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13.飲酒ですか。二十歳になってからだな。


 殿下にとって如月琴音はそれほど魅力的に映っているのだろうか。確かに見た目はいいだろう。そして俺もまだ本性を見せていない。幻滅してくれると助かるが、それで国から追い出されたらたまったものじゃないな。


「私以外の候補を探してください。身近な相手でもいいのです」


「身近な相手だと君しかいないな」


 マジかよとミサさんを確認してみると頷かれてしまった。女性の影がちらつくどころか、皆無なのが信じられない。王族として仕事をしているのであれば、職員の女性と接する機会だってあるだろ。それとも誰かが殿下の女性関係を全て断っているのか。やる理由は何だよ。一個だけ可能性が浮かんだけど、幾ら何でもこれはないだろ。


「この可能性が当たっている場合、私にも被害が」


「どうした? 何か呟いているように聞こえるが」


「何でもありません。気にしないでください」


 俺が考えているのは娘を婚姻させたい大貴族が周りの協力を得て、殿下の女性関係を操作している可能性。幾ら何でもこんな馬鹿馬鹿しい可能性があるわけないと思っているのだが、別の意味で駄目な人物が揃ってそうなんだよ。この国は。問題点はその大貴族が娘を犠牲にして王族との繋がりを得たいと考えているのか。娘が望んでいるから積極的に動いているのかのどちらかによる点か。


「殿下、一つだけ言わせていただきます。私をその子と、大貴族に会わせないでください」


「どうしてだ?」


「ややこしい事態に発展しそうだからです」


「いや、君が私にとって大事な人だと説明しようと思ったのだが」


「合っているだけに否定し辛い」


 勇者として大事であり、個人としてはどうだか分からない。それに殿下から琴音に対して感じるのは恋愛というより、親愛に近い感情だと思う。恐らく殿下は誰に対しても親愛が優先されて、恋愛にまで発展しない。だからいい人で終わってしまうのだろう。


「原因は分かった。だけど解決策は、ない」


「琴音。一杯くらいどうだ?」


 勧められたのはお酒。こっちが真剣に殿下の身を考えているというのに。どちらかというと俺へと被害が来ないように策を練っているだけ。陛下にとっての最終手段は俺と殿下の婚姻だろうけど、こっちとしては願い下げだ。王妃とか絶対になりたくない。そんな重役は望まずに、ただ普通に暮らしたいのだ。勇者の時点でかなり諦めているけど。


「醜態は見せたくないのですが」


「外交官として他国へ行った場合に勧められる可能性は高い。今の内に慣れておくべきだ」


「酔い潰れた琴音様を介抱してご関係を勧められるのが目的ですが」


「俺はそんなこと考えていない!」


「本当に殿下は良い人で終わりそうな方ですよね」


 本気で下心なしだよな。ミサさんですら諦めたように溜息を吐く始末。俺にとっては好都合なのだが、未来を考えるとかなり複雑な気持ちなる。変な女性に引っ掛かる可能性だってあるから本当に誰か殿下と波長が合う人物を探さないといけないか。外交官をしながら殿下の嫁探しとか普通に訳が分からない。


「いただきます」


 ミサさんからグラスに注いでもらう。勧められたのは葡萄酒で、香りからはそこまで酒精が強いように感じられない。まずは口に含んで、一旦留めてから飲み込む。アルコールが苦手な場合、この時点で感じられるから。違和感はないか。むしろ感じ方は俺だった頃と似ている。


「自分の限界を把握しないといけませんね。ここなら安心して酔い潰れられるようなので」


「私と飲み比べをするつもりか?」


「殿下がそう思うのでしたらどうぞ。勝手に付き合ってください」


 結果から言わせてもらおう。俺の圧勝であった。琴音のアルコールに対する耐性は化物のように強い。酔いはしているのだが思考が乱れたり、立ち上がった際のふらつきすらないのだから恐ろしい。代わりに殿下はテーブルに倒れ伏している。結構な数のボトルを空けたからな。二桁は軽く超えているな。


「琴音様を酔い潰すのは難しいようですね」


「目論見通りに進まないのが人生です」


 両者ノックダウンなら一緒のベッドへ運ばれていたかもしれないが、そんなドッキリは前世だけで頼みたい。あれは本当に心臓が悪かった。幼馴染が一切気にしていなかったのは性格の問題だろうけど、こっちとしては生きた心地がしなかったぞ。過去よりも今だな。酔い潰れた殿下は他の者たちが運んでいったから問題なし。俺の酒に対する耐性も検証できたので目的は達成。万事OKだな。


「ミサさん、おかわり」


「そろそろお止めになっていただけると助かります。高級品なので」


 給料から天引きされる程度で済むかな。そして自分の限界を知ったから、これ以降にお酒を飲むつもりはない。琴音がまだ内側にいると感じているのであれば、借りものの身体で勝手をしてはいけない。ちゃんと適齢期になってからお酒は飲まないとな。


 これだけの量を飲んでおいて今更何を言っているんだと突っ込まれそうだけど。久しぶりだったから歯止めが効かなかったんだよ。以後、自重します。


飲酒は二十歳から。そして最初は限界を知らないと後で後悔します。

私は後悔した派ですけどね。

今回から一日一話更新とさせていただきます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 本人が限界を訴えるのに飲ませようとする悪習もだいぶ減った気がする昨今 飲酒ルールに関しては地球でも国によって差があって日本の二十歳ルールは遅い方だったり 酒の種類や飲む場所にも寄るけど早…
[一言] お酒は酔っぱらうほど飲んだことは無いなぁ
[一言] うん。 アルコールは計画的に飲もうなW 自分も失敗したタイプW 意識が飛ぶほど飲んだW
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