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第二十六章:義妹の誕生

夜叉王丸はベルゼブルから突然、城から呼び出されて美夜の妊娠を言われて唖然とした。


「何だよ。少しは喜んだらどうだ?お前に妹が出来るんだぞ」


「妹って、もう分かってるのか?」


「まだ分からんが女の子が良いな。美夜に似て可愛い娘が欲しい」


隣に座る美夜の腹を撫でるベルゼブル。


「私はベルゼブルみたいに格好良い男の子が欲しいな」


美夜の方はベルゼブルとは逆の意見を述べた。


「美夜に似た女の子だったら魔界一の姫になるよ」


「男の子だったら魔界一の美形になるわ」


周りの眼など気にせずにラブラブな雰囲気を出す二人に夜叉王丸は呆れ果てて部屋を出た。


「まったく。惚気話を聞かせる為に呼び出したのかよ」


溜息を吐きながら廊下を歩く夜叉王丸。


今の時間は午前でリリムなどは学生であるため学校に行っている事で大手を振って歩ける。


シルヴィアやシャルロットなども仕事中だしペイモンなどはベッドの上だろう。


「たまには自分の部屋で昼寝でもするかな」


バラテに引っ越してからは城の部屋に行った事はない。


「・・・行ってみるか」


気紛れで行く事を決めた夜叉王丸は城にある自分の部屋へ足を運んだ。


自室に赴くと部屋は定期的に整理されているのか埃一つ無く当時の面影が残っており煙草の臭いも染み付いていた。


「どこの誰だか知らんが物好きだな」


夜叉王丸は綺麗に整理されたベッドの上に靴を履いたまま乗ると身体を放り出して寝ころんで五分と経たない内に意識を失った。


朝早くにベルゼブルに呼び出された為に低血圧と寝不足が一緒になったからだ。


意識を放ってどれ位の時間が過ぎたか分からない。


眼を覚ますと辺りは夕日になっていて侍女や兵士などは帰る支度をする者もいた。


「・・・・かなり寝ていたようだな」


ベッドから起き上がろうとした時に身体に毛布が掛れていたのに気づいた。


「誰かが掛けてくれたのか」


微かにジャスミンの香りがした。


「・・・・シャルロットか?」


ジャスミンなどの花の香水を付けるのはシャルロット辺りだ。


ペイモンは薔薇などのキツメの香水を使うしシルヴィアやベリフェゴールなどは職業柄か香水の類は嫌っている。


「・・・まぁ、誰でもいいか」


毛布を丁寧に畳むとベッドの上に置いて身支度を整えて部屋の窓から翼を広げて屋敷へと飛んだ。


「・・・そういえばサタナエルの野郎を殺すのを忘れていた」


ほったらかしにして忘れていたが夜叉王丸が殺さない限り牢獄にいるサタナエルは生き続ける。


「まぁ、明日にでも殺すか」


物騒な事を言いながら夜叉王丸は養父夫妻の子供誕生に喜んでいた。


屋敷に帰るとジャンヌに美夜の妊娠を伝えた。


「まぁ、妃様に御子が出来たのですか」


ジャンヌは夜叉王丸から受け取ったトレンチコートを受け取って驚きの声を上げた。


「あぁ。ベルゼブルは女が欲しいって言ってた」


「俺としても女が望ましいな。ベルゼブルに似たら苦労が絶えない」


苦笑する夜叉王丸に釣られてジャンヌも笑った。


「まぁ、どっちが生まれても喜ぶだろうな」


夜叉王丸はジャンヌにコートを預けると自室へと向かった。


ジャンヌは手に持ったコートを持って自室に行くと継ぎ接ぎだらけのコートを黒い糸で縫い始めた。


縫い終わるとティナに再び手紙を書く事にした。


『新愛なるティナへ

  バルトはどうですか?飛天様の屋敷は春の季節が訪れた事を表すように庭で桜が咲いています。桜というのは飛天様の故郷である日本の代表的な花の木です。桃色の花弁がとても綺麗です。

  飛天様は夜になると桜の下で日本酒を一人で飲んでいたのですが、この前は屋敷の皆を混ぜて花見をしました。その時は私もお酒を飲んで楽しかったです。

  休暇が取れたら是非とも魔界に来て下さい。飛天様も歓迎してくれると言っています。

  それでは、また手紙を書きますね。

                             貴方の姉、ジャンヌより』


手紙を書き終えると夜叉王丸のコートを持つと部屋を出て夜叉王丸の部屋に向かった。


夜叉王丸は後日、サタナエルを牢から出してサタン達が見守る中でサタナエルを殺した。


最後まで泣き叫んで命乞いをしたサタナエルを夜叉王丸は無情に斬り殺した。


サタナエルを殺して反乱分子は殆どを根絶やしにする事ができた。


それから時が経ち美夜は十六歳という若さで女の子を産んだ。


娘の名前は真夜と名付けられて夜叉王丸の義妹として地獄帝国皇女となった。


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