035 助けた子供と出会う
アクセリアは外の風に当たって必死に熱を下げる。
(何で今日はレーイチと居ると変に逃げたくなったり嬉しくなったりするのかしら。いつも一緒にいるはずなのに……)
アクセリアはこの違和感がよく分からなかった。なんだか今日は自分が変だと思った。
「アリア」
「……ごめんなさい、おかしいわよね、私」
アクセリアは素直にレーイチに謝る。冷静になると傍から見れば急に飛び出した変な人間にしか見えないのを自覚した。
「変な人間って言うなら、コンバートされた得体の知れない俺のことを言ってほしいね」
レーイチはアクセリアのことを気遣っておどけてみせる。
(本当にこういう変に優しいところ、レーイチらしいわね)
いつものレーイチなりの気遣いにアクセリアはただありがとうと返すしかなかった。
二人が次のところへ移動しようとしているその時、レーイチとアクセリアの後ろから声が聞こえた。
「あ!助けてくれたお兄ちゃんとお姉ちゃんだ!」
それは二人のへ向けられた子供の明るい声だった。
レーイチとアクセリアは振り返ると、そこにはガロン襲撃時に助けた女の子がいた。
「あ、あの子、ガロンのときに助けた子……」
そして女の子はレーイチの足に突っ込んでくる。そして足にしがみついた。
「おっと」
レーイチは一瞬バランスを崩すが踏みとどまる。女の子はレーイチにぐりぐりと顔を擦り付け、幸せそうな顔をしていた。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、助けてくれてありがとう。お礼言えてなかった」
素直な子供の言葉にレーイチとアクセリアは思わず微笑んでしまう。
「そっか無事で良かった。元気だったか?」
レーイチは女の子の頭を撫でると、女の子は更に幸せそうな笑顔を見せた。
「ずっと元気だった!」
「そっかそっか。それなら俺も嬉しいよ」
そして遅れて遠くから「ごめんなさい」との声が聞こえてきた。慌てて駆け寄ってくるのは女の子の母親であった。
「急にうちの子がごめんなさい。大丈夫ですか?」
母親はあたふたと子供が突っ込んでしまったことを謝罪してきた。
「大丈夫ですよ。この前のお礼が言いたかったって言ってたので、とてもしっかりしてる子ですね」
「ああ!あのアンチコードの時の!こちらもお礼を言えずにすみません。うちの子を助けてくれてありがとうございました。お礼をいくらしても足りないくらいです」
母親は深々と頭を下げ、レーイチとアクセリアに感謝をする。
「気にしないで下さい。無事で何よりです」
街中で急に頭を下げられ、レーイチはあたふたと逆に困ってしまった。レーイチとしてはただ本能的に助けただけでここまで感謝をされるとは思ってもいなかった。
「ママ!お兄ちゃん!私のヒーロー!」
レーイチの足にしがみつく女の子は未だ離れることなく、憧れの存在として言われ、レーイチは照れくさくて頭を掻いた。悪い気はしないが、直接言われるとむず痒い。
レーイチ、アクセリア、女の子の母親は思わずその無邪気さに自然と笑みが零れた。
思わぬ再会であったが、母親はレーイチとアクセリアを見るとあまり長いこと引き留めてはいけないと察した。お洒落をする女の子の邪魔をしてはいけないことは長年の経験からよく分かっていた。
「さ、行くわよ、お兄ちゃんとお姉ちゃんはデート中だから邪魔しないの」
「お兄ちゃんデート中?」
女の子に改めてデート?と聞かれ、レーイチとアクセリアは頬を赤くする。ここまできて最早特に否定する材料もないのでレーイチは素直に肯定した。
「そうだよ、お姉ちゃんとデート中。また怖いやつが来たらお兄ちゃんとお姉ちゃんがやっつけに行くからな」
「うん!分かった!」
そして女の子は母親に手を引かれ、何度も振り返っては手を降り続けた。
「……レーイチって子供が好きなのね。ずっとニコニコしてたわ」
「え?そうかな……いや、そうかも。何か元気でるよな。子供は未来の塊って感じがしてその元気を貰う感じかな」
「ふふ、何よそれ。……でも分かるわ。あの子を……未来を守れて良かったわね」
「ああ、次も未来を守らないとな」
子供から元気を貰い、レーイチとアクセリアはこれからも起こるであろうアンチコードの襲撃に対して改めて決意した。




