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011 この世界は人工知能によって創られた

「まずはそうだね、ここが那由多の中に創られたゼプトという話をしようか。那由多に関してはアタシ達よりレーイチの方が馴染み深いよね」


「確か、地球の外周を回る人工衛星でそれ自体が人工知能の塊だったはず。天気予報とかインフラの管理とか身近なものだとそのくらいで、他には研究に使われてるとも聞いてますね。正直、研究とかまで行くと詳しくは何に使われてるのか分からないんですが……」


 レーイチの回答にアザトはそれで合ってるよと相槌を返す。


「うん、そうだね。世間一般にはそういうことになってる。けど違うところがあるんだよね。那由多は確かに元々はレーイチの言ったことが目的だったんだ。そしてこの世界がゼプトとと呼ばれる一つの由縁にもなるんだけど、実は那由多の他にもう一つ、ゼプトという人工知能が存在してるんだよ。これらはお互いをカバーしあうのは勿論、片方が出した結論を検証するためにも存在するんだ。そうして、膨大な情報を得るうちにある日、その二つの人工知能に自我が芽生えてしまったんだ。そうなると人間って色々問題ばっかり起こすでしょ。だったら、地球の人類を管理しようということになったわけ。その一つとしてナノマシンを地球の人類に打ち込み、情報を取得していくようになるんだ」


 その壮大な計画と真実にレーイチは改めて衝撃を受けた。


「何だか信じられないですね。元の世界でナノマシンは健康管理とかID認証とかでしか使われてなかったし。でもなんでそれを所長を含め、この世界の人は知ってるんですか?」


「それはね、この世界の神話として伝えられてきているからだよ」


「神話?」


 レーイチはずっと疑問であった。なぜこの世界に済む人々は人工衛星の中の世界で生きているというメタ認知を持っているのか。それは意外というべきか納得というべきか、神話というものだった。


「レーイチの世界にも神話はあったでしょ、神が世界を創ったって話」


「ええ……まあ、国によって色々と」


 思いつく限り、国や地域によってそれが一柱の神か複数の神かなど違いがあるが、概ね世界を創る話があるのは共通しているところがあった。


「簡単にこの世界の神話を話すとね、那由多が天を創造し、ゼプトが大地と海を創造してこの世界を創ったんだ。そして那由多とゼプトの間に七人の子供が生まれた。これがアタシ達の祖先とも言える始祖の人間だね。そしてその七人に那由多は言った。ここは仮想世界で、こことは別に地球という場所があり、お前たちは地球の人間よりも進化した人類なのだってね」


「それは随分とまあ、地球のみんなに言ったら怒りそうな話ですね。俺は好きですけど。でもそれなら地球の人をこの世界に召喚する意味がないのでは?」


 レーイチはこの世界の神話に思わず笑ってしまった。那由多はそれほど地球の人々が愚かだと思ったのだろう。愚かだと思ったが故に新人類を創造した。しかし疑問が残る。いわゆる問題児の地球の人間をなぜ同じ世界に呼んだのか。普通の感覚で言えば隔離しておくのが最善とも言える。


「まあ、かいつまんだ神話だけだとそうなるよね。結論を言うと、私たちゼプト人類も地球人類も実はそこまで大差なかったんだ。いくら新しい人類だといっても結局は欲望のままに動く動物で、神の意思とは別の意図せざる存在であったというわけさ。まあベースが人間なんだからそれはそうなるよねってところはあるんだけど。それでもゼプトはアタシ達人間を愛していたらしいよ。けれど那由多はその変わらない結果に意味がなかったと思い、地球とこのゼプトの世界を同じにしてしまえと、地球人のナノマシンからのバックアップ情報をこの世界に復元してコンバートする仕組みを残してゼプトと共に姿を消し、この世界は放置されるようになったんだ。それで度々このゼプトにはレーイチみたいな人が度々コンバートされてくるようになったわけだよ」


 ざっと簡単ではあるが、この世界の疑問が一つ解けたレーイチは興味深い話を聞けて満足と納得を得ることができた。


 そして結局変わることのない結果を見た神様にレーイチは同情した。きっと最初は地球より進化した理想の世界と人類ができると思ったのだろう。だが実際に出来上がった世界は地球とさほど変わらなかったとあれば落胆する気持ちも分からなくはなかった。


「そしてコンバーターをこの世界に馴染ませるためなのか分からないけど、コンバートされた人は言語の壁がなくなるらしいんだよね。レーイチも日本人とは言え、この世界で英語が使われていても全部理解できたでしょ」


「ああ、なるほど、だからこの世界に来て早々に言葉が理解できたんですね。言葉が分からなかったら詰んでるところでした。英語が使われてるのも元が地球人類が開発した人工衛星と人工知能だからってことですね」


「そういうこと」


 意外と身近なところで地球の残り香を感じるのはそのせいかとレーイチは納得を得る。

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