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イレギュラーな家族  作者: 高橋 歩夢
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3.中学1年

3.中学1年

中学1年のとき、日本人学校というものに通い始めた。現地の学校とは別で毎週土曜日に日本の授業が受けられるという学校だ。もちろん、先生も生徒も日本人な。義務教育ではないから行くも行かないも俺の自由だったが、日本人と関わりたい という、まあなんとも軽い理由で通い始めた。そんな動機で通ってたんだけど、関わりを持つんじゃなかったと1,2年の時ものすごく後悔した。


中学1年は、知っている友達が全くいない状況でスタートした。そりゃそーだ。だって、俺の知り合いはみんな日本にいるんだから。最初の二週はガチガチに緊張してて、友達ができるか心配だった。まあ、三週目からはみんなが俺の周りに来てくれるようになった。自分で言うのもなんだけど、みんなに好かれているって思ってた。でも、そんなことはなかったらしい。 

夏休みが終わり、学校が始まったころから徐々に問題が起こり始めた。同じクラスの女の子が突然態度を変えたんだ。夏休み前は仲が良かったんだぜ?急に避けるようになったから、なんかしたっけなー。と思い、彼女にメッセージを送ってみた。

俺「ねー、どーしたの?今日めっちゃ感じ悪かったけど?」

すると、1分もたたないうちに返信が来た。

友達「何で私から友達を取るの?」

俺「え?何言ってるの?」

友達「あんたがアメリカに来たから私は友達を失った。」

突然すぎて意味が分からなかった。俺がアメリカに来たから?何いってるのこの子?どーゆーこと? 分からないことが多すぎる。

俺「ちょっと待て。どーゆーこと?」

友達「あんたが来る前、ボーイッシュな子は私だけだったの。だから男子とも仲良かったし、女子も私の周りにいっぱい来てくれたわ。でも、あんたが来てからみんなあんたのとこばっか集まって私、仲間はずれにされてるじゃない。あんたが来たからこーなったのよ!!!」

だめだ。やっぱり理解ができない。だって、そもそも彼女はボーイッシュじゃない。完全に女子なのだ。それに、ボーイッシュの周りに人が集まるなんて聞いたことがない。てか、彼女が勝手に放れて行ってるんじゃん。みんな、一緒に遊ぼうって彼女のこと誘ってるのに全てきっぱり断ってんじゃねーか。それも俺のせいかよ。いろいろわけ分からん。

俺「別に俺だって好きでアメリカに来たわけじゃないし、人を集めようとかしてない。ましては、友達を取ったりなんかしてないよ?ものじゃないんだから。」

友達「うるさい。あんたのせいにして私死ぬから。」

あー、分かった。そーゆーことか。悲劇のヒロインね。そーいえば、俺が止めるとでも思ってるんでしょ。馬鹿だな。

俺「そーですか。あなたの人生なので生きるも死ぬもあなたの自由です。俺のせいにしたいなら、どーぞ遺書でも何でも書いていただいて結構です。でもね、考えて欲しい。あなたのように自分から死ぬ人もいれば、生きたくても生きられなかった人だっている。あなたが当たり前のように生きている今日は、誰かが生きたいと願った未来なんです。どーせ死ぬなら、その人たちに命あげてよ。」

今思い返せば、随分かっこつけてたと思う。でも、本心なのだからしょうがない。ていうか、ほんとに死ぬ気がないのは分かっている。死ぬ気がないのに 死ぬ とか意味分からんこと抜かすから、命の大切さを知ってほしかった。

友達「私、ドナー登録してるから、そーゆーのは良く分かってる。」

飽きれた。俺のこと馬鹿だと思ってるのか?

俺「ドナー登録してるんだー。すごいねー。 じゃあ、もう成人なんだねー。同い年じゃなかったんだ。」

友達「は?何言ってんの?13歳だけど?」

俺「何言ってんの はこっちのセリフだわ。ドナー登録は20歳以上じゃなきゃ出来ねーんだよ。そーやって嘘ばっかりついてるとほんとに友達いなくなっちゃうよ?」

そのあと、彼女からの返信はなかった。学校も何週間か休んだ。その間、たくさんの人が 実は彼女のことが嫌いだった と言うことが分かった。嘘ばっかりつくから嫌いだったけど、彼女の周りには常に人がいたから仲良くしていたのだとか。やはり、彼女は友達の気を引くために嘘をついていた。あの時はもうすでに、手遅れだったのか...。中学1年の終わりに、彼女は日本に帰った。長い間休んでいた理由を聞いたら、子役として映画の撮影をしていてこれなかったとか。本当なのか嘘なのかわからない。もし、本当だったとしても誰一人彼女を信じる人なんていないだろう。今まで嘘をつき続けてきたのだから。


この時、俺はますます 友達 と言うものが分からなくなった。彼女にとって、友達とは自分を人気者として輝かせてくれる'物'。そして、彼女の友達にとって、彼女はいろんな人を連れてきてくれる便利な’物’。これは、友達ではない。友達ごっこをしている人形たちだ。

そして改めて、自分はこの世に必要ない存在だと言うことを実感した。だって、アメリカに来ただけで、学校に通ってるだけで、人を傷つけてたんだよ?俺がもしいなかったら、こんなことになってなかったんだ。


「あー。消えたい。死にたい。俺のソンザイカチって何なんだろう...。」


まあ、中学1年はこんな感じ。みんなも経験したことあるよね?これも普通じゃないのかな?

これで終わりじゃないよ?中学2年もこれ以上に面白いことがあったんだから。え?聞きたいって?いいよ。聞かせてあげる...。

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