇遇だね、木工ギルドでも同じさ。」


「ねぇちゃん。 今日も皆で作業してたじゃねぇか」


そう言えば作業に角の無い魔人が居た気がする。

皆急に変わったのかな?


「メラン様、領主が変わったので、住民は意識が変わっているのだと思います。

冒険者ギルドの文献で見ました。」


「そうなの? じゃぁ大丈夫なのかな。 私の街なんだから、皆仲良くね。」


皆が頷く。 魔人って単純なのね。


「あと、食料ぐらい自分たちで作りなさいよ。」


「難民は一杯いるんだけどよ、土地が無い。」


「ススカはもう一杯なんだよ、ねぇちゃん。 あの壁広げるのなんか何年かかるか。

外は魔獣に襲われるかもしれねぇしよ。」


ダンテとムジが土地が無いという。 壁? 作り直せばいいじゃない。


「壁ぐらい作れるでしょ。 ルルちゃんあれ壊すのにどれぐらいかかる?」


「10分ぐらいですかね? 全部切り崩せば良いんですよね?」


「石なら西の草原に一杯転がってるねぇ。 ついでに取って来るのさ。」


周りは黙り込んでしまった。


「ベルカウル等は、商業ギルドで手配致します。 ベルゼブブの許可が出てからになりますが。」

ミドラは賛成のようだ。


「壁が広がるなら出来るんじゃねぇか、頑丈なの頼むぜ。」


「土地が広がるなら文句ないぜ、ねえちゃん。」


「木工ギルドで南の森で食える植物の苗でも、もってくるかね。」


「冒険者ギルドでは、家畜にできる魔獣の捕獲クエストを出しましょう。」


皆、賛成してくれたようだ。


「この炉の次は壁ね、設計よろしくねムジ。」


「ねぇちゃん、わしかい、こりゃしばらく酒飲めねぇなぁ。」


ガハハハと笑うムジに、皆も釣られて笑うのだった。




私の街、ススカ。 ベルゼブブが何か言って来ても、なんとか成るだろう。


明日も楽しみだ。


赤い丸がもう真上に上がってきている。


そろそろメルサの所に帰らないと。



「じゃぁ、終わりね。 皆よろしく。」


皆が頷いて、会議は終わった。



終わってから、セリカとミドラが話をしているのが意外だった。


とりあえずご飯だ。 今日のメルサのご飯はなんだろう。


私の街を、ヒヒの馬車に揺られながらメルサの宿に帰るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ