016 共に戦う決意
レーイチは一呼吸おいて今までの情報を一度整理した。仕事、報酬、生活についてはアザトの出す条件に大きな問題はなさそうだった。そしてこの魔女の時計に所属すれば、セブンスコード二人の協力が得られるのも非常に心強い。
残る問題はアンチコードと戦う選択をした場合、いつ来るか分からない大規模侵攻に身を投じなければならないこと。だがその選択をしなくても別の仕事をしながら問題なく生きていけるようであった。危険なことはせず戦わない選択肢が、第二の人生を与えられた者に最良の選択で間違いはない。
だが、レーイチはもう一度思い出した。助けた女の子がアンチコードに怯える姿、泣きじゃくる姿、必死にしがみついてきた姿。それがどこかでこれからも起きる。それは到底受け入れられないものであった。アザトのいう下手な正義感になるかもしれないが、自分に与えられた戦える力を行使しない選択、自分がするべきだという選択をしないことが後悔すると思えた。
それならば答えは一つ。
「俺もアンチコードと戦います。魔女の時計に所属させてください」
「本当に良いんだね?」
「はい、このユニードは、きっと人を救うためにあるんじゃないかと俺は思います。なら、俺はこのユニードを使ってみんなと共に戦います!」
「よし分かった。歓迎しよう、レーイチ。これからよろしくね」
にこやかにアザトは右手を差し出す。レーイチも同じように右手を差し出し、レーイチとアザトは握手を交わした。
そしてレーイチは魔女の時計に所属することになった。
「これからよろしくね、レーイチ。私も新しい仲間が増えて嬉しいわ」
「アリアもこれからよろしく。そうするとアリアは先輩になるわけだ」
「もう、気を使わないでいいわ」
そう言ってアクセリアは嬉しそうに笑顔を見せた。それは後輩ができたということよりも仲間ができたことの喜びが大きそうであった。
「アリア、適当に空いてる部屋をレーイチに案内して。あと家事の当番もよろしく」
「分かったわ、所長。それでレーイチは家事できる方?」
「まあ人並みには」
「じゃあ問題なさそうね。この事務所の上が居住フロアになってるわ。私とレーイチとサクラで朝と夜のご飯の準備と共用スペースの掃除は交代ね」
「え?アリアもここに住んでるの?」
「ええ、そうよ」
それがどうかした?と言った表情を浮かべるアクセリア。それに対してレーイチは問題ありでしょうといった表情を返す。
「アリア、今日来た男が住まいに紛れ込むことに違和感を抱かないのか?」
「ああ、そういうことね。私は大丈夫よ、強いから。それに今日のあなたの活躍を見れば信用していいと思ってるもの」
アクセリアは全く意に介さない。何故か意識している自分が馬鹿らしい雰囲気にレーイチは何も言わないことにした。しかしアザトは面白いことが起きそうだと笑っており、レーイチはそれに対してはジト目を返した。
「因みにサクラっていう人も名前からして女性だよね?」
「ええ、今は外に出てるわ。けど、うーん、サクラはちょっと気難しいところがあって、拒否反応起こすかも」
アクセリアは顎に手を当てて考え込む。それが普通なのではとレーイチが思ったところで、事務所の扉がガチャリと音を立てて開いた。




