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037 とある会議室で

「ゼドの隊員が二人、西区で消息を断った」


 ゼプト防衛機構アーク支部の暗い会議室で一人の男が問題を提起する。この場には三人の男たちがいた。


「それは確か、警察から要請のあった行方不明事件の調査に向かった隊員だったか」


 ホログラムで映した資料を確認しながら、もう一人の男が確認する。


「そうだ。情報収集に向かわせたはずが、今日の早朝から連絡が取れなくなった」


「敵の尻尾は掴んだのか?」


「いや、敵は尻尾を掴む前に隊員に危害を加えたと思われる」


「であれば危険だ!犯罪者かアンチコードかすらも分かっていないのだろう!すぐに正体を掴まなければ!」


 机を叩き、今すぐに究明を急げとその男は言う。


「その正体を掴むために向かわせた隊員が消息を断ったんだ。敵は中々にやり手だろう」


「しかし放置もできん。情報を集めるだけでもいい。何か良い案はないか?」


「案ならある。そのために今回は集まり、この会議室の会話は一時間別のログで書き換わるようになるようにしたのだ」


「ほう?」


 記録の改竄までする周到ぶりから、どうやら褒められるようなまともな案ではなさそうだが、興味深い案を持ってきたことが伺えた。


「先日コンバーターがこのゼドに入隊した」


「ふん!コンバーターを入れるなど上は何を考えているのか!」


「そのコンバーターを今回の駒に使ってはいかがだろう?」


 その案に男たちの目は見開く。


「なるほど、今回の正体不明を探らせるために入ったばかりのコンバーターという捨て駒を使うのか。それなら正体を探りつつ、例えそのまま死んだとしてもこちらのゼドの隊員を失わずに住むな」


「何をおっしゃる。言葉が悪い。正規の任務を行ってもらうだけだ」


「ふふ、そうだった。これは任務だ」


 会議室に不敵な笑い声がこだました。


「だが問題はそのコンバーターが魔女に組みしていることだ。そこはどうする?それにあそこには抜刀のサクラとアクセスコードがいる。万が一の事がありその二人を失うのは痛いだろう」


「何、幸いあそこは何でも屋だ。任務を二つ与えよう。一つは抜刀のサクラに向かわせ、今回の事件をコンバーターとアクセスコードに向かわせる。これで抜刀のサクラを温存し、コンバーターに正体不明の解明に当たってもらうことができる」


「アクセスコードを失う事態になれば、国家にとって痛手だぞ!」


「我々はアンチコードの討伐を専門とするゼプト防衛機構だ。例え神話のセブンスコードとはいえ、小娘の鍵を開けるアクセスコードなど、アンチコードとの戦いにおいて何の役にも立たない。であれば抜刀のサクラを温存するのが最善だろう。アクセスコードの外交バランスは我々が気にするところではない」


「……なるほど、言われれば確かにそうだ。セブンスコードという言葉に捕らわれていたな。その案に異存はない」


「私もだ。願わくばこの事件と共に目障りなコンバーターがいなくなればいいな」


「では早速動くとしよう」


 そして不穏な会議は終わり、会議室は暗闇へとかえったのだった。

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