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028 ゼプト防衛機構入隊試験⑤

 そして結果を言い渡される時間が訪れる。


 レーイチ達の前にアーク支部隊長のフルトミスが立ち、名前が呼ばれる。


「今回のゼド入隊の合格者を発表する。一人目、レーイチ・シンドウ」


「はい」


 レーイチは名前を呼ばれたことで、これで今まで付き合ってくれたアクセリアやサクラに報いることができるという安心と、試験に落ちてサクラから斬られる不安がなくなったことに一安心した。


 周りからはまあ当たり前だろうという声があがるが、それでもコンバーターを不安視する声も少しばかりあがる。中にはゼドを批判するような声も聞こえてきた。


 フルトミスも今回の決定には説明が必要と判断したのか、レーイチが選ばれた理由の説明が行われる。


「今回の決定には不満を持つ者もいるだろう。しかしアンチコードと戦うのが我々の役目であり責務である。コンバーターであろうと、共に戦う意志があり、能力共に優れていると判断すればゼドは受け入れていく所存だ。知っての通り、彼は今回の参加者の中でたった一人、あのロボットを破壊した者だ。こちらとしても戦力として加わってくれるのは大変心強いと判断した。もし、この方針に不満があるというのであれば私が受け付けよう」


 フルトミスのその言葉に、批判的な声がピタリと止んだ。根深いコンバーターに対する差別意識はこの先も消えることは恐らくないだろう。だがゼドはそれを変えてまでアンチコードという脅威と戦っていきたいと思っており、そうしなければならないという危機感を持っていた。


(最初の試験監督はコンバーターに少し当たりが強かったけど、このフルトミスって人は理解のある人というか現状を把握している人というか、悪い人ではないな)


 レーイチとしてはここまでハッキリと伝えてくれることに好感を持つことができた。魔女の時計以外にも味方がいるというのは大変心強かった。


 試験の結果、今回の合格者はレーイチを含めて三人であった。


 一人はレーイチと背丈、年齢ともに少し上ぐらいで濃い茶色の髪色に青い目の少年、カガラ・マストレイ。


 もう一人は金色の髪にアクセリアと同じぐらいの背丈、機械のようにどこか冷徹で冷静な雰囲気の美少女であり、掴みにくい雰囲気のナミリア・デイリスト。


 模擬戦闘においてカガラについては小銃による射撃と素早い移動による戦い方を行い、時間内まで戦い切るという正統派な実力を見せつけた者だった。


 そして今回一番の異質な存在はナミリアであった。模擬戦闘において一切の攻撃を行わず、最後までロボットの攻撃を避け続け、時間内まで避け切るという姿を見せつけた。


 それは物質を変化させるユニードと剣を扱うといった手札を公開したレーイチと違い、全て避け切って手札を見せないという実力の底を完全に見せていないナミリアが今回のルーキーの中で一番の実力者である可能性があった。


 そんな三人は場所を変えて別室で最後の手続きを行っていた。


 ゼドへ所属するにあたって、アンチコードへの対処及び治安維持に協力することの契約書にサインをする。


「これでレーイチ、カガラ、ナミリアの三名はゼドへ正式に所属となる。ゼドのライセンスはゼドの施設を自由に利用が出来る他、他国のゼドへの施設への訪問、任務の際の入国審査が免除される特権が得られる」


 フルトミスがゼドの特権について説明してくれた。レーイチはこの話は事前に聞いてはいなかったため、ゼドの施設を自由に使ってよいというだけでもかなり便利なものだと思った。


 そしてもう一つ、ゼドに所属するにあたってどの部隊に所属するかを決める必要があった。


「レーイチはどこに所属するのか決めているのか?」


「俺は魔女の時計にこのまま所属します」


「そうか……それは惜しいな。こちらとしては、その力をアンチコード部隊で存分に奮ってほしいところではあるんだが、魔女に先手を取られたか」


「別の場所にいた方がお互いにコンバーターという身分を意識せずに済みますよ。別にアンチコードには応戦するのでやることは変わらないですから」


「それはそうだが、部隊という観点で言えば前衛を張ってくれると士気が上がるというメリットがあるからな」


「それは別の人に譲ります」


 フルトミスからのオファーをレーイチはあっさりと蹴り、レーイチは魔女の時計へ所属することを決めた。


 蹴られた側のフルトミスは有望な人材を先に取られたことにため息が出ていた。そしてこうも思う。あの魔女はどこまで読んでおり、何をしようとしているのか分からないと。


 コンバーターをゼドへ加入させること自体、今回のような摩擦を生むことくらいは容易に想像がつくが、その先に何を見ているのかは見当がつかなかった。


「ガガラは希望はあるか?」


「僕は治安維持部隊を希望します。アンチコードよりも身近な悪と戦います」


 カガラはそれが元々の望みだというかのようだった。アンチコードよりも身近な悪。それは人間に他ならない。全てが善人が住む世界ではないため、その治安維持を行う必要があり、その仕事にカガラは就きたいと申し出た。


「分かった。そのように伝えておく。ナミリアはどうだ?」


「私はどこでも。好きに決めてください」


 その感情のないような声で何でも良いとはどういうことかとレーイチは不思議に思う。目的もなくゼドに入隊をするものなのだろうかとレーイチは思ったが、フルトミスは気に留めなかった。


「分かった。ナミリアには対アンチコード部隊と伝えておく。異論はないな?」


「はい」


 ナミリアはあっさりと承諾する。


 アンチコードと戦う部隊と言われても全く動じることがないナミリアを益々レーイチは不思議に思った。


「手続きとしてはこれで終わりだ。今後はアンチコードやテロリストと戦い危険な任務に当たることになるだろう。最後に言っておく。死ぬな。以上」


「「「はい」」」


 そしてゼド、ゼプト防衛機構への入隊を終え、レーイチ達は解散となった。

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