デート。
そして翌朝。なんとかよさげな服を見つけて、待ち合わせ場所に向かった。そういえば通院以外で私服で外を出歩くのも久しぶりかも。自然と顔も綻ぶ。
待ち合わせの場所には既に遼がいた。遼も私に気づくと駆け寄ってきた。
「遅くなった?」
「いや、こっちも今来たところだからさ。で、今日どこ行く?」
「うーん・・・・・って決めてなかったの!?」
「今日は結那がホストで俺がゲストなんだ。つまり、行き先は結那次第ってこと。」
「えー、こういうとこ初めてなのに・・・・・」
「じゃあさ、まずは服買いに行く?」
「・・・・・やっぱり、変だったかな?」
「いやいや、そういうことじゃなくて・・・・そのワンピース、似合ってるけどさ。もうちょっと『女の子』って感じにしてもいいんじゃない?」
「・・・わかった。行こ。」
「・・・・・・できたかー・・・結那ー。」
「もうちょっと待って。あとカーテン開けないでね?」
「わかってるって。」
「ふぅ・・・・・開けていいよ。」
と、遼が振り返ると、
「結那・・・・・・」
「なんか・・・・・変・・・・かな?」
「いや・・・・・綺麗だよ。」
「なにその間。」
「いや・・・・・着る物一つで変わるんだなぁ・・・・って。」
「なるほど。私は服に着られてるようなものだと言いたいわけね。」
「いや、そうじゃなくて。」
「・・・冗談。」
「こいつ。」
と、ちょっと小突かれた。
「あれ、もう日暮れか。早いなー。」
「『楽しい瞬間ほどあっという間に過ぎる』ってやつだね、きっと。」
そう、今日一日は本当にあっという間だった。クレープ食べたり洋服買ったり―――本当に、時間も忘れて夢中になってしまった。
今流行ってる服とか美味しいレストランとか、私の知らないことを沢山教えてくれた。これも、全部遼のおかげ。
「じゃあ、俺はこっちだから。」
「うん。また明後日、学校で。」
「じゃあな。」
―――行っちゃった。ふう、疲れた。
と、いきなり息が苦しくなる。―――過呼吸の発作だ。遼と別れてからでよかった。こんなとこ見られたら―――遼に心配をかけちゃう。なんとか落ち着かせようとした時、不意に手が差し伸べられた。
「大丈夫か、結那?」
「遼・・・・なんで・・・。」
「お前のことだ。俺に見られたくない一心でずっと我慢してたんだろ。」
―――なんでもお見通しだった。やっぱり、遼は――すごいや。
そこで、私の意識は途切れた。