魔界編 ススカ 9 ~ムー編~
少し残虐な表現があります。
ニャーはヘルキャットのムーなのです。
生まれてずっと不吉だ不吉だ言われてきた、そんなに白が不吉なのです?
生まれてずっとこの体だから解らないです
体を汚して黒くしても、この目はどうしようも無いのです。
でも昨日良い事があったのです。
人生で2回目の良い事です!
1回目はメルサさんに拾ってもらった事なのです。
あの人は、ムーを見ても何も言わないですし、働き口が無いというと雇ってくれたです。
その日からゴミ漁りしなくて良くなったのです、ベッドで寝れるしいう事ないのです!
でもそれからお店に来る客が、ムーの事不吉だ不吉だ言うたびにメルサが殴って客が減って行ったのです。
でも残ったお客は良い人ばかりニャ、ムーの事わかってくれたて嬉しかったです!
2回目はなんと昨日なのです。
遅い時間に現れた3人の綺麗な女性、メラン、セリカ、ルルって言うのですよ。
たまに、いいお客を連れてくるヒヒが連れてきてくれたのです。
3人がムーの事可愛いって言ってくれたのです。
そんな事言われた事無かったので、人生で一番嬉しかったかもですね。
次の日の朝、珍しく野良の客が来たのです。冒険者のデーモンで、剣とか持ってて怖かったのです。
勝手に入ってきて、ムーの事不吉だ不吉だ言うです。一般のお客さんは大抵こうです。
怖くなってカウンターに隠れてたのですが、なんと、ルルがムーの為に怒ってくれたのです。
あの青い刀が忘れられないのです。
今日は彼女達は買い物に行くみたいです。ムーが行くとまともに買い物に成らないので、一緒には行けないのです。
さみしいのです。
いつか一緒に色々廻ってみたいんです。
絶対に叶わないんですけどね。
ムーの白色はどうしようも無いのです。諦めるしかないのです。
こんばんは彼女達帰らなかったのです。
ヒヒが馬車を置いて帰りました。ちゃんと守らなきゃです。
遅くまで、メルサさんを手伝って、その後寝たのです。
ベットの中でも、彼女達の事が頭から離れないのです。あんな人たちと一緒に楽しく暮らせたら最高なのです。
メルサさんもすごくいいんですよ、ただずっと宿屋なのでこの街から出ることは敵わないのです。
ムーが普通に暮らせる場所、どこかにある、ハズ……です。 ありますよね?
朝はいつも通り、野菜の皮むきに洗濯、料理の仕込みです。
あんまり量はないんですけどね。
そこから日課のカウンターに居座ります。
一応ムーはここのウエィターなのです。
"カーン" "カーン"
鐘です。警告の鐘が鳴っています。
「ムーちゃん、なにかあったのかしら。 ちょっと見てきてくれない?」
「はいニャ!」
大きな鉄扉を開けて、外を見渡すのです。
馬車は置きっぱなしで、まだ彼女達は帰ってきてないのです。
周りの人たちも何事かと周りをキョロキョロ見渡しています。
"カーン" "カーン" 4個の門全てから鐘が鳴っているのです。
これはガチなやつです、どこに行けばいいんでしょうか。
ぼーっと見ていた風景に変化があったのです。
突然白い何かが高炉に当たると、そのまま一つ煙突が倒れたのです。
東門から来たその光は真っ白でした。
ムーと同じ真っ白。
また白が私の幸せを奪おうとしています。
もう疲れてきました。
煙突が倒れた振動で、メルサさんが飛び出してきます。
「ムー何がおきたんだ?」
「煙突が白い光が当たって倒れたニャ。」
マジモードのメルサさんです。 急に男に成るんです。
「どっちからそれは飛んで来た?」
「東門ニャ、何があったのかニャ。」
急に頭に流れてくる声が聞こえてきます。
「君たち、戦意が無いなら1時間まってあげよう。残った者は排除するよ。」
排除?勝手に攻めてきて何いってるんですかね。
「ムー勇者だ、逃げるぞ。 ベルゼブブが出てくるまで耐えるんだ。」
「でもムーは多分途中で殺されてしまうのニャ」
「なんでだ? どうしてそう思う。」
「ムーは白いのニャ、あの仲間だと思われるニャ。 思わなくても殺そうとしてくる人一杯居るニャ。」
「そうか、ムー。 わかった、ここでやり過ごそう。」
「メルサさん良いのニャ? 終わってからムーを見に来ても良いのニャ?」
「どんだけ一緒に居るんだ、水臭いぞムー。」
「ニャニャニャ、嬉しい事行ってくれるニャ。」
でもこの時の選択肢は間違いだったのです。
さっさと西門に逃げてれば、あんなの見なくて済んだのです。
ムーはずっと、一階の扉から外を見ていました。
メルサさんの店の前で家具やら家の壁やら持ってきて、冒険者と衛兵が防衛陣地を組み立て始めたのです。
「ムー、あんまり見てて良い気しないと思うぞ。」
「メルサさんも見てますニャ。」
「俺は良いんだ、ずっと戦場に居たからな。」
鬼人族のメルサさん、今は変な恰好をしていますが、元々はルシファー領の兵士だったのです。
昔、人間界まで攻め込んだ事もあると言ってました。
案外何も起こりません、もう勇者は行ってしまったのでしょうか。
急に周りが騒がしく成り始めます。
南門の方の家が浮かんでは消えていきます。
何が起こっているんでしょう。
どんどんその浮くのが近づいてきます。
「ムー出ろ! 殺されるぞ!」
メルサさんに抱えられて、彼女達の馬車に飛び乗ります。
そしてずっと暮らしてきたこの宿が浮いてしまったのです。
「めんどくせぇなぁ、雑魚ばっかりだしよぉ。」
「良いじゃないケビン。 強いの来たってやる気ないでしょ。」
「だがよぉサーシャ、あまりにも何も無いぜ?」
勇者です。 防衛陣地から色んな魔法が飛んでいますが、全部何かに弾かれています。
「あんな瓦礫積み上げてよぉ、マジ雑魚が何頑張ってんだよ。」
「ケビン、もうゴールも近いしここで遊びましょうよ。」
「お?やっちゃうサーシャちゃん。」
「やりましょ、何にも強いの居ないじゃない。」
「は~い、そこら辺の魔族の皆さん、道に集合してくださぁい!」
勇者がそれだけ言うと、ムーの体が勝手に浮いていくのです。
どうあがいても抗えません。
メルサさんも「クソッ」っと言っています。
勝手に浮いていくムー。
その防衛陣地は全て、浮いてどこかに行ってしまいました。
「はぁい皆さん、お集まりいただきありがとうございます~。」
「はい皆、喜んで!」
200人ぐらい並んで集められた魔人達は怖くて何も言いません。
道にギチギチに詰まっています。
「ねぇ、言いなさいよ」
女の杖から青い光が出ます。
ムーの前の列に居た人の足が10人ぐらい切断されてしまいます。
「ぐぅぅ…… 」
「痛いわ……」
「耐えろ、何されるかわからんぞ」
「はい皆、喜んで!」
誰も言いません、でもムーは似たような事されてきました昔の日常です。
「喜べって言ってんだろ!?」
10人が浮き上がっていきます。
そこに建物と建物が両側からぶつかります。
ダン!
皆死んでしまいました。
その建物は街のどこかに飛ばされていきました。
遠くの方で重い物が落ちる音がします。
「はい皆、喜んで!」
耐えきれなくなった何人かが頭の上で拍手し始めます。
「アハハハ、馬鹿じゃないの。 いいわケビン始めましょう」
「サーシャやっちゃおうか。」
「ちょっと待ってケビン! オカマいるじゃん。」
「お! ほんとだ! 最初はあいつだな。」
メルサさんが目をつけられてしまいました。
そのまま浮いて行って私たちの集団と、勇者達の間に連れていかれます。
「青コーナー、 おかま!」
「ハハハ! ありえない! おもろ!」
もう一度私達を見渡す勇者と聖女
「ケビン! あのかわいいのペットにしていい?」
「サーシャいいけどさぁ、いっつも一日で壊しちゃうじゃん」
「一日もてばいいでしょ! アリスなんて10分よ10分」
「はいはい。」
ムーが上がって行くのです。
集団からの目線、怖いです。
でもあの聖女と勇者の目は魔人を見ている目じゃないです。もっと怖いです。
あの聖女の前に持って行かれました。
「かわいい! 白い猫ちゃんなんて、今まで居なかったもんね!」
そう言って抱きかかえられます。
「手持ちどうするよ、サーシャ」
「90あれば良いんじゃない?」
「OKサーシャちゃん、始めようぜ。」
もう一人甲冑の男が持ってこられます。
「赤コーナー! 甲冑!」
「中身わかんないわね、良いの選ぶじゃない」
「皆さんにルールをお伝えします。 無制限マッチ30秒です。
30秒で決着がつかなかった場合両方死にます。」
「俺は青に10!」
「私は赤に20!」
訳の分からない会話をしている聖女と勇者。
でもそれは始まったのです。
「では始めてください、敵を5秒殴らなかった場合死にます。」
「新しいルール受けるんだけど!」
「始め!」
甲冑の男がメルサさんに殴りかかります。
ムーは解らなかったのです、何が始まるのか。
そのまま二人で、もつれあいに成ります。
「いいわ! そのまま殺すのよ!」
「あぁ、下になっちゃったよ。使えねぇなぁ」
メルサさんも強いですが、甲冑の男は鎧を着ています。
鉄は素手ではどうにもなりません。
「あぁ~30秒たっちゃった。」
二人が浮いていきます。
メルサさんが殺されてしまいます。
嫌です、そんなのはダメです。
でもムーは何もできません。
浮いて行った二人は一回遠く離れて、魔法と魔法がぶつかるように当たり合います。
バチ!
メルサさんの身体が甲冑型にへこんで、だらんとしてしまいました。
死んだ。
昔当たり前のようにあった死が大切な人に降りかかったのです。
ムーは泣いていました。
「アハハハ! ちょっと刺激が強すぎたかな? よしよし。」
手で頭を撫でられています。全然うれしくありません。
でも何もできません。
「サーシャ20だっけ?」
「ケビン10だよね?」
そう言うと無作為に30人が浮きます。
同じように皆空中で当たって死んでいきます。
そこからはずっとその繰り返しでした。
戦って、死んで。 浮かされて、潰されて。
この聖女はずっとニコニコ笑っています。
その声がムーに伝わって体に響きます。
「ねぇ、少なくなってきたじゃないケビン。」
「もう飽きて来たな。」
残った全員を浮かせます。
もうやることは一緒です。
あんなに強くて怖かった魔人達が塵のように死んでいきます。
みたくないです、助けてほしいのです。
山積みになった使用済みのそれは、わずかに動いている物もありました。
ムーはまた見てしまったのです、メルサが生きています。
指が動いているのです。
「あぁ~全部終わっちゃった。」
「今回のあんまりおもしろくなかったね。」
「毎回あんまりおもしろくないけどな。」
「さ、経験値にしちゃいましょ、私貰っていい?」
「どうぞ、俺は先行くわ。」
そう言うと死体の山に杖を向ける聖女。
完全に死んでいる者が光と共に消えてしまいます。
「ねぇ、まだこんなに生きてるんだけど。」
「え? そうなの? サーシャちゃんやっちゃってよ。」
「めんどくさいわねぇ。」
虫の息のメルサさんに、聖女があの杖を向けます。
ムーはもう我慢できませんでした、無意識でした。
聖女の腕を噛んでいたのです。
「ねぇ、クソ猫なにしてんの?」
そのまま地面に叩きつけられました。痛いです。
「ケビン、この猫処分してよ。 噛んだの!」
「サーシャちゃん痛く無いでしょ? 600もあるんだよ防御力。」
「防御力じゃないの! このクソ猫!」
私の体が浮き上がります。
血が垂れているのが分かります。
何故かまた抱きかかえられました。
「ムーちゃん、大丈夫?」
ルルさんの声がしました。 痛みが無くなっていきます。
暖かいです。 優しい感じです。
死んだんでしょうか。
「ちょっと、なんなのあんた! そのクソ猫は殺すのよ!」
ルルさんの目が聖女に向きます。
瞬間、ルルさんのお腹から莫大な魔力を感じます。すごい量です。
そしてすごい速かったです。
気付いたら地面が近くて、別の場所に居ました。
ムーを抱えながら片手で綺麗な青と赤の刀を出していたのです。
全然見えなかったのです。
「いやぁぁぁぁ!」
聖女の叫び声が聞こえます。
ルルさんが振り返ります。
ムーも見えてしまいました。聖女の両腕が無かったのです。
そこから血が飛沫のように上がっています。
「くそ! なんでお前上がらないんだよ!」
「あなたが弱すぎるからじゃないですか?」
「俺の魔力1000あるんだぞ!ふざけるなよ!」
周りの建物が全部飛んできます。すごいスピードです。
目の前で鉄がくしゃくしゃに成ります。
「所詮雑魚が! 逆らうからこうなるんだよ!」
「誰が雑魚なんですか?」
ルルさんが片手でまた剣を振るいます。
目の前がバラバラの鉄に変わります。
「お返ししますね。」
ルルさんが大きく刀を振るいます。
そのバラバラが全部勇者に突き刺さります。
「お前! 舐めるなよ!」
血だらけの勇者。
「ムーちゃん、ちょっと我慢しててね。」
ムーが赤くしてしまった白い胴着に入れてくれます。
顔だけが出たムー。
両手で刀を持ったルルさんは、また魔力を練り出します。
お腹の魔力が倍々に膨れ上がっています。
聖女が口で杖を咥えて、補助魔法を勇者に送っています。
聖女も何か光っています、治癒魔法でしょうか。
「あなた、先に死にたいの?」
怖かったです。ルルさんの声とは思えません。
聖女が泣き顔でこちらを見ています。
「私ね、怒ってるの。 邪魔しないでくれる?」
口から杖を落とす聖女、グチャグチャに成った顔を向けています。
ルルさんの魔力が高まりすぎて、その黒い髪が重力に逆らって浮いてきています。
「ごめんなさい、ごめんなざい。」
泣きながら言ってくる聖女の方を見ると、ルルさんが動き出します。
地面が震えます。 風が裂けています。
「ああ゛あぁぁぁぁ、いだい゛ぃぃぃぃ」
聖女の脚が飛んでいきました。
「邪魔しないでくれる? うるさいの。」
また聖女を見ます、ずっと叫んでいます。
後ろから勇者が剣を振りかぶってきます。
「全重力ぅぅぅぅ! しねぇぇぇぇ!」
カン。
ルルさんは、その刀で片手で受け止めてしまいました。
「お前! どうなってんだよ。 俺は勇者だぞ!」
「で? 黙らないの?」
勇者を無視して、聖女の方を向いています。
口を噛みしめて黙る聖女。
痛みを我慢しているのか少し唸っています。
「まだ、うるさいんじゃない?」
空いている左手を前に出すと聖女が丸々水に入って浮んでしまいました。
「そうよ、静かにできたね。」
中で聖女の血が広がっていく様子と、ごぼごぼする泡が見えます。
ずっと上で剣を振り降ろしている勇者。
顔が泣き顔に成っています。
ルルさんの身体が半分ぐらい地面に埋まってしまっています。
上に居る勇者の方に顔だけ向けるルルさん
「で、貴方は謝ってくれるの?」
「誰が魔人なんかに謝るかぁぁぁぁ!」
「あらそう。」
右手で持った刀をそのまま振り上げ、勇者を簡単に飛ばしてしまいます。
着地した勇者に上から振りかぶるルルさん。
勇者は剣を上にして刀を受け止めます。
ドン!
勇者の鎧が砕けています。
勇者の脚が潰れてしまいました。
「謝ってくれないと気が済まないの。 ちゃんとムーちゃんに謝って?」
「あ゛あぁぁぁ、誰か、あ゛ぁぁ猫なんかに!!!」
「まだ謝らないんだ、ふぅん。」
ちょっと怖すぎます目が光って見えます。
でもムーの為に怒ってくれているのです。
足が無くなった勇者は手で剣を振り回して斬撃を飛ばしてきます。
「それ攻撃なの?」
刀で受けもせず、体で受けるルルさん。
ムーの前に来たのは全部腕で受けています。
「答えなさいよ。ねぇ。」
急にルルさんが居合の構えをします。
ムーの身体が地面に向きます。
またお腹の魔力が上がって行きます。ルルさんの息が止まります。
見えませんでした。
ルルさんが動いたと思うと、勇者の剣が真っ二つに切れてしまいました。
勇者の腕が無くなっています。
後ろの家に3本筋が入っていました。
遂に勇者が謝り出します。
「ずいません、調子に乗りましだ、ごめんなざい」
また顔をくしゃくしゃにしています。
「だめ。遅い。」
勇者が炎に包まれます。
「あ゛あぁぁっぁ」
勇者と聖者が何も言わなくなった所で、二人を水と、炎から出します。
髪の毛を掴んで勇者を引きずり、聖女の前まで来たルルさん。
虫の息の二人。
「土下座。」
それだけ言うと二人でもぞもぞ動き出します。
「土下座!」
もう手も足もないのです、出来るはずがありません。
「もういいわ。あなた達。」
両手で刀を握るルルさん。
また魔力が上がって行きます。
そのまま上から振りかぶると、白い斬撃と共に勇者と聖女は消えてしまいました。
壁も一部無いんですけルルさん。
「ちっちゃい魂ね、ほんと弱いくせに。」
浮んでいる魂をそのまま口で食らうルルさん。
それ十分大きいとおもうのです。
「ムーちゃん、大丈夫だった?」
「ムーは大丈夫ですニャ。」
手で頭を撫でてくれるルルさん。
「ぁ!メルサさんが!」
「ルルちゃん! こわいぃぃ!」
メルサさんも元気でした。




