~真意~
気がつくと、私は保健室のベッドの中で寝ていた。起き上がってサイドボードに置いてあったメガネをかけると、保健の先生にまだ寝ているように諭された。またベッドに体を横たえ、密かにある人が来てくれることを期待して待っていることにした。
それにしても、こんな発作を起こすのは久しぶりかも。―――あ、そうだ。遼君の話、途中までしか聞けてなかった。なんで私のことが好きなのかも、そして、あの手の意味も―――。
その時、いきなりカーテンが開いた。
「おい、大丈夫か。」
「い、いきなり開けないでよ・・・・・・」
二つの意味で早まる鼓動を押さえながらそう答える。そして、意を決してあのことを訊いた。
「その・・・・・・、私のどこが、好きなの?」
「いきなりそうきたか。」
と、苦笑し、やがて真剣な顔になって、こう告げられた。
「守ってあげたいから。」
「え・・・・・?」
遼君は手近にあった椅子を持ってきて腰掛けた。
「俺には妹がいてな。俺よりも大人って感じだったんだけど・・・な。それでいて脆くてさ。人前では感情を表したくないんだけど、人がいなくなると途端に感情を顕にする。なんか、お前見てると思い出しちゃってな。」
「わ、私ってそんなにツンツンしてるように見える?」
「いや、そういうことじゃなくて。誰よりも暖かい心の持ち主ってこと。」
「そうなんだ・・・・・妹さんって今いくつなの?」
遼君は少し言いよどんだ後、ゆっくりと告げるように言った。
「・・・・・・・・・享年十二。」
その言葉に、私たちの周りの空気が急速に冷たくなっていくのが感じられた。