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~発覚~

その日の午後、私はかかりつけの病院にいた。もしかしたらこれは新手の発作なのかもしれない。そう思い、ちょうど定期検診の時期も近づいてきていたのでついでに聞いてみようと思った。

さて、と。呼ばれるまでかなり時間がありそう。そう思って、そばにあったマガジンラックから適当に漫画雑誌を抜き出してパラパラ読んでいると、あるシーンに目を留まった。彼氏役の人が、少女の頭に手を置いて抱き寄せているシーンだった。

―――――あれ、もしかしてこれって――――、恋愛表現だったの!?と、さっきのことを思い出してひとり考え込む。

――――待って。ということはまさか――――。

と、ちょうどその時自分の番が来てしまい、思考は中断されてしまった。


今日もいつもと変わらない普通の日。だけど、私の心だけはいつもと違った。――――遼君が、私のとこを好いてくれているのかもしれない、というのは勝手な決めつけかもしれないけど、それでも―――――確かめてみたかった。あれは、単なる悪戯だったのか、それとも本心からだったのか、いや、それとも意味を知らないでやっていたのか――、何れにしろ、私の大きく揺れ動いている心。その正体に気づいてしまった今、どの顔で教室に入り授業を受け続ければいいんだろう。

揺れる思いを抱えたまま授業を受け、その合間の昼休み。無論一緒に弁当を食べるような人もいないので自分の席でひとり、ぽつん、と座って食べている。別段辛くもないし、なんとも思わない。でも、今日は―――なんとなく斜め前の席が気になって仕方がない。その一挙一動を自然と目で追ってしまう。今、遼君は数人の友達に囲まれて談笑していた。どうやら、話題は好きな人のことのようだ。そして遼君にお鉢が回る。―――ダメ。言わないで。もし違ったら―――そう思う心と、早く言って欲しい心がぶつかり合っている。そして、遼君の答えとは―――。

「俺は―――そうだな。水無月さん――かな。」

―――言われた。私の名前が。ありえないと思っていた。でも、さっき確かに遼君は私の名前を言った。体中が熱い。心臓が破鐘のように波打つ。胸が苦しい。思わず立ち上がり、保健室へと駆け出した。

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