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032 街へのお出かけ

「レーイチ!こっち!」


 赤い髪とスカートを揺らし、ルビーの瞳を輝かせながらアクセリアはレーイチを手招きする。


「早いよアリア……」


「何言ってるのよ。レーイチが遅いの」


「準備に時間をかけていた人間とは思えない台詞だな」


 レーイチは思わずツッコミを入れる。しかしアクセリアはそれを気にする様子はなく、レーイチが到着したことを喜んでいた。


 レーイチとアクセリアが現在来ているのは王城だった。普段は階段の前の巨大な門を関係者以外くぐることができないのだが、本日は運よく王城の敷地の開放日とあって台地の上の王城の敷地に足を運ぶことができた。


「おおー、階段下でもデカいと思ってたけど、王城の前まで来ると尚更すごいデカいな」


 長い階段を上り終え、庭園に辿り着いたレーイチは思わず感嘆の声を漏らす。


「そうでしょ。まずは私たちが住む国の女王様が住む場所を見てもらおうかなと思ってここに来てみたの。運よく開放日だったのも幸いしたわね」


「街の観光の場所として最高だな。こんなデカいお城は映像でしか見たことないよ。最初にここを選んでくれてありがとうアリア」


「喜んでもらえて良かった。レーイチがどこ行けば楽しんで貰えるか考えたものが当たって安心したわ」


「普通は男の俺がそれをやるべきなんだろうけど、如何せん俺に街の知識が無くてな」


「良いのよ。案内して欲しいってお願いしたのはレーイチ何だから楽しんで貰うだけで私は嬉しいわ」


「そう言ってくれると俺も嬉しいよ」


 そして二人は開放されている敷地の中の庭園を歩き始める。辺りを見渡すと手入れの行き届いた晴天の光を浴びて輝く芝生の上を走り回る子供や、そこに転がる子供、仲良く話をする老若男女が入り乱れて楽しそうに平和な日々を送っている。その中に混じってアクセリアはレーイチに王城の話や国の成り立ちなどの話をすると、レーイチはそれを興味深そうに頷いていた。


 そして二人は東区の街並みが見える場所に到着した。


「うわっ、街が一望できる。これで四分の一の広さか」


「そう。大きいでしょ。これが私達が守る街」


 目の前に広がるのは広大な街並み。太陽の光を浴びて街はキラキラと輝いているかのようだった。


「凄いな。守るものが多すぎるな」


「ええ。でもやらないとアンチコードに人々は怯えることになるわ」


「そうだな。そのためにゼドに入ったんだ」


「うん」


 そんな二人にふわりとそよ風が吹く。アクセリアの赤い髪が揺れ、その赤い髪は陽の光によってキラキラと輝き、アクセリアは視界を遮る髪を掻き上げる。なんて事ないその動作にレーイチは思わず見惚れてしまった。


「どうかした?」


 レーイチの視線に気がついたアクセリアは小首を傾げる。


「え、ああ……いや、綺麗だな……と……」


「ええ、天気もいいから本当に街が綺麗よね」


 そしてアクセリアはルビーの瞳を輝かせ、街を見つめる。


「……そうだな、綺麗だ」


 そして二人は静かに街を見渡す。この街にどれだけの人が住んでいて、どんな平和な時間を過ごしているのだろうかと思いを馳せた。

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