私の大好きな幼なじみ
双子ものが書きたくて書きました。
少々後味の悪いものになりましたがハッピーエンドですので宜しければご覧下さい?
可愛らしい双子の姉妹。
みんなに溺愛されている可愛いらしい妹
大切な人だけを愛し愛される姉
幸せなのはどちらなのかな?
私には双子の妹がいる。姉の贔屓目なしにしてもそれはそれは可愛らしい。私も充分に可愛かったのだと思うのだけれど可愛いと言うよりは綺麗とか、美人って言葉がにあってたらしいし、あの子と比べられてたらそれはあの子に軍配があがるでしょうよ。
小さい頃から愛らしかったあの子に両親や祖父母、周りの親戚達すらもあの子をお姫様のように可愛がった。私はそれを遠巻きに見つめる、だなんて事はせず幼なじみの家へと遊びに行っていた。
幼なじみの家は隣にあり生まれた時からの付き合い。私と紗奈、妹を比べたりせずにちゃんと私のことを見て、いい子だと言ってくれる優しい人たち。本当の家族以上に大好きな人たちなんだ。
おばさんは私が家を飛び出してしまってお邪魔した時でも嫌な顔せず一緒にお話ししてくれた。
「いーのよぉ、もう紗妃ちゃんはうちの家族みたいなんだから、いっそ拓のお嫁さんになって本当のかぞくになっちゃう?うふふ」
おじさんも私が落ち込んでいたりするのを見ると家に招き入れて優しく励ましてくれた。
「大丈夫、紗妃ちゃんはいい子だよ。私達はみんな紗妃ちゃんが大好きだ。それじゃダメかい?そうだなぁ、それがダメなら拓のお嫁さんになってうちに来るかい?」
幼なじみのひとつ上のお姉さんは私の事を本当の妹のように接して、可愛がってくれてた。
「紗妃はこんなに可愛いのになんでみんな紗奈ちゃんばっか構うんだろうねぇ。ちゃあんと接すればうちの紗妃の方が絶対可愛いってわかるのに!あっ、うちのって言っちゃったね。まあ紗妃はほんとに私の妹みたいだしねぇ。あっ!いっそ拓のお嫁になる!?いつでもおっけーだよ!」
…なぜみんなから拓のお嫁さんにならないかと言われているんだろうか
私の幼なじみである拓は少し意地悪な所もあるけどちゃんと私の事をみて接してくれた。小さい頃の私がたまに愚痴を言ったりしても
「みんながかまってくれない、みんな紗奈ばっかり見てるの、おかあさんたちも紗妃のこときらいだって…」
「俺はちゃんと紗妃のとこみてるし、だいすきだぞ?それじゃダメか?それならかあさんたちにも聞いてみるか?たぶんおなじこたえだろうけど」
「ううん!拓が紗妃のとこみてくれてるならいいの!紗妃も拓だいすき!」
ちゃんと見ているし、大好きだって事を言ってくれた。それが嬉しくてよく抱きついてしまった。それをおばさんに見られてしまい、今でもネタにされるのだから恥ずかしい思い出だ。
そんな事もあり私は小さい頃からずっとずっと拓の事が大好きだった。そして嬉しい事にそれは拓も一緒だった。でも、私は
実の家族からの愛情は一切貰えなかった
まだ私が小学生だった頃、私は毎日と言っていいほどに拓のお家にお邪魔していた。私がおばさん達に紗奈や両親の事を言っていたからだろうか?おばさん達は私が来ても嫌な顔せず迎えてくれた。小さい頃から周りの人達が見るのは紗奈だけ、そんな人達の中でおばさん達だけは私をみてくれた。それが幼いながらもとっても嬉しかったんだ。
そして私は拓の家に泊まるようにもなった。それが1週間も続くとさすがにまずいと思ったのか両親から
「もう行くな」
と言われてしまった。もちろん反抗したよ?だってあそこだけだは私の居場所があったから。そんな心地よい場所に行かずにこの息が詰まるほどに生活しずらい場所にいなくちゃいけないだなんて。反抗、と言っても小さい子供のする事だからね、せいぜい大声で泣きわめくくらいしかしてないよ。それを見た私の両親はなんて言ったと思う?
「紗奈はあんなにいい子なのに、なんでお前はこんな子に育ったんだ」
怒鳴りつけるでもなく、呆れるでもなく、見放すでもなく、本当に単純に出てきた疑問。そんな感じで言われた。その言葉を聞いた瞬間なんかね、悟った?って言うのかな。あぁこの人達は私の事を何とも思っていないんだ。思わず涙も引っ込んだよ。その後の事はあんまり憶えてないないんだ。
気づいたら拓の家の前にいた。ちょうど雨の日だったから私はびしょ濡れになりながら立ち尽くしてたんだ。チャイムを押せばいいのに、なぜかそれを押すのをすごく躊躇ったんだ。今まで散々迷惑かけてるのにこれ以上迷惑かけたらどうすればいいんだろう?そもそも実の親ですら必要としていないのにこんな私なんか…
そんな事ばっか頭の中をぐるぐるとまわって、5分も経たなかったと思う。急に玄関から足音が聞こえてきた。ついでに話し声も。
「こんな時間にどうしたの?なにもないでしょ?」
「でもなんか、行かなきゃだめな気がするの」
そうして目の前の扉が開くとそこには拓がいて、後ろにはおばさんもいた。みんなこっちを見るなり目を見開いて驚いた様子で、「どうした?」って声かけようとしてたのかな?口を開けかけたけどそんなのすっ飛ばして、私は思いっきり拓に抱きついた。雨の中で立ってたんだから拓が濡れちゃうとか、おばさん達もいるのに、こんな時間に非常識だなんて考えは思いつかなかった。拓の背中に手を回して何度も何度も名前を呼んだ。
「拓、拓、拓、拓、拓」
私のあまりの様子で感じちゃったのかな。拓はなんにも言わずに抱きしめ返して頭撫でてくれた。おばさん達も静かにこっちを見つめるだけ。
「拓はここにいるよね。私の事嫌いにならないでいてくれる?こんな私を好きって言ってくれる?ねぇ拓、私はいらない子なのかな?」
ぎゅっと縋ったままそんな言葉を続けたら拓に「紗妃」ってしっかりとした口調で名前を呼ばれた。その声に引かれるままに顔を上げたら拓は、私の方見て笑ってた。
「俺は紗妃の事好きだよ。大切だよ。ずっとそばに居るから。俺にとって紗妃は一番大事な人なんだ。俺には紗妃が必要なんだ。だから、自分の事をいらない子だなんて言わないでくれ」
言われた瞬間、目からぽろりと涙がこぼれた。一度溢れ出すと全然止まらなくて涙はとめどなく溢れ出てきた。
嬉しかったんだ。拓が私の事を必要としてるって言ってくれて。これはおばさん達に言われてもダメだったんだ。拓じゃ、拓じゃなきゃダメだったんだ。だって拓は私の一番大好きな人、私の気持ちを伝えずともわかってくれる人、私の必要とする人。
そのまま泣きじゃくってたらおばさん達が声をかけてきた。
「紗妃ちゃん、もう夜遅いし体も冷えてるでしょ?お風呂入って泊まって行きなさい?」
「もう紗妃ってばせっかくの可愛い顔が涙でぐしゃぐしゃだよ。ほら、紗妃には笑顔が一番なんだから、ね?」
「ほらみんな、早く家に入りなさい。紗妃ちゃんの体が冷えてしまうよ」
「ほら、紗妃行こう」
優しい言葉と共に差しだされた手を掴んで、私は笑顔で笑った。
(実の家族から愛されていなくても大好きな人とその家族に愛されているから私は幸せでいられるんです)
フルネーム出せなかったのでざっと紹介します
雨宮 紗妃
紗奈の双子の姉。美人さん。
拓と宅の家族に愛されまくっている。
元気で明るい性格だが傷つきやすい。
雨宮 紗奈
紗妃の双子の妹。可愛い。
周りの人から愛されまくってる。
拓の事がすきらしい
ほんわりとした感じの癒し系。
雨宮 悟
紗妃、紗奈の父親。
紗奈は大事だが紗妃はどうでもいい。
雨宮 凛
紗妃、紗奈の母親。
上に同じく。
千歳 拓
紗妃、紗奈の幼なじみ。
紗妃の事が大好き。
紗奈は紗妃を傷つけるから嫌い
少し大人びている
千歳 志穂
拓のお姉さん。紗妃も拓も可愛くて大好き。
千歳 奈穂
拓のお母さん。拓と紗妃を見て若いっていいわねぇって思ってる。
千歳 健太郎
拓のお父さん。拓に対してアドバイスしたりしてる。