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021 訓練①

 魔女の時計のトレーニングルームは地下に存在する。レーイチとアクセリアはエレベーターで移動し、その広々としたトレーニングルームに到着した。


 そして早速アクセリアによるカウルの習得訓練が始まった。


「それじゃあ、まずはカウルの使い方からね。カウルはゼプトに住む人間なら誰でも使える身体強化のことね。正確にはコードを放出してそれを纏うことで強化してるの。一回やって見せるから見てて」


 アクセリアはそう言うと、一瞬で体が白いオーラに包まれた。ガロン戦でも見たことがあるが、アクセリアを覆っている白いオーラがカウルと呼ばれているものだ。


「これがカウルよ。レーイチはまず最初にコードを放出するところだけに集中してみて」


「コードの放出か。OK、やってみる」


 レーイチは深呼吸をすると、目を閉じてコードを放出するように体中に命令を出す。全身の筋肉を強張らせてみたりしたが、数秒たってもレーイチには何の変化も起きなかった。


「うーん、上手く行かないな。何かコツとかイメージってある?」


「最初は上手く行かなくて当然よ。人によって色々だけど、スイッチを入れるイメージするとか、溜めたものを解放するとかかしら。大丈夫、ユニードが使えたんだから絶対にできるわ」


「ありがとう。やってみるよ」


 レーイチは頷くと再度集中する。


 解放のイメージと言われてアンチコードのガロンと戦った時にユニードを使用した感覚を思い出す。あの時は溢れ出すものをただ使用しただけであった。それであれば、まずは似た要領で、今回はユニードではなく、ユニードを発動する力の源の純粋なコードのみを溢れさせるようイメージをしてみた。するとゆっくりとだが、体に力が湧き出してくるような感覚を掴むことができた。レーイチはさらに集中し、心臓の鼓動に乗せて体中にその力を浸透させていく。そして隅々まで行き渡った感覚を掴んだ時、それを解放するよう体中に命令を下した。すると、レーイチから白いオーラが解放された。


「できた……」


 レーイチは白いオーラに包まれた両手を見ながら驚きと達成感の声をあげた。


「凄い凄い!センスがいいわ、レーイチ!」


 アクセリアはまるで自分のことのように喜び、パチパチと手を叩いて喜ぶ。


「その白いオーラ、カウルを使っていると、まずは防御力があがるわ」


 アクセリアはレーイチを手招きし、屈んでとジェスチャーをすると、その額にデコピンを放つ。コツンとアクセリアの指がレーイチに当たったが、当たったレーイチは痛みを感じることがなかった。簡単ではあるが、身をもって感じた防御力にレーイチは感動を覚えた。


「確かに今のデコピンは別に痛くもなんともなかったな」


「でしょ。でもね、それはカウルを使っている者に対してカウルを使わない者がやった場合ね。じゃあお互いにカウルを使っているとどうなるかっていうと……」


 アクセリアはカウルを発動すると、再びレーイチの額にデコピンをくらわせる。同じようにコツンと音がするが、次はその音は大きく、レーイチは額を抑えて数歩後ろに下がった。


「痛っ!」


「こうしてカウルを纏えば、最初は有効打にならなかったけど、ちゃんと有効打を打つことができるようになるわ」


「なるほど、カウルにはカウルで対抗ってわけか」


「そういうこと。もうちょっと正確に言うと、コードにはコードをぶつけることで対抗できるの。だからカウル使用者にはユニードで発動したものとか、私のカウルを弾丸にした銃やサクラの剣も有効になるわ」


「ああ、そうか、カウルだけだとお互いに近接して殴るしかなくなるもんな」


「理解が早くて助かるわ。それでね、ここまでカウルについての特徴を話したのはちょっとわけがあって……。私達はアンチコードとも戦うのは勿論だけど、ユニードを間違った方向に使うような人とも戦うことがあるの。だからその対処として頭に入れておいてほしいの」


 アクセリアは悲しそうな顔でそう言った。その表情は本当なら人と争いなどしたくはないという表情が伺えた。

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